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2019.06.11 選手強化

東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催

東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
平岡英介JOC副会長兼専務理事(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は5月24日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催しました。冬季競技の強化責任者、国内競技団体(NF)の関係者ら約110名が参加。会議は2部構成で実施され、第1部では2022年北京冬季オリンピックに向けた取り組み状況について4競技のNFから報告・共有が行われ、第2部ではアンチ・ドーピング、インテグリティに関する最新動向などについて各種情報提供がされました。

 プログラムに先立ち、主催者を代表して平岡英介JOC副会長兼専務理事が開会の挨拶。「本日の会議はJOCの方針・考え方、各競技団体の状況、そして国際競技力向上に向けた取り組みを情報交換し、共有していくことが一番の目的です」と、本会議の主旨・狙いを語り、情報収集と共有化こそが、国際競技力向上のための大きなポイントの1つであると強調しました。

東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
スポーツ庁の平野誠競技スポーツ課長(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
2022北京対策プロジェクト座長を務める伊東秀仁JOC選手強化本部常任委員(写真:フォート・キシモト)

 続いて、来賓を代表してスポーツ庁の平野誠競技スポーツ課長が登壇し、開催まで500日を切った東京2020大会の成功に向けてスポーツ庁が取り組んでいる施策を説明。そのうえで、北京冬季オリンピックに向けても来年度から重点的な支援を実施することを明言すると、「今後におきましても、関係機関一丸となって東京2020大会を成功させ、2022年北京冬季オリンピックにおける我が国の選手の活躍につながるよう、引き続き皆さまからのご支援、ご協力をお願いいたします」と呼びかけました。

■北京冬季オリンピックに向けた取り組みについて

 本会議第1部のプログラムは「第24回オリンピック冬季競技大会(2022/北京)に向けた取り組み状況について」と題し、最初に2022北京対策プロジェクト座長を務める伊東秀仁JOC選手強化本部常任委員が登壇。「この北京対策プロジェクトは、平昌オリンピックの結果をしっかり継承し、次の2022年北京オリンピックに向けてどのように冬季競技を盛り上げていくか、また、結果を出していくかというために作られました」と同プロジェクトの目的を説明すると、今年2月に視察した北京冬季オリンピックの会場や周辺施設、環境整備についての情報を共有しました。

東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
全日本スキー連盟の皆川賢太郎競技本部長(左)、日本スケート連盟の湯田淳スピードスケート強化部長(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
日本カーリング協会の柳等強化委員長(左)、日本アイスホッケー連盟の八反田孝行強化本部長(写真:フォート・キシモト)

 続いて、スキー、スピードスケート、カーリング、アイスホッケーの強化責任者より、北京オリンピックへ向けた取り組み状況についての報告が行われました。

 最初に全日本スキー連盟の皆川賢太郎競技本部長が登壇。競技を取り巻く環境や財政状況、それをふまえた組織のスリム化やファンとの交流、デジタルを活用した会員組織化、選手のブランディングの重要性などについて説明しました。また、財政面の課題と選手強化の両立を目指すために、組織運営に携わる人材を外部から登用していることも明らかにしました。

 次に、日本スケート連盟の湯田淳スピードスケート強化部長が、北京冬季オリンピックに向けた目標設定、平昌冬季オリンピック後の強化体制の構築、2018シーズンの検証などについて報告。その中で湯田部長は、今季急成長した男子短距離について「北京に向けて、引き続き狙った大会でメダルをとれるような選手たちを育成していくことが目標」とした一方、女子は選手層を厚くしていくことを課題として挙げました。

 続いて、日本カーリング協会の柳等強化委員長が登壇。18-19シーズンの振り返り・取り組み、今後の課題・強化方針などを報告する中で、男子・女子ともに好結果を残したことで、北京冬季オリンピックの目標を「女子は金メダル、男子とミックスダブルスはメダル獲得」と上方修正したことを説明しました。そして、この目標を実現するためにも「選手選考含め、オリンピックへのスケジュール、道筋を明確化したので、それに沿った強化をしていきたい」と述べました。

 最後に、日本アイスホッケー連盟の八反田孝行強化本部長が登壇し、2018-20年の中・長期ビジョンを発表。男子、女子それぞれの現状と課題を挙げると、北京冬季オリンピックに関して男子は出場、女子はメダル獲得という目標に向けて「男子、女子ともに限られた資金、スケジュールの中、創意工夫を凝らし、連盟として全ての力を結集して目標達成に向けて強化を推進していきたいと思います」と述べました。

