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2021.11.08 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
プレゼンを行った5選手。左から伊藤洸輝選手、田上駿選手、松井隆太選手、増田陽人選手、松津秀太選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
星野一朗JOC専務理事(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は10月13日、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに209社/団体、336名(2021年11月1日時点)の採用が決まりました。

 説明会は公益社団法人経済同友会の会員を対象に、約2年ぶりに対面方式で行われ、8社8名が参加しました。

 最初に主催者を代表して星野一朗JOC専務理事が、経済同友会の支援のもとアスナビ説明会が開催されることへの感謝の言葉を述べました。続けて「トップアスリートが世界と戦うために誰かが応援して下さることが大きな力になります。東京2020大会は史上最多の58個のメダルをとることができましたが、多くの方の支えがあって試合ができているということ、感謝の気持ちとありがとうという気持ちをどのアスリートも持っていると実感致しました。アスリートを支えるTEAM JAPANの仲間として、アスリートの未来を、真に強いアスリートを皆さんと一緒に育てていきたい」と、アスリートの採用を呼びかけました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
大西賢委員長(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
株式会社内田洋行人事部の長谷川泰さん(写真:フォート・キシモト)

 続いて、経済同友会東京オリンピック・パラリンピック2020委員会の大西賢委員長が「アスナビは2010年から続いている活動で、今後もトップアスリートを応援していきたいという気持ちを持ちながら、一緒に活動をさせていただきたいと思っています。選手たちが安心して競技に没頭できる環境をアスナビを通じて作っていきたいので、皆さんにもご協力いただけたらと思います」と挨拶しました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、アスナビの概要ならびに、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを動画で紹介。さらに資料をもとに雇用条件、夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート活用のポイント、採用後のカスタマーサポートなどを説明しました。

 続いて、採用企業の選手活用事例として、辻川美乃利選手(陸上競技)を採用した株式会社内田洋行の人事部に所属する長谷川泰さんが登壇しました。長谷川さんは、辻川選手が営業部に所属し、競技を行いながら週4日間、営業の運用をサポートする仕事をしていることを紹介。今までアスリートを採用したことはなかった同社ですが、「コロナ禍で応援にいくことは難しかったけれど、大会もどんどんオンラインで配信が増えていったので、全国どこにいても彼女の試合を見ることができるようになり、電光掲示板の中に私たちの会社の名前が出るのはすごく嬉しい」と語りました。
 また、アスリート社員を採用することの目的として「高い目標に向かって挑戦を続ける競技者としての精神が企業風土と合致していること」「努力を重ね日々まい進していく姿に共感し、競技者としてだけでなく社員としての活躍に期待を寄せたこと」「競技者を社員に迎えグループ一丸となって応援することで、全社員の連帯感を醸成するとともに、日本のスポーツ振興を支援したいこと」の3点を挙げました。加えて、いつか競技を引退した先もビジネスパートナーとして活躍してくれるという期待を持って採用したとも語った長谷川さん。最後に「しっかりと高い目標を決めて取り組んでいく選手は、苦しみながら試行錯誤しながら活動していく、トライ&エラーを繰り返してやっていると思います。いつか本気で仕事をする時もちゃんとパフォーマンスを発揮してくれる人材だと感じています。最初は競技活動が中心になると思いますが、その先の仕事では必ず活躍してもらえると思います」と述べました。

 辻川選手からはビデオメッセージが寄せられ、株式会社内田洋行への志望動機や現在の業務内容、競技活動について報告するとともに、就職希望アスリートに向けて「コロナ禍の中、競技活動をするだけでも大変で不安の尽きない時代ですが、就職活動と競技活動の両方に力を入れて頑張ることで必ずご自身の成長につながると思います。私も競技と仕事の両方で活躍できるよう、挑戦を続けていきたいと思います」と、エールを送りました。

 最後に、就職希望アスリート5名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介や競技のデモンストレーションなどで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
伊藤洸輝選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
田上駿選手(写真:フォート・キシモト)

■伊藤洸輝選手(水泳/飛込)
「私は小学1年生の時に、兄が飛んでいるのを見て競技を始めました。中学3年生になるとJOCエリートアカデミーに推薦され、高校3 年間は味の素ナショナルトレーニングセンターでの生活をしてきました。「人間力なくして競技力向上なし」という言葉の通り、さまざまな経験から人間力を培ってきました。高校3年生でエリートアカデミー全体をまとめるキャプテンに任命されました。ここで学んだ人間力、そして自分に厳しくトレーニングに取り組んだ結果、東京2020大会出場という目標を勝ち取ることができました。自分をここまで成長させることができたのは、チームを代表して競技に出場しているという責任感、自分で考え工夫し解決する問題解決能力、忍耐力、そしてJOCエリートアカデミーで学んだ人間力だと考えております。次の目標はパリオリンピックでのメダル獲得です。これまで培ったことを活かし、また感謝の気持ちを忘れずに、仕事も競技も全力で取り組みます」

