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2010.10.19 キャリア支援

経済同友会、トップ・アスリートのための支援を求め企業説明会を開催

経済同友会、トップ・アスリートのための支援を求め企業説明会を開催
3人のアスリートが現状を説明した(アフロスポーツ)

経済同友会は10月14日、JOCの協力依頼のもと、トップ・アスリートの支援・雇用に向けた企業説明会を開催しました。JOCが進めている支援プロジェクト「One Company, One Athlete」の本格的始動となる説明会で、43社の企業から人事担当者らが参加。水泳の古賀淳也選手、柔道の谷本歩実さん、スキーの皆川賢太郎選手の3人がアスリートの現状を説明したほか、実際に就職活動中の31選手(11競技団体)のエントリーシートも配布されました。

経済同友会、トップ・アスリートのための支援を求め企業説明会を開催
荒木田理事(右)らから説明が行われた(アフロスポーツ)

JOCが進めるプロジェクト「One Company, One Athlete」は、ひとつの企業がひとりのアスリートを支援または雇用することで、選手にとっては練習環境の安定、企業にとっては社内の連帯感強化や社会貢献といった双方に利益のある関係を構築しようと、JOCがその架け橋の役割を目指すプロジェクト。今回の説明会を皮切りに、全国の経済団体の協力を得て活動を広げていく方針です。

説明会では、市原則之JOC専務理事が「スポーツが、企業の社会貢献になるよう考えなければならない時。今日は3人のアスリートの生の声をぜひ聞いていただければと思います」とあいさつ。経済同友会の前原金一副代表幹事が「厳しい経営環境下のもと、日本の企業スポーツは休・廃部に追い込まれるケースが多く、何か貢献しなければならないと思っています。また文部科学省では、企業のスポーツ支援に対する税制優遇などの環境整備についてより一層の取り組みをよろしくお願いいたします」と挨拶しました。また文部科学省スポーツ・青少年局の布村幸彦局長も「来月から文部科学省では、アスリートを社会貢献として支援している企業を表彰する制度を始めます」と話しました。

■アスリートの声と企業情報をマッチング「アスナビ」

続いて荒木田裕子JOC理事、JOCゴールドプラン委員会の原田尚幸委員、JOCキャリアアカデミー事業の八田茂ディレクターが事業の概要を説明しました。まず日本では、夏のオリンピック選手の5割、冬では6割が企業所属で、企業に支えられてきた日本スポーツ界の現状を紹介。具体的な活動として、支援スキーム「アスナビ」を構築し、支援を求めるアスリートの声と支援に興味のある企業の情報を提供することで、就職に結びつけていくことを示しました。また実際に、出社可能日数、必要経費の金額、自己アピール、選手経歴などが詳細に書き込まれたエントリーシート31人分を企業に配布し、具体的な支援の検討を求めました。

「スポーツのサポートには何千万円もの資金が必要だと誤解されている傾向がある」と荒木田理事。原田委員も「正社員や契約社員など契約形態はさまざまで、支援内容も給与だけのケースから、遠征費、用具費、練習施設使用料、スタッフ経費など、段階がある」と、多様な支援が可能なことを説明しました。

経済同友会、トップ・アスリートのための支援を求め企業説明会を開催
企業に支援されてきた実体験を語る(アフロスポーツ)

■「社会貢献活動、団結力、夢の共有」支援のメリットを訴え

さらに、古賀選手、谷本さん、皆川選手がアスリートの現状を説明しました。世界水泳選手権の背泳ぎで金メダルを獲得しながらも就職活動中の古賀選手は、大会が大学3年生の就職活動ピーク期に重なってしまった現状を説明。「目上の人への態度、目標を立てて達成に必要なことを強化していく経験、目標を達成する喜びを実感していることなど、アスリートは社会でも通用する人間が多い」と強調。「引退したときに、何もすることがないのが一番不安。ロンドンオリンピックで金メダルをとるために地盤を固めたい」と支援を訴えました。

またコマツに所属し、指導者の道を選んだ谷本選手は、「今は社会貢献活動の人件費として所属して、事業所訪問や柔道教室を開くなどの活動をしています。メディアに出ること以外に、会社の仕事として自分を生かせる場があることが嬉しいです」と話し、現役時代に週3回午前中に出社して仕事を教わり、仕事後にはご飯に行くなど、良好な関係を築いたことで引退後も新たな活動の場を開拓できた実体験を語りました。

さらに皆川選手は、年の半分は海外遠征が必要なため会社に通勤できる日数が少なく、多額の遠征費がかかるスキー競技の特性を説明しました。「スキー以外の時間は会社の現場や会議に出ることで、自分の経費がどこから捻出されているかも理解できました。自分から歩み寄っていったことで、社員の方々にも応援する気持ちが生まれて団結力が生まれました」と皆川選手。実際にケガをしたときも支援企業は1社も離れず、「夢をかなえる瞬間を共有したい」と言われたほどの一体感を構築してきたことを紹介しました。

アスリートを支援することは、社内の一体感醸成、夢の共有、社会貢献活動のほか、アスリートの精勤さそのものも含め、金額には置き換えられないメリットがあります。企業の方々とアスリートがそれぞれの目標を共有し、チームジャパンとして一体となり夢に向かっていく――。新しい好循環を生み出す取り組みが、今まさにスタートしました!

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