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2013.02.18 その他活動

「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催

「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催
スポーツ団体マネジメントセミナー(写真:アフロスポーツ)
「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催
冒頭のあいさつを行った市原則之JOC専務理事(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は13日、味の素ナショナルトレーニングセンターで「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催しました。このセミナーはスポーツ団体が国民の求める社会的価値観に応え、より支持されるための組織力強化を目的に行われ、JOC役員、職員、加盟団体関係者ら132人が参加しました。

 冒頭、JOCの市原則之専務理事があいさつに立ち、「我が国のスポーツは、アマチュアリズムに支えられた歴史的背景から組織運営もボランティアを基盤としてきた。その一方で国庫補助金を財源とする事業もあり、高い公益性と社会性を持つ組織として果たすべき社会的責任も重く、組織運営の透明化を図り説明責任も果たさなければならない。体罰問題も山積している中、組織強化の方向性を模索していきたい」と述べました。

「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催
コンプライアンスに関する講演を行った飯田隆弁護士(写真:アフロスポーツ)

■JOCと加盟団体に必要なコンプライアンスとは
 第1部では「JOCと加盟団体におけるコンプライアンスの重要性とその実践」と題し、JOC専任コーチ謝金競技国負担金問題の第三者特別調査委員会委員長を務めた飯田隆弁護士が講演。冒頭で柔道をめぐる問題について「明確なコンプライアンス違反である」と厳しく指摘しました。

 JOCと加盟団体の機能について、日本代表選手の選考や傘下加盟団体の統括といった行政機能、補助金などを受け取って分配する機能、国際大会・国際交流における国の代表機能という3つの特徴的な役割を紹介しました。コンプライアンスの定義については「守るべきルールや社会的規範であり、違反した場合には制裁を受けなくてはならない」という基本を説明。JOCと加盟団体は国民の税金などを財源としたお金を受け取る公的団体であるとして「法令遵守だけでなく社会の要請や動きに対応して早めの対応をすべき」と伝えました。また、「スポーツ基本法はみなさんにとって憲法」として深い理解が必要であるという認識を示しました。

 コンプライアンス違反が起きた際の対処法について、問題発覚後の対応で対照的な結果となった2社の事例を用いて紹介。発覚した場合には「誠実で迅速な対応と徹底した原因究明、再発防止策の決定が求められる」と説明しました。

 昨年発覚した一部団体による活動実態のないコーチに対する補助金の不正受給問題に対しては「規制の趣旨・目的をしっかり理解して、コンプライアンス違反が二度と起きないようにしなくてはいけません」と呼びかけました。さらに「不正をなくすためにも経済基盤の弱い団体への資金補助にJOCは取り組むべき」と、加盟団体の経済的基盤の充実と強化の必要性を訴えて講演を締めくくりました。

「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催
アスリートブランドジャパン株式会社の長井祐介さん(写真:アフロスポーツ)

■海外スポーツ団体のさまざまな取り組みを学ぶ
 第2部では「実例から学ぶ〜海外におけるスポーツ団体のガバナンス〜」と題し、諸外国におけるリサーチ業務を専門とするWIPジャパン株式会社の高瀬富康さんと、国内外のスポーツマーケティングなどに携わるアスリートブランドジャパン株式会社の長井祐介さんが登壇し、5つのテーマで海外スポーツ団体の事例を紹介しました。
 
 まず、長井さんが収入を増加させている海外のスポーツ団体の取り組みとして、米国ソフトボール協会とイングランドバスケットボール協会を紹介。共通の施策としては、会員特典を強化することで会員数を大幅に増加させたこと、それに加えてイングランドバスケットボール協会では地域のクラブチームへの認証制度を開発し、10年連続黒字運営に貢献したことも報告されました。

 次にイギリスとカナダのコーチ養成プログラムが紹介されました。イギリスではこのプログラムを受講したコーチに指導された選手たちがロンドンオリンピックで結果を残したという事例が、カナダでは1970年代にはコーチング協会が設立され「選手時代の実績だけではコーチになれない」というシステムが導入されているという事例がそれぞれ発表されました。

 続いて、海外のスポーツ団体で不祥事が発生した際の具体的な対処例として、コーチから選手に対する性的虐待事件が発覚した後の米国オリンピック委員会(USOC)の対応を挙げました。この事件を機にしてUSOCは再発防止策を決定し、不正、虐待、身体的な暴力などを明確に定義づけ、ウェブサイトやハンドブックを通じた情報提供を行いました。また弁護士事務所と提携し、問題が起きた直後には無料で調査を実施しているということも報告されました。

「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催
WIPジャパン株式会社の高瀬富康さん(写真:アフロスポーツ)

 発表者が高瀬さんに交代し、カナダにおけるスポーツ団体のコンプライアンスの話題となりました。カナダのスポーツ団体は4年ごとに行われる認証を受けなければならず、そこでは、さまざまな項目をクリアしなければ継続的な活動ができないそうです。また、認証を受けた後もドーピングなど厳しい倫理規定を遵守する必要があり「関係者が禁止事項に違反した場合には除名される可能性もある」と紹介しました。

 最後のテーマはスポーツ団体をマネジメントする上で欠かせないウェブサイトについてでした。まず高瀬さんは「もはやウェブサイトは10年前、20年前とは違いすべての情報を公開しなければいけない」と情報公開の必要性を強調。その具体例としてUSOCの公式ウェブサイトを紹介しました。そこでは理事会の詳細な議事録や、明確な規定が全文掲載されていて、「公開されていないと隠していると思われる」として、「情報はすべて公開すべき」との考えを示しました。

「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催
JOC総務委員長の青木剛常務理事(写真:アフロスポーツ)

 5つのテーマの発表を終え、高瀬さんは「現在のスポーツ界には問題もたくさんありますが、明るく笑顔を取り戻しましょう。今日のセミナーがきっかけとなって、2020年オリンピック・パラリンピック招致成功につながることをお祈りしています」とまとめました。

 最後にJOC総務委員長の青木剛常務理事が「講演の話にもあったコンプライアンスとガバナンスはスポーツ団体に求められているものです。この内容を活かして新しい日本のスポーツ界を築きましょう」とセミナーを締めくくりました。

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