■田上駿選手(陸上競技/十種競技)
「私の強みはどんな困難な状況でも目標に向かって前進し続けられることです。自分には才能がないと諦めそうになった時に混成競技に出会いました。限られた時間の中で効率的に取り組める練習メニューを自ら考え、試合で常にベストパフォーマンスが出せる準備を積み重ねてきました。その結果、高校時には全国優勝を果たし、現在は日本代表として世界のトップアスリートたちと戦うため日々練習に励んでいます。また混成競技で学んだ、課題を多面的にとらえ、解決策を探し、物事に効率的に取り組むことを学業にも活かし、高校、大学ともに総代として答辞を読ませていただきました。私を採用いただきましたら、十種競技のチャンピオンの称号であるキングオブアスリートとして結果を残すことはもちろん、一社員として企業様の業績に貢献できるような働きを目標に掲げ取り組んでいくことをお約束致します」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
松井隆太選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
増田陽人選手(写真:フォート・キシモト)

■松井隆太選手(テコンドー)
「私は3歳の頃から兄と姉の影響でテコンドー競技を始めました。幼い頃から年上で自分より体の大きい選手と練習をしてきましたが、自分より体が大きいからと言って諦めるのではなく、どう動けばいいのか、どうすれば勝てるのか、といった考えを持ち続けてきました。今ではそういった考えが習慣になり、常に物事を達成するためのことを先に考えるようになりました。どんな環境でも集中して物事に取り組めること、より高い成果を達成するために考え、行動することを学びました。採用していただけましたら、競技から学んだ経験を生かし全力で取り組みたいと考えております。そして、世界選手権大会、アジア競技大会、ユニバーシアードが来年度に行われるので、まずはそこでメダルを目指し、2024年パリオリンピックに向け、日々努力していきます。ぜひご採用していただきますよう、よろしくお願いいたします」

■増田陽人選手(フェンシング)
「選手としてだけではなく、働かせいただくうえで目標があります。それは会社内で応援されるアスリート社員になること、会社にきちんとした形で貢献することです。競技・仕事の両立は難しいですが、私はこれらを両立するための2つの強みがあります。1つ目はPDCAサイクルを基本として、受験や競技で成果を出してきました。2つ目は大学の講義で学んだ分析力です。大学入学当初は結果を出すことができませんでしたが、映像やデータを分析して、これまでのプレースタイルを変更し、2019年U-20W杯で個人2位という成績を収めることができました。フェンシング男子エペは東京2020大会で金メダルを獲得しました。そのメンバーといっしょに練習をすることで、世界一になるためには何が必要かを肌で感じ、私にとって大きな財産となりました。私自身がパリオリンピックで活躍するために、今後自分の強みをさらに磨き、金メダルを獲得したいと考えております。それと同時に会社では、自分からできることをやっていきたいと思います。ぜひご検討のほどよろしくお願いいたします」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
松津秀太選手(写真:フォート・キシモト)

■松津秀太選手(スケート/ショートトラック)
「2019年ユニバーシアード冬季大会に参戦しましたが、個人・リレー種目ともに4位という悔しい結果となり、競技に対する取り組み方を心技体すべてから考え直しました。そこで気づけたことは、トレーニング以外の要素の積み重ねが、競技者としての強さとして表れるということです。それは大きく分けて2つあります。1つ目は目標達成のための周到な準備が大切だということ。2つ目は周囲の状況を正確に判断することです。これらに取り組んだ結果、先日行われたユニバーシアード冬季大会の日本代表選考会では500m、1000mともに優勝し、日本代表選手団に内定しております。前回でとりこぼしたメダルを必ず獲得したいと考えております。私の長期目標は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックでメダルを獲得することです。採用いただいた際には、世界の舞台で活躍することで社内を活気づけ、また、社会人としても模範となり、応援していただけるような選手として、企業様に貢献できると確信しております。ぜひ、ご支援のほど、よろしくお願いいたします」

 プレゼンテーション終了後には、就職希望アスリート5名による座談会を実施。進行を務めた大西委員長の質問に答える形で、「何かをやり尽くした後、さらに次へとステップアップするためには何が必要か。アスリート視点ならではのヒントはあるか」「採用された後、自分が貢献できると強調したいポイント」などについて、5選手それぞれが自分の考え、アスリートとしての経験談、自分の強みなどを述べました。

 また、説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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