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JOCの就職支援「アスナビ」:日本経済団体連合会への説明会を実施

2020.12.03  カテゴリ:就職支援

 日本オリンピック委員会(JOC)は11月16日、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を、オンライン形式により実施しました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに204社/団体、325名(2020年11月16日時点)の採用が決まりました。

 説明会は一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の会員を対象に行われ、7回目となる今回は34社38名が参加しました。

 最初に主催者を代表して、福井烈JOC専務理事が挨拶し、「課題を見つけ克服して、昨日の自分に勝つために努力を惜しまない彼らの経験や知見は、採用していただいた後には必ず皆様のお役に立つものであると確信しております」と話しました。そして、「本日の説明会では、今後のオリンピック競技大会をはじめとする国際総合競技大会等に出場し、メダル獲得を目指すアスリート7名が登場いたします。是非彼らの背中を押していただき、我々とともにその可能性を一緒に高めていただきますよう、お願い申し上げます」と、参加企業に訴えました。

 続いて、経団連の中原俊也オリンピック・パラリンピック等推進委員会企画部長が挨拶し、すでに多くの企業でアスリート採用が進み、企業とアスリートの良好な関係が生まれている現状を説明。そして、東京2020大会に向けて「今回の雇用を契機にアスリート雇用が多くの企業に根付き、それがオリンピック・パラリンピックのレガシーの一つとなることを願っております」と述べました。そして、登壇するアスリートへ「本日は是非これまでのご経験、ご自身の強み、将来の思いなどを存分にアピールして下さい」とメッセージを送るとともに、参加企業に対して「アスリート支援という視点に加えまして、会社の将来を担っていく人材として採用を検討いただきたいと存じます」と、アスリート採用を呼びかけました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、動画を用い、アスナビの概要と、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを紹介。さらに資料をもとに夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技などを説明しました。

福井烈JOC専務理事
中原俊也オリンピック・パラリンピック等推進委員会企画部長

 続いて、オリンピアンからの応援メッセージとして、2000年シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんがビデオで登場。現役時代を通じて4つの企業に所属していたという高橋さん。最初の所属企業では週に1度出社し、他の社員とともに業務に取り組む中で、「日頃から業務をされている人たちの力があって、思いきり陸上に打ち込むことができるんだなということを改めて感じ、責任や覚悟、そしてプロとしての意識というものを確立したように思います」と、当時を振り返りました。そして、「私たちは金メダル、オリンピックを目指すという夢があります。もちろん、企業の中にも達成目標があると思います。やるべきことは違うかもしれませんせんが、そこに向かう意識、集中、ノウハウ、目標達成の仕方というのは、非常に似ているものがあると思うんです」と、アスリートと企業の共通点を挙げると、「企業の皆様方には、アスリートの夢をつなぐ、そんなチャンスをいただければと思います」と訴えました。

 最後に、就職希望アスリート7名がそれぞれの場所からリモートでプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

高橋尚子さんが応援メッセージ

■赤羽根康太選手(水泳/競泳)
「幼い頃、体が弱かった私は、体力をつけるために4歳の時に水泳を始めました。大学2年生の時に過去最大のスランプに陥り、思うように記録が出せない状況に戸惑い、何のために泳いでいるのか、その意味を見失いそうになりました。それでも再度自分と向き合うことで、オリンピック出場という明確な目標を改めて認識し、それに向けて自分を奮い立たせました。時期ごとにやるべきことを決めて、誠実に練習に取り組み、一つずつ着実に課題を乗り越えた結果、3年目に出場したほとんどの試合で自己ベストを更新しました。来年の選考会でオリンピックの代表権を勝ち取るために、絶対に成し遂げるという強い気持ちを持ち、これからも自分の課題と向き合いながら、日々成長していきます。私を応援してくださる企業の方々には、その結果と姿勢が活力となり、ブランドイメージの向上に貢献できる存在になるとお約束します」

■須山晴貴選手(水泳/飛込)
「私の長所は、どんな困難な課題に直面しても、その課題解決のために創意工夫を行い挑戦し、失敗したとしてもその経験から新たなことを学び、挑戦し続けることができることです。自分に合う練習方法、トレーニング方法、メンタルケアなど、今でも探りながら、アップデートしながら練習しています。今年2月に行われた東京オリンピックにつながるW杯の選考会で見事優勝することができ、代表権を勝ち取ることができました。そのW杯で結果を残すことによって、オリンピック内定を必ず勝ち取りたいと思っています。私は15年、島根県で競技を続けてきて、環境が整っていない中でも結果は残せるんだということを示してきたつもりです。しかし、私が更なる高みを目指すためには、新しい環境、新しいチームメートが必要なのではないかと考えるようになりました。日々支えてくださっている皆様に感謝の気持ちを忘れず、社業にもどん欲に取り組んでいこうと考えています。ぜひ私を採用していただき、ともに戦ってくれる企業さんがいれば幸いです」

