ニュース

女性理事の役割、メディアとエージェント、環境保全をテーマに「平成29年度総務本部フォーラム」を実施

2018.03.22  カテゴリ:その他活動

 日本オリンピック委員会(JOC)は3月7日、「平成29年度総務本部フォーラム」を味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で開催しました。本フォーラムは総務本部の各専門部会における取り組み並びにJOC加盟団体(NF)と情報交換を行う場として実施。今回は「女性スポーツ専門部会」、「アントラージュ専門部会」、「スポーツ環境専門部会」の3専門部会合同で開催され、それぞれのテーマに基づいたパネルディスカッション、グループディスカッションなどが行われました。なお、今年度はJOC、NFの役職員ら145名が参加しました。

 はじめに、平岡英介JOC副会長兼専務理事が開会の挨拶に立ち、昨年4月に総務委員会の名称を現在の総務本部に変更したことを報告すると、本フォーラムで行われる各専門部会で検討している議題の内容を説明。その上で「平昌オリンピックが終了し、いよいよ東京2020大会に世界の目が向いています。JOCとしては選手強化を行って、素晴らしい成績を挙げることが大きな役目であり、運営の順調な準備と実施、そして、日本代表選手団の活躍、この2つが東京2020大会の成功の要因だと思っておりますので、ぜひ皆さま方といっしょにこれらを取り進めていきたいと思っています」と参加者に協力を求めました。

「平成29年度総務本部フォーラム」を実施(写真:フォート・キシモト)
平岡JOC副会長兼専務理事(写真:フォート・キシモト)

■女性理事、委員を増やすには

 午前中に行われた女性スポーツ専門部会では、オリンピアンでありJOC女性スポーツ専門部会部会員でもある中村美里さん、千田健太さんによる司会進行のもと、山口香JOC理事・女性スポーツ専門部会長、高橋尚子JOC理事・同専門副部会長がモデレーターを務め、パネリストとして夏樹陽子日本クレー射撃協会理事、太田雄貴日本フェンシング協会会長、JOC女性スポーツ専門部会員でもある和田知子日本トライアスロン連合理事が参加。「女性理事の役割とアクションプラン〜『ガラスの天井』を破ったその先にあるものとは〜」をテーマに、パネルディスカッションが行われました。

 まず、女性スポーツ専門部会の目的と狙いとして「女性の役員、あるいは委員会の委員をどんどん登用していただくことによって、女性スポーツ全般の普及、発展が進んでいくのではないか。女性の地位向上のために活動しています」と話した山口理事。このことを踏まえ、夏樹理事、和田理事が就任した経緯や各NFでの役割などを説明、また太田会長はNF会長としての立場から考える女性理事の必要性などを述べました。モデレーターとパネリストのみならず、参加者の中から新たに就任した女性理事たちもその経緯や現状の課題などを報告。各NF間における女性理事に対する考えや共通した課題などが挙がり、活発な議論が展開されました。

「身近に協会スタッフがいることは選手にとってすごくありがたいこと。アスリートのそばに女性の理事がいることで、大きな安心感をもたらす可能性も十分にありますので、寄り添うような女性理事や委員を増やしていただきたいと思います」という高橋理事の意見に、夏樹理事は「アスリートあっての理事会だと改めて感じました。アスリートの意見を吸い上げて、上に持っていくことが基本。これからはそうしたことを十分考慮に入れて、自分の目線で気づいたことはどんどん発言していきたいと思います」とコメント。また太田会長が「女性のポストを増やす一番の方法はルール化してしまうこと。日本フェンシング協会としては、委員会の女性委員を増やします。2019年の改正のときには現在の2人から3人、4人まで増やすことを約束します」と公約したことを受けて、和田理事は「意思決定のところに女性の数を増やすのであれば、やはり強い意志をもってそれを制度化することが重要だと思います」と賛同しました。

 続いて、小風明JOC理事・アスリート委員会選挙管理委員長が、4月23日に行われるJOCアスリート委員会選挙について、主旨や実施方法、手続き方法などを説明しました。

左から山口女性スポーツ専門部会長、高橋副部会長(写真:フォート・キシモト)
左から夏樹日本クレー射撃協会理事、太田日本フェンシング協会会長、和田日本トライアスロン連合理事(写真:フォート・キシモト)

■メディア、エージェントとの関わり方

 昼食を兼ねた情報交換会の後、午後の最初に行われたアントラージュ専門部会では、「メディアにおけるアスリート登用の在り方」、「アスリートのプロ化に伴う、エージェントの関わり方について」の2つをテーマに、JOCキャリアアカデミー事業ディレクターでもある中村裕樹アントラージュ専門部会部会員による司会進行のもと、オリンピアンの小谷実可子JOC理事、同じくオリンピアンの室伏由佳さん、山崎卓也弁護士、竹内浩アントラージュ専門部会部会員が討論を重ねました。

