/ JOC / JOC NEWS
 
JOC NEWS

« 内閣総理大臣記念品贈呈式にオリンピック・パラリンピックの出場選手らが出席 | メイン | バンクーバー冬季オリンピックの選手らが文部科学大臣顕彰・表彰式に出席 »

2010/04/27

平成22年度JOCコーチ会議開催、ロンドン、ソチへの対策論じる(ムービー付)

 平成22年度のJOCコーチ会議が427日、味の素ナショナルトレーニングセンターで行われました。JOC選手強化関係者のほか、各競技団体の強化スタッフなど約300名が出席。バンクーバー冬季オリンピックの検証や、2012年のロンドンオリンピック、2014年のソチ冬季オリンピックへの対策を話し合い、有意義な時間を過ごしました。

Kaigi
約300名が出席しJOCコーチ会議が開かれた(アフロスポーツ)

 冒頭で、福田富昭JOC副会長は、「今日の目的には、スポーツ人の心をひとつにし、チームジャパンが一丸となることが挙げられる。各現場では、選手に物が言える指導者になっていただきたい」と、参加した指導者へ意識向上を求めました。続いて文部科学省スポーツ・青少年局の芦立訓競技スポーツ課長は、海外での強化の取り組みについて調査分析を行ってきた『チーム「ニッポン」マルチサポート事業』について触れ、「今年度から抜本的に拡充した事業として開始。コーチや競技団体の強化責任者など様々な人が知恵を持ち合い国際競技力の向上を図る新しい試みとなっている。日本の科学力を生かして、器具の開発などにも取り組みたい」とあいさつしました。

 プログラムの最初は、上村春樹JOC選手強化本部長が「ゴールドプラン目標達成に向けて」と題して講演しました。「夏季バージョンで掲げた、2016年に金メダル数3位を目指すゴールドプラン達成のためには、2012年のロンドンでは5位を目標にしたい。それには1618個のメダルが必要です」と説明。「今まで我々がやってきた事が正しいか今一度チェックしなければならない。日本人は身体が小さいから不利と言うが、今回スキージャンプで優勝した選手は背が低かった。常識や慣例を再度検証し、もっと選手に精神力をつけ自信を持たせ、一丸となってあと2年取り組めば(5位以内も)可能となる」と、コーチ陣を激励しました。

Uemura

コーチを激励する上村強化本部長(アフロスポーツ)

 次に、橋本聖子バンクーバー冬季オリンピック日本代表選手団団長は、大会報告として、「選手団団長として選手・指導者に求めるもの」について講演。韓国が14個のメダルを獲得したことについて、「国家戦略としての集中的な強化の成果」とし、日本での強化の必要性を訴えました。さらにスポーツ省を設立する動きについても触れ、「スポーツには潜在能力がある。スポーツを通して力強い人間を育てること、また(健康になることで)医療費を減らすことも出来る」と指摘。最後に「素晴らしい選手が素晴らしい人間であることで、発信力が持てるもの。厳しい環境のもと、愛情を注ぎ、叱咤激励することで本物の人材を育てることが出来る」とコーチ陣に呼びかけました。

■ムービー:橋本団長から大会報告

続いて、勝田隆JOCゴールドプラン委員会副委員長が「Team JAPANポリシーステートメント」について、JISS情報研究部の山下修平研究員が「東京Jプロジェクトによるバンクーバー冬季オリンピック分析概要」について説明。その後、「Team JAPANポリシーステートメント」、「バンクーバーでの戦いを振り返る」「日本代表選手団の可能性と成長戦略」「世界標準のメダル獲得アプローチ」「現代オリンピックに求められるロールモデルとしてのアスリート」の5つのテーマについて、ブースに分かれてのディスカッションが行われました。

■ムービー:TEAM JAPAN ポリシーステートメント

最後のプログラムは、久木留毅JOCゴールドプラン委員会委員を進行役に、加藤条治選手(スピードスケート男子500m銅メダリスト)と田畑真紀選手(スピードスケート女子チームパシュート銀メダリスト)の2人をパネリストに迎え、「メダリストからの指導者、競技団体、JOCへのメッセージ」についてパネルディスカッションが行われました。

田畑選手は「トリノ大会の後、カナダへ4カ月の遠征に行き、逆に日本に十分な練習環境があると分かり、外国に負けたくない気持ちが出てオリンピックに臨む事が出来た」、加藤選手も「トレーナーとドクターのお陰で調子を上げることができた」と、それぞれトリノ大会以降、周囲のサポート体制が充実していたことを説明しました。

また日本スケート連盟がバンクーバーに設置したサポートハウスについても、田畑選手は「リラックスルームで息抜きが出来た」、加藤選手も「日本食を提供してもらい、食事の面でとても助かった」と、サポートが力になった事を話しました。さらに2人が比較的小柄な選手であることから工夫についての質問があると、田畑選手は「身体を最大限使うために、毎日20分間のエアロビクスをして股関節周りの細かい筋肉を鍛え、ダイナミックなスケーティングに繋げている」、加藤選手は「氷への力の伝え方を大切にしているので、外から見た形ではなく、自分の感覚を重要視している」とそれぞれの取り組みを紹介しました。

最後に、市原則之JOC専務理事が「今、スポーツ界は自立の時を迎えている。JOCの強化事業も事業仕分けの対象になり、今やスポーツ人は社会人としての位置づけを考える時。総合力のある選手を育てるためには、さらなるコーチの活躍が必要である」と話し、3時間半にわたる充実した会議を締めくくりました。

パネルディスカッションの模様を一部、ムービーでご紹介します。

■「前大会トリノの経験をどう生かしたか」

■参加者からの質問「なぜメダルを獲らなくてはならないか」他