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2022.02.18 オリンピック

【メダリスト会見】4つのメダルを獲得したスピードスケート女子の髙木美帆選手「チームの力の強さを証明できた金メダルだった」

【メダリスト会見】4つのメダルを獲得したスピードスケート女子の髙木美帆選手「チームの力の強さを証明できた金メダルだった」
メダル獲得の心境を語る髙木美帆選手(写真:アフロスポーツ)
【メダリスト会見】4つのメダルを獲得したスピードスケート女子の髙木美帆選手「チームの力の強さを証明できた金メダルだった」
1000mで金メダル、500m・1500m・チームパシュートで銀メダルを獲得(写真:AP/アフロ)

北京2022冬季大会のスピードスケート女子1000mで金メダル、500m・1500m・チームパシュートで銀メダルを獲得した髙木美帆選手が18日、記者会見に出席し、メダル獲得の心境を語りました。

■「最後1000mで渾身の滑りができた」

――4個のメダルを獲得した感想をお願いします。

 今回のオリンピックで4つのメダルを獲得することができましたが、まずは無事に最後まで走りきることができて良かったなと今は思っています。また最後の種目で金メダルをとることができたというのは、本当に私だけの力では成し遂げることができなかったなと強く思っていて、チームの力の強さというのを証明できた、みんなでとれた金メダルだったのかなと感じることができていて、それもまた自分の中で嬉しく思うところでもあります。 

――この大会が始まった最初のころに複雑な思いがあるということを話していましたが、その複雑な思いとはどんな思いだったのか、それは今どこにいっているでしょうか?

 今、気持ちの中では3000m、1500mはすごく前のことのように感じていて、今すぐにどんな気持ちだったかと言われると、どういう気持ちでその言葉を発したかなと思っている自分がいます。多分その複雑な思いというのは、きっとそのリンクの上にヨハン(・デビットヘッドコーチ)がいないことだとか、あとは自分がまだ調子を上げきれていないと思っている中でも、それをレースが全部終わるまでは言葉にしたくないなという思いとかがあったので、そういう表現になったのかなと今は思っています。どこにいったか、そうですね、それでも1500mで思い描いたような滑りをすることができなかったというのは私の中で消えずに残っているものではありますね。でも、最後の1000mで渾身の滑りができたと思うレースができたことは、やりきったと思えるところとして強く影響を受けているというか、そういう思いがあります。

――平昌とは違う思いで挑んだ大会だと思うのですが、(競技を)終えてみて前回との違いを何か感じているものはありますか?

 難しいですね。終えてみて感じるのは、また全然違うオリンピックだったなというのはすごく感じますけど、でも今回のオリンピックは平昌の時より苦しんだ時間というのは強かったなと思います。平昌オリンピックの時は、自分が果たさなければいけないと思ってレースに挑んでいるところもあったので、そういうプレッシャーの重さだったりというのは確かにありました。それでも、滑っていて迷ったりということはしなかったなと覚えているので、今回その序盤の方で自分の中で迷ってしまった時間というのは結構しんどい時間にもなったなと思っています。そういう点は違うところかなと。

――迷ったというのは、滑りでしたらいろいろあると思いますが、どういうところが一番迷っていたなと振り返って感じますか?

 3000m、1500mの時は周りの人が見ても、「本当にあそこまで迷っている美帆を見たのはなかなかなかった」という言葉を終わってから聞いたりとか、顔が暗いというか、そういう表情をしていると家族から言われたりしていたので、終わってみて自分を信じ切れなかったなと思うところもありました。何に迷っていたかと言われるとちょっと難しいですけど、信じる気持ちを持ちきれなかったところというのは大きかったかなと思います。

――冒頭の発言で、チームみんなでとれた金メダルというのがありました。いろいろな意味を込めてチームと話していると思います。今回、一緒にパシュートで銀メダルをとった皆さんであったり、男子短距離のメダリストであったりと、強化が良い形で進んでいるのかなと思いますが、ナショナルチームでの強化について髙木選手ご自身はどのように感じていますか?

 ナショナルチームは環境としてもすごく整っているなと感じていて、私にとって必要だと感じるものがすごくたくさんある場所だなと強く思っています。私はナショナルチームが結成された当初からずっと所属させてもらっていますが、若手が入ってきたりとか、日本を背負って戦ってきた先輩方が背中を見せながらさらに引っ張っていってくれるような場所だったりとか、選手同士の見えないところでの刺激や助けというものが意識の高いところで行われているというのは大きいかなと感じています。あとスピードスケートは体を酷使するスポーツなので、コーチのトレーニングの組み立てだとか、トレーナーさんの体のサポートだとか、そういうもの全てが質の高いところで行うことができるというのは、私にとってはすごく大きな場所だなと思っています。

【メダリスト会見】4つのメダルを獲得したスピードスケート女子の髙木美帆選手「チームの力の強さを証明できた金メダルだった」
ヨハン・デビットヘッドコーチ(左)とタッチをかわす髙木選手(右)(写真:アフロスポーツ)