 まず「メディアにおけるアスリート登用の在り方」について、選手自身のみならず、選手を取り巻く周辺の取材が2020年に向けてますます活発になっている現状が報告され、小谷理事、室伏さんは自らの経験をもとに、NFがどう選手を守っていくべきか、選手はメディアとどのように関わるべきかなどが話し合われました。さらに、NFが独自に行っている、またはJOCと協力して行っているメディアトレーニングの取り組みや現状なども共有。その中で山崎弁護士は、現在はスポーツそのものよりも活躍した人物に焦点を当てることがスポーツの価値として強くなっている側面を挙げ、「守ってもらうことは大事ですが、その間に誰かが勝手に人物像を作ってしまう恐れもあります。ですので、選手自身が自分のストーリー作りをするオーナーシップを持つことが大事になっていると思います」と、アスリートを取り巻く環境における新しいトレンドの観点から意見を述べました。

 一方、「アスリートのプロ化に伴う、エージェントの関わり方について」のテーマに関しては、小谷理事、室伏さんともにこれまでの経験からアスリートのプロ化についてメリットデメリットがそれぞれあるとの声が挙がりました。そうした中、竹内部会員はメディア側の立場から「アスリートが自分の価値を最大化してもらえる機会がNF以外にあるのなら、躊躇なくプロ化の選択をするのではないでしょうか。つまり、代理人のところに赴き、自分の価値をより高いものにしてもらえる方法を選ぶということになると思います」とコメント。続けて、NFがメディア側とのスケジュール調整を細かくできるかどうかについてに疑問を投げかけ、「やはり代理人のサービスを受けることが賢明な選択であり、代理人が生まれる環境に今あると思います」と、エージェントとの関わりの必要性を述べました。

 ディスカッションに引き続き、山崎弁護士が「アスリートのプロ化とエージェント・マネジメント」に関する講義を実施し、エージェント選びのポイント、適切な関係の築き方、注意点などを説明。最後に、アントラージュ専門部会長でもある高橋理事が「メディアとの関わり方はメリットもありますが、選手主導で進められるかがポイントになってきます。また、エージェントとの関わり方について、選手が迷わないような形で情報を共有し、伝えていただけるようなNFになっていただけるとすごく嬉しいです。ぜひ、2020年に向けて皆さんとともに選手を守りながら、また平昌オリンピックと同じような形で選手が活躍することを願いたいと思います」と締めくくりました。

左から山崎弁護士、室伏さん、小谷JOC理事(写真:フォート・キシモト)
左から中村アントラージュ専門部会員、竹内部会員(写真:フォート・キシモト)

■東京2020大会に向け、環境保全のために何ができるか

 フォーラムの最後に行われたスポーツ環境専門部会では、はじめに、野端啓夫JOC理事・スポーツ環境専門部会長が「平成29・30年度スポーツ環境専門部会の活動」について報告しました。続いて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の山下淳生総務局持続可能性部持続可能性計画課長が、「東京2020大会持続可能性に配慮した運営計画第二版の方向性について」と題し情報提供。大会における「持続可能性」の重要性のほか、持続可能性運営計画(第二版)の構成要素や施策案、また、計画の策定スケジュールなどを共有しました。

 これを受けて、「東京2020大会までの3年間、啓発活動から実践活動に向けてスポーツ環境専門部会として何ができるか」をテーマに、参加者は6班に分かれてグループディスカッションを実施。各グループからは「用具をリユースするための仕組み作り」「NFの運営にかかる事務作業や大会運営をウェブ化(ペーパーレス化)」「トップアスリートによる環境保全の啓蒙」「環境保全啓発ポスターの外国語化」などの具体案が挙がりました。
 野端スポーツ環境専門部会長は、「同部会で今回寄せられた意見を参考にしながら2020年、またその先に向けた取り組みを検討していく」と締めくくりました。

野端JOC理事・スポーツ環境専門部会長(写真:フォート・キシモト)
東京2020組織委員会の山下総務局持続可能性部持続可能性計画課長(写真:フォート・キシモト)

 フォーラムの最後に、閉会の挨拶に立った松丸喜一郎JOC常務理事・総務本部長は「スポーツ団体にとって、総務系の役割、責任は大きくなっています」と参加者に呼びかけ、それはJOCでも同様であることを述べました。そして、平昌オリンピックのメダリストたちが語った言葉の重みを実感したことについて言及し、「人間力のある選手じゃないとメダルを取れない。また、人間力のある選手たちが育ってきてくれました」と語ると、「東京2020大会を控えて、人間力のあるアスリートをしっかり支えるスポーツ団体であること、そして選手強化系を支えるのは我々総務系の役割だと思っています。これからも皆さんといっしょにスポーツ団体の運営力、また組織力を高めるべく頑張っていきたいと思います」と誓い、今年度の総務本部フォーラムを締めくくりました。

東京2020大会までに環境保全について何ができるかをグループディスカッション(写真:フォート・キシモト)
松丸JOC常務理事・総務本部長(写真:フォート・キシモト)
ニュース一覧へ

前後のニュース