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2014.03.28 その他活動

平成25年度JOC女性スポーツフォーラムを開催

平成25年度JOC女性スポーツフォーラムを開催
平成25年度JOC女性スポーツフォーラム(写真:アフロスポーツ)
平成25年度JOC女性スポーツフォーラムを開催
佐藤征夫JOC理事・女性スポーツ専門部会副部会長(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は3月17日、「平成25年度JOC女性スポーツフォーラム」を味の素ナショナルトレーニングセンターで開催しました。このフォーラムは、スポーツ組織における女性の活躍について課題や情報を共有し、今後の日本スポーツ界の発展に貢献することを目的としたもので、年1回開催しています。
 今回は、「組織で活躍する女性を育てるために」と題した基調講演と、参加者によるグループ形式での情報交換会が行われ、JOC、加盟団体の役職員ら34団体66名が参加しました。

 はじめに、佐藤征夫JOC理事・女性スポーツ専門部会副部会長があいさつに立ち、「JOCの女性スポーツ専門部会は2003年に発足し、今年で11年目となります。今回は『女性の活躍する場の拡大』というテーマを頭に描きながら、フォーラムを楽しんでください」と述べました。

平成25年度JOC女性スポーツフォーラムを開催
「第1回アフリカ・アジア女性スポーツフォーラム」の報告を行ったJOC荒木田裕子理事(写真:アフロスポーツ)

 続いてJOCの荒木田裕子理事が昨年11月にクウェートで開催された「第1回アフリカ・アジア女性スポーツフォーラム」の報告を行いました。荒木田理事は、現在アジアとアフリカには女性のIOC委員が11名おり、オリンピックにおける女性参加数やメダル獲得数が非常に伸びているものの、組織の中では差別などの目に見えない壁がまだあるといった課題が世界共通で存在するとのトピックスを紹介。フォーラムの最終日には、「2017年までにアジア・アフリカすべての国内・地域オリンピック委員会(NOC)や国内・地域競技団体(NF)において女性役員の割合30%を目指す」という項目をはじめ、全部で11の項目が盛り込まれた「クウェートアクションプラン」が採択されたと述べました。

平成25年度JOC女性スポーツフォーラムを開催
日本生命保険相互会社人事部「輝き推進室」の山内千鶴室長(写真:アフロスポーツ)

■女性が活躍の場を広げるには
 基調講演では、JOCゴールドパートナーの日本生命保険相互会社人事部に設置されている「輝き推進室」の室長を務める山内千鶴さんが登壇。「仕事をしている女性のうち6割以上が出産後に退職する」、「日本は世界と比べて夫が家事・育児をする時間が3分の1程度である」といったデータも示しながら、女性が活躍の場を広げる課題として「男性が働き、女性が家庭を守る」という男女の固定的な役割分担意識が根付いていることや、長時間労働の問題が大きいと述べました。

 そして、日本生命の事例として2008年に「輝き推進室」を設置したと紹介。はじめは女性の活躍にフォーカスし、その後は多様な価値観を認め合う風土を醸成する「ダイバーシティ(多様性)推進」、効率が良くメリハリのある働き方を目指す「ワーク・ライフ・バランス(WLB)推進」など、女性の活躍推進に対する取り組みを段階的に実施していると説明しました。また、女性が活躍しやすい環境づくりをするという経営側のメッセージ(ポジティブ・アクション宣言)を公表したり、男性の育児休暇取得を推進し、目覚ましい効果が出ているなどの日本生命での具体事例を挙げました。

 WLBについては、仕事と仕事以外の生活の両者が充実している状態が望ましく、性別や世代を問わず、それが実現すれば個人にとっても会社にとってもメリットが大きいと解説。近年はライフスタイルや労働観の変化によって、WLBが新しい労働条件として考えられ、会社の位置付けが仕事やプライベートよりも低くなってきていると説明しました。

 最後は「女性部下育成のヒント」として男女の価値観の傾向とキャリア形成に向けたアドバイス方法についてレクチャーを行いました。女性の傾向として、(1)成果よりもプロセスを重視する、(2)仲間意識を持って共存を望む、(3)喜怒哀楽が豊か、(4)理屈よりもイメージを重視する、(5)どう思われるかでなく自分がどう思うか、という5つのポイントをピックアップ。キャリアアップを躊躇する人、すぐに感情的になる人など、女性に対する知識をもち、部下の能力を伸ばすための対応方法をタイプ別に紹介しました。

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山口香JOC理事・女性スポーツ専門部会長(写真:アフロスポーツ)
平成25年度JOC女性スポーツフォーラムを開催
情報交換会で行われた議論を各グループの代表者が発表(写真:アフロスポーツ)

■各競技団体の現状と課題を共有

 続いて行われた情報交換会では、山口香JOC理事・女性スポーツ専門部会長のコーディネートのもと、8グループに分かれて熱い議論が交わされました。団体の大きさや競技特性、歴史の深さによって女性の活躍度に差があることが明らかになったほか、現役を退いた後で競技団体に残る人が少ない、ボランティア形式の運営のため子育て中や仕事を持っている人に協力をお願いしにくいなどの課題が挙げられました。

 そして、それぞれのグループの代表がまとめを発表。戦前から女性委員会を立ち上げ、女性理事を増やす取り組みを積極的に行ってきた日本陸上競技連盟をはじめ、2011年ワールドカップ優勝という国際大会での活躍をきっかけにトップダウンで取り組みが強化された日本サッカー協会、レディース委員会の活動の一環で国体の会場にチャイルドルームを設置している日本セーリング連盟の事例などが紹介された一方、男性社会が色濃く残る団体もまだ多いという現状が明らかになりました。また、「都道府県レベルの組織から取り組みをしてはどうか」との提案や、「女性だから有無を言わせず起用するということでなく、人としての能力を踏まえた人選をすべき」といった意見が出たほか、JOC女性スポーツ専門部会に対して「女性理事の枠数を具体的に指示してほしい」、「リーダーシップをとって競技団体の枠を超えた活動をしやすくしてほしい」との要望が寄せられました。

平成25年度JOC女性スポーツフォーラムを開催
川原貴JOC女性スポーツ専門部会副部会長(写真:アフロスポーツ)

 締めくくりは、JOC女性スポーツ専門部会の川原貴副部会長が登壇。「今日は、競技を超えて新しい方とのお話もできたと思います。それぞれの立場で、自らいろいろな活動をしていただき、JOCも是非その後押しをしたいと思います」とあいさつしました。

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