■「自分もできるんだと強く思えることは、いろいろな面において大事なこと」

――今回5種目挑戦される中で、要になったのが食の面だったと思います。なかなか胃の消化が進まないとか、苦しい思いをされていることを昨日お話しされていましたが、その中で(管理栄養士の)村野あずささんからどういうアドバイスをもらって実践されたのか教えてください。

 特に困ったというか大変だったのが、500mの前後の食事のタイミングはすごく難しくて、夜のレースだったので終わった後に何を食べたらいいのか、始まる前は何を意識して摂っておくべきなのかというところまで私の中で思考が働かなかった時に、すぐにアドバイスをくださって、そのおかげで自分の中で一つ思考する分野を減らすことができました。食に関して心配せずに、食のスケジューリングを立てることができたというのは大きかったなと思います。1000mの前は結構食べるのもいっぱいいっぱいで、ご飯と納豆を食べるのがギリギリというところでもありました。補食を摂るタイミングや、ゼリーの活用方法というのも、何度も話している内容ではありましたが、それでも改めてレース前にアドバイスをいただいて、自分の中で食に関してクリアな思考を持つことができたというのは大きかったなと思います。

――平昌までは1年間のサポートだったと思いますが、さらに4年、サポートを受けたことでご自身にとってどのような存在になっているのか教えてもらえますか?

 平昌の時までは自分の基盤づくりと思っている部分もあって、細かいスパンですごくやりとりをさせていただいて、サポートを受けていて、その後は毎日毎食というよりは自分の知識とか情報を増やすというところで力強いサポートをいただきましたね。食はスポーツと直結するものでもあるので、苦しむこともありましたが、食に向かって一緒に考えていける方でしたので、そういった面でもこの北京という舞台で最後まで一緒に戦うことができたのかなと思っています。

――昨日レースを終えて選手村に帰られて、同部屋のパシュートの皆さんと話もあったかと思いますが、どういう言葉をかけられましたか?

 私が部屋に戻った時は、その後すぐにテレビ局回りがあるので準備をしなければいけないという状況でしたけど、部屋には誰もいなくて、「ああ、誰もいないな」と思いながら部屋に入って準備しているような感じでしたね(笑)。姉(髙木菜那選手)は途中で入ってきましたけど、「お疲れ、おめでとう」みたいないつも通りの感じで、佐藤綾乃選手はちょっと会えた時に「美帆さーん、すごく感動しました」という言葉をもらいました、いつも通りな感じで(笑)。吉井小百合さんからも「おめでとう、お疲れ様」と言葉をいただいたという感じです。

――美帆選手がパシュートも含めてメダルを4個とったということで、日本選手が世界と戦って勝てると他の選手も勇気づけられているのではないかなと思いますが、その辺りはどう感じますか?

 他の日本の選手がどう感じているかというのは分からないところはありますけど、私が強くなり始めたときのきっかけになった言葉が、海外選手が活躍しているのを見た時に、ヨハンが「同じ人間ができていることなんだから、何で自分もできるって思えないんだ?」という一言のさりげない質問でした。その言葉というのは後々すごく自分の中で大事な言葉になっていて、「本当に自分もできるんだ」って強く思えることは、いろいろな面において大事なことだなと、この長い間スケートをやってきて感じる部分ですので、もし私の活躍を見てそういった勇気だったり、原動力というのを感じてもらえていたら嬉しいなと思います。

――今回、多種目挑戦、5種目挑戦が非常に大きなテーマで注目もされたかと思いますが、ここで一つ結果を残したことで、オールラウンダーとして競技を追求していく姿勢というのは今後も貫いていくのか、また少し違った考えがあるのか、現時点でどういう気持ちがありますか?

 私の中ではまだ3000mというところを考えた時に、上位との差はあるなと感じているので、オールラウンダーになれたかと言われると、まだそこまでではないかなと思っている自分がいます。これからのことというのは、私の中で決めるものではなくて湧き上がってくるものなので、現時点でどうというのはないですが、とりあえず世界オールラウンド選手権がこの後にあるので挑戦していきたいなと今は思っています。

――パシュートの整理はまだついてない中で1000mに挑んでいたということですが、あれから3日経って現状の気持ちと、マススタートに出場するお姉さんと佐藤選手への言葉があればお願いします。

 パシュートもそうですけど、このオリンピックに多種目出たということもあり、その種目が終わったらすぐ次の種目に向いて、終わったらまた次とやってきた中で、一つひとつをゆっくり振り返る時間というのはまだ持てていないなと感じています。パシュートも含めて1500mだったり、そういうところの気持ちをもう1回ちゃんと大事に思い返したいなというのが今の気持ちですね。だから整理というところではまだできていないというのが答えかなと思っています。あとは、明日のマススタートに関しては、2人には無事に帰ってきてほしいなというのが私の一番の思いです。2年間、実戦ができていないというのは良い意味でも悪い意味でも何が起こるか予想できないところになるほどの時間だと思っているので、自分たちが納得いくレースができればそれに越したことはないんですけど、私はそれ以上に無事に帰ってきてくれたらいいなと思っています。

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