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2022.08.16 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
プレゼンを行った9選手。左から吉越奏詞選手、宮澤拓夢選手、八角周平選手、森山和佳奈選手、細見茉弥選手、中山彩理香選手、狩野央梨沙選手、、成田琉夏選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
岩渕健輔JOC理事(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は7月20日、味の素ナショナルトレーニングセンターウエストで、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。
 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに212社/団体344名(2022年7月20日時点)の採用が決まりました。
 今回の説明会ではJOC主催のもと、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の後援を得て行われ、22社27名が参加しました。

 最初に主催者を代表して岩渕健輔JOC理事が、アスナビ説明会に参加した企業に対する感謝の言葉を述べました。続けて「同じ年度に東京、北京と2回のオリンピックが行われ、ナショナルトレーニングセンターでトレーニングしたアスリートたちが多くのメダルを獲得しました。アスリートがメダルをとるためにはたくさんのサポートが必要です。ぜひとも皆様にはTEAMJAPANの一員となってアスリートを支えていただきたいと思います」とアスリートの採用を呼びかけました。

 続いて、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがアスナビの概要ならびに、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを動画で紹介。さらに、資料をもとに雇用条件、夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート活用のポイント、採用後のカスタマーサポート、これからの進め方などを説明しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
ANAエアポートサービス株式会社よりアスリート社員の業務について紹介(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
シドニーオリンピック金メダリスト 井上康生氏からの応援メッセージ(写真:フォート・キシモト)

 続いて、採用企業の選手活用事例として、赤瀬紗也香選手(水泳/競泳)、本橋菜子選手(バスケットボール)、津村ゆり子選手(バスケットボール)、辻村りこ選手(ビーチバレーボール)、坪内紫苑選手(ビーチバレーボール)を採用したANAエアポートサービス株式会社の人事部人事課 内藤綾香氏より、トップアスリートを社員として採用する理由やアスリート社員の業務について紹介されました。アスリートの目標に向けてひたむきに努力する姿やチーム力を発揮する姿が同社の掲げる行動指針にマッチしていることからアスリート社員を採用していると語り、旅客サービス部に所属するアスリート社員の具体的な業務内容や勤務体系が紹介されました。また同社では、アスリート社員がメンタルヘルスや健康増進に関する情報やアスリート活動の報告などを社内WEB広報誌に掲載しており、積極的にアスリート活動を発信する活動についても紹介されました。

 その後、柔道全日本男子前監督であり2000年シドニーオリンピック 柔道100kg級 金メダリストの井上康生氏が登壇し応援メッセージが送られたのち、就職希望アスリート9名が映像による競技紹介やスピーチで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
成田琉夏選手(上)、狩野央梨沙選手(下)(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
中山彩理香選手(上)、宮澤拓夢選手(下)(写真:フォート・キシモト)

■成田琉夏選手(フェンシング)
「私は父がフェンシングのコーチだったことがきっかけで、小学校1年生の頃からフェンシングを始め、フェンシング歴は今年で15年目になります。私の試合における強みは勝負強さです。残り時間1秒の一本勝負や最終セットでの逆転劇など、様々な場面でピンチをチャンスへと変えてきました。その勝負強さの根底にあるのが、私の二つ目の強みである分析力であると考えています。試合の中で自分の持つ手札の中で勝つ確率の高い技を相手にしかけることができます。私の三つ目の強みはコミュニケーション力です。チームで勝つために、部内で積極的にコミュニケーションを取り、先輩後輩関係なしに意見を出しあえる環境を作り、関東学生フェンシング大会の団体戦で優勝することができました。現在は私の三つの強みである、勝負強さ、分析力、コミュニケーション力を活かし相手の心を読み、瞬時に判断し、力強く戦うということを目標に日々練習に取り組んでいます。大学では日本語学科に所属し、日本語を母国語としない人へ情報を伝えるためのやさしい日本語などについて深く学びました。皆様の企業にご採用いただけましたら、私の三つの強みに加え、大学で深く学んだ社会言語学の能力を活かし業務に取り組みたいと考えています」

■狩野央梨沙選手(フェンシング)
「私の目標はオリンピックで金メダルを取ることです。私は小学校1年生の時に父の影響でフェンシングを始めました。始めたときはまだ趣味の一つでしたが、テレビで浅田真央選手の力強い演技を見て、私も人の心に残るパフォーマンスをしたいと思ったのがきっかけになり、そこから本気でオリンピックを目指し、どんなつらい状況でも立ち止まらず試行錯誤し続けてきました。私は競技を続ける中で幅広い年齢の方と関わり、コミュニケーションを取る機会に恵まれ、相手の人柄を知ることがとても好きになりました。皆様の企業に採用いただきましたら、一人ひとりの社員の皆さまとのコミュニケーションを大切にし、皆さまから応援してもらえるような選手になりたいと思っています。また、浅田選手に自分自身が心を大きく動かされたように私も社員の皆さん、そして多くの子供達に感動と勇気を届けられるような存在になりたいです。フェンシングに費やしてきた人生の多くの時間は、たくさんの学びを与えてくれた時間でもありました。これからも競技を通じて多くのことを学び、経験し、それらを社会に還元していきたいと思っています」