赤羽根康太選手(左)、須山晴貴選手

■向江彩伽選手(フェンシング)
「中学1年の時にフェンシングを始め、中学3年生の時に初めてシニアの代表メンバーに選ばれました。しかし、順調と思えた矢先、目標としていた東京オリンピックの選考を兼ねた1年間のレースを目前に、私は左ひざの靭帯を損傷し、手術と長期のリハビリでオリンピックへの挑戦を断念することになりました。リハビリは想像以上に長く、つらい期間でしたが、家族やチームのメンバーの励ましで乗り越えることができ、この期間は私にとって決して無駄な時間ではなく、大きく成長できる機会でした。私はフェンシングを通して、課題や目標に対して、どうしたら克服できるかといったプロセスを考える力を身に付けることができました。スケートの橋本聖子さんがおっしゃっている『人間力なくして競技力向上なし』という言葉にあるように、私はこれからも目標に向かって努力するだけでなく、人間的にも魅力的なアスリートになれるよう努めてまいります。採用へのご検討よろしくお願いいたします」

■小原北斗選手(トライアスロン)
「私は父の影響で小学校1年生の頃からトライアスロン競技をしています。スイムに課題を持っていた私は、アテネから4大会連続でオリンピックへの出場を果たした田山寛豪監督率いる流通経済大学に進学し、高いレベルの中で、スイムの強化にも取り組んできました。4年生の時には、チームの主将として自分一人だけではなく、周りを見ながら考えて行動し、後輩のお手本となるような行動や言動を意識して取り組んできました。また主務としての業務も任せていただいたことで、仕事に対する責任感も持つことができ、社会に出てからも生かすことのできる経験をすることができたと、感じております。私の夢である2024年パリオリンピック、2028年ロサンゼルスオリンピックに向けて、何事にも積極的に取り組むとともに、努力無限に尽くし、選手としてだけではなく、一人の人間としても成長できるように、日々精進していきたいと思います。また企業に入社することができましたら、活気あふれる企業となるよう、自分が社内を盛り上げていけるような気持ちで、全力で仕事にも取り組まさせていただきたいと思っております」

向江彩伽選手(左)、小原北斗選手

■石関玲於選手(トライアスロン)
「私の人生のテーマは、最後まで諦めないで全力で挑戦することです。早稲田大学入学時の目標は、U19で日本代表になることでした。必死に練習を重ね、朝4時に起き、5時からプールまでロードバイクで通い、3時間半泳ぎ、その後2時間のランニング練習、そのまま学校へ、という流れを続けてきました。このハードなトレーニングの結果、短期間でアジアジュニア選手権の日本代表となることができました。この時、私は目標の立て方の大切さに気がつきました。目標の設定方法は、短期だけでなく中期、長期と設定し、オリンピック出場という大きな視野でトライアスロンと向き合うようになりました。そんな私の目標はパリオリンピック出場です。コロナウイルスの影響により先が見えない中で、私が夢に向かって挑戦する姿で、元気や勇気を与えられる選手になりたいと思っています。競技引退後は、トライアスロンに注いだ情熱を業務に生かし、チームを導いていく存在になりたいと思っております」

■大黒田裕芽選手(ラグビー)
「私がラグビーを通して培った能力で、企業に貢献できることは計画力、やり抜く行動力、スピードと正確性の3点です。計画力は、何事も逆算で物事を捉え、ターゲットに向けて計画を立てる力です。その際大切にしていることが、逆算で計画を立て、いつまでに、どのような方法で、何を達成するかを考え行動していくことです。やり抜く行動力は、どんな状況下でも諦めないでやり続ける力です。ひとつのスキルを身につけるには時間がかかります。そのため、すぐにできるようにならないことを前提に、毎日やるべきことをやり続ける力があります。最後にスピードと正確性です。私はチャンスを逃さないスピードと正確性で、必ず結果をつかみます。この3点をさらに強化していくことが、競技力向上につながるとともに、企業に貢献できる内容になると考えます。現在、来年行われる東京オリンピックに向けて、強い信念を持ってトレーニングを行っています。目標はメダルを獲得することです。チームの核となって勝利に貢献するので、その過程を一緒に歩んでいただきたいです。是非、私を採用してください」

■鍋倉那美選手(柔道)
「私は、これまで18年間の柔道修行を通じ、多くのことを学んできました。一つは目標は強く思えば必ず達成されるということ、またそれには努力が必要ということです。もう一つは、柔道修行に答えはなく、限界はないということです。しかし、競技の世界では、その大会ごとに答えが出ます。それは勝つか負けるか、非常に厳しい世界であり、対人競技でもある柔道は、技術性の高い種目であり、試行錯誤、創意工夫のたゆみない努力と準備を必要とします。これまで私は数々の失敗しながらも、この厳しい世界の中で努力を重ね、確実に世界の頂点が見える位置まで、ひたむきに上り詰めてきました。私は自身の目標である2024年パリオリンピックで金メダルを獲得することに向け、妥協なく、挑戦しつづけることを支援企業の方々に対しお約束いたします。自分の活躍、活動により社員の皆様方に元気を与える、社会がより良くなるように、精力善用、自他共栄の精神を常に持ち、社会に貢献できるよう、何事にも志高く、目標達成に向け取り組んでいきます」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との情報交換会がオンラインで行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

石関玲於選手(左)、大黒田裕芽選手
鍋倉那美選手
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