 また、第1部の総括として伊東座長が「我々冬季競技は平昌オリンピックを好成績で終え、東京2020大会に良い形でバトンを渡すことができました。東京2020大会も良い成績で終わると思いますので、そのバトンをしっかりと受け取れるように我々も強化をしていかなければいけないと思います」とまとめました。

東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
日本アンチ・ドーピング機構の片岡彰結果管理・インテリジェンス部部長(左)、田所一史検査部部長(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
富士通株式会社の藤原英則スポーツ・文化イベントビジネス推進本部第二スポーツビジネス統括部統括部長/体操プロジェクトリーダー(写真:フォート・キシモト)

■アンチ・ドーピング、インテグリティに関する最新動向など各種情報提供

 第2部では「各種情報提供」が行われました。

 最初にアンチ・ドーピングについて、日本アンチ・ドーピング機構の片岡彰結果管理・インテリジェンス部部長、同じく田所一史検査部部長が登壇。オリンピックにおける違反事案発生時の手続き、適用されるIOCアンチ・ドーピングルールなどを紹介しました。また、選手の検査時や普段の生活におけるコーチの役割、サポートについて説明したうえで、田所部長は「今回お話させていただいたことをぜひご活用いただいて、海外での検査で何かおかしいなということがありましたら、選手を支えていただきたい。それが選手の権利を守る私たちやコーチの皆さまの役割だと思います」と呼びかけました。

 続いて、富士通株式会社の藤原英則スポーツ・文化イベントビジネス推進本部第二スポーツビジネス統括部統括部長/体操プロジェクトリーダーが、体操の採点支援システムについて説明しました。これは同社と日本体操協会が共同で開発したAIによる自動採点システムで、2020年に5種目、24年に全10種目の自動採点を目指しています。採点の公平性を目的に開発が進められたシステムですが、選手のトレーニングやテレビ視聴者向けのコンテンツなどにも展開していきたいと語った藤原統括部長は「会社として採点のサポートだけではなく、競技力の向上、ファンの拡大を進めながら、体操界の更なる発展に貢献していきたい」と将来に向けての展望を述べました。

 次にJOC事務局より、7月末に完成を予定しているNTC拡充棟についての説明が行われました。拡充棟には水泳、卓球、フェンシング、アーチェリー、射撃の5競技のトレーニング場と共用コートが備わっており、それぞれの施設の特徴が解説されました。

東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
スポーツ庁の川井寿裕競技スポーツ課課長補佐(左)、上田大介JOCインテグリティ教育ディレクター(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会から北京へ「令和元年度JOC冬季競技コーチ会議」を開催
福井烈JOC選手強化本部副本部長(写真:フォート・キシモト)

 続いて、NTC競技別強化拠点機能強化事業(機能強化ディレクターの配置)について、スポーツ庁の川井寿裕競技スポーツ課課長補佐が説明を行い、NTC競技別強化拠点に関する課題とともに、機能強化ディレクターの配置、また業務フローについてのイメージを共有。その上で、今後の冬季競技の競技力向上や強化拠点の有効活用のためにも機能強化ディレクターへの応募を広く呼びかけました。

 第2部の最後は、上田大介JOCインテグリティ教育ディレクターがインテグリティについての講義を行いました。暴力やハラスメント、ドーピングなど様々ある課題の中で、今回強調して取り上げた項目が八百長や試合の不正操作に関して。日本でもすでにスポーツベッティングを取り扱うサイトが浸透し始めており、選手が不正に巻き込まれないように「皆さん、ぜひ意識を向けていただきたいです」と、実際に起きた不正操作の例を挙げて説明した上で、具体的な対策手段として、IOCが提供している教育ツールやJOCが提供している教育アプリを紹介すると「インテグリティの向上はクリーンでフェアなスポーツを実現し、スポーツの価値を高めます。平昌での日本代表選手団の活躍は日本国民に多くの勇気と感動を届けてくれた。次の北京冬季オリンピックにおいても、アスリート一人一人が不安なく競技に取り組み、ベストを尽くし、日本中に希望を届けることができるよう、日頃からのご指導をお願いします」と呼びかけました。

 全てのプログラム終了後、閉会の挨拶として福井烈JOC選手強化本部副本部長が登壇。スポーツの盛り上がりを一過性のものとしないためにも「夏季・冬季競技が垣根を越えて連携し、バトンをつなげていかなければならない」と強調すると、「北京冬季オリンピック成功のキーパーソンは皆さまだと思います。JOC選手強化本部も皆さまとともに全力で取り組み、チームジャパン体制を作り上げて臨んでいきたいと思います。ぜひいっしょに前に進んでいきましょう」と締めくくりました。

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