■中山彩理香選手(トライアスロン)
「私は元々水泳と陸上をやっており、中学生の時にトライアスロンに出会い、今のコーチとの出会いを機に高校1年の時に本格的にトライアスロン競技に取り組み始めました。競技を始めて三か月で、アジアジュニア選手権日本代表に選出され3位入賞し、今では日本ランキング、アジアランキングトップにまで成長することができました。私の一番の強みは課題解決力だと思っております。私は自分の弱点は効率の良いフォームが習得できていないことにあると思っていました。大学1年の時に自分の動きの感覚やイメージを言葉で表現する競技スポーツ習得実習という授業があり、その学びを機に運動感覚能力を身につけることができました。それを生かし、日々の練習の中で改善策を常に考え、実践し、効率の良いフォームに近づけていくという、いわゆるPDCAサイクルを回せるようになりました。その結果、競技力向上につながり、同時に課題解決力も身に付けることができました。皆様の企業にご採用いただけましたら、競技と大学の学びの中で培った課題解決力と折れない心を生かし、仕事において問題が起こった際にしっかりと正面から立ち向かい解決すると言う事に役立てていきたいと思っております」

■宮澤拓夢選手(水泳/水球)
「私はスイミングスクールに通い始めた頃から球技に対して憧れがあり、水泳と球技の合わさった水球を小学校3年生の時に始めました。それから現在に至るまで競技を続け、アジア競技大会で準優勝、ユニバーシアード大会で過去最高タイの5位という結果を残せました。現時点では日本代表に入っておりませんが、来年度の世界水泳でメンバー入り、そして、2024年パリオリンピックでのメダル獲得に向け自己分析を行いながら努力しています。この自己分析を行うことで情報の取捨選択能力が身に付いたと思っています。インターネット上のさまざまな情報全てを鵜呑みにするのではなく、一度自分で受け止め、自分なりの観点で捉えることができるようになったと自負しています。また私は高校3年時と昨年の10月から現在までチームのキャプテンを拝命しており、リーダーシップに自信があります。
個性の強いチームをまとめるためチームメンバーと個人面談を重ねてまいりました。面談では決して相手のことを否定せず、長所に気づかせて伸ばすことを勧めるようにしています。
本日のスピーチで申し上げました、情報の取捨選択能力やリーダーシップ、マネジメント能力を活用して企業様に貢献することをお約束いたします」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
細見茉弥選手(上)、森山和佳奈選手(下)(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
八角周平選手(上)、福嶌春花選手(下)(写真:フォート・キシモト)

■細見茉弥選手(カヌー/スプリント)
「私は高校までは陸上800mが専門で、大学に入学するまでカヌースプリント競技を知りませんでしたが『大学から始めても日本一になれる』という先輩の言葉に魅了されて競技を始めました。私の強みは自分自身を客観的に分析する力と行動力です。関西学院大学カヌー部は指導者がおらず、チーム運営や練習メニューすべてを自分たちで考えながら競技に取り組んでいます。陸上競技で培った体力やレース展開などはカヌーに生かすことができましたが、上半身の筋力面や技術面は全く足りていませんでした。そこで私は弱点克服に焦点を当てて日々トレーニングを行い、周りからアドバイスをもらいながら改善していきました。その結果、2年生の後半にはエースになるまで成長することができ、分析力と行動力も備わってまいりました。これらの強みは社会人になり、仕事においても生かすことができます。今は2024年のパリオリンピック出場でのメダル獲得を目標に日々妥協することなく競技に取り組んでいます。皆様の企業にご採用いただきましたら、私が結果を出すことで企業様のイメージアップに貢献するとともに、結果を出す喜びや、スポーツの素晴らしさを分かち合えたらと思います」

■森山和佳奈選手(カヌー/スプリント)
「私はカヌースプリント競技を中学1年生の時から13年間取り組んできました。これまでユースオリンピック出場、インカレ優勝、U-23日本代表選手として世界大会に出場し、現在はパリオリンピック出場を目指して練習に励んでいます。私にはたくさんの人に応援される選手・人になるために大切にしていることがあります。それは小林正観さんの本に書かれている『そ・わ・か』です。『そ』は掃除、『わ』は笑い、『か』は感謝。この三つを毎日必ず行っています。ゴミ拾いは自分の心をすっきりさせるだけでなく、地域の方とのコミュニケーションの場でもあり、カヌーのことを知ってもらうきっかけにもなります。また、日常生活では笑顔でいることを心がけています。どんなにうまくいかないことが続いていても、笑顔でいれば必ず運が味方についてくれると信じています。
そして当たり前のことでもありますが、『ありがとう』と言葉にして伝えるようにしています。感謝の気持ちを持って、まじめにコツコツと前向きに生きることが大切だと思っています。皆様の企業にご採用いただけたら、このような思いと行動を大切にし、競技にもお仕事にも全力で取り組ませていただきます」


■八角周平選手(カヌー/スプリント)
「私がカヌー競技と出会ったのは、小学校6年生のときです。現在は競技歴13年になりまして、日本代表として世界選手権に向けて活動しているところです。私がカヌー競技活動を通じて培った力は、課題解決力です。その中でも特に困難な課題に対して立ち向かう行動力。そして行動して行く中で、多くの方々から協力を得ていく交渉力。そしてコミュニケーション能力がアピールポイントだと考えております。私が進学した筑波大学にはカヌー競技がなく、1人で競技生活を管理する必要がありました。そのような厳しい環境に身を置いたのは筑波大学が学業面でも、競技面でも優秀な実績を残しており、そのような環境に身を置くことで、私自身が高い目標を持って文武両道を実現して行きたいと考えていたからです。
皆様方の企業に採用いただけましたらこのような教育活動を通じて培った行動力、交渉力、そして大きくいえば課題解決力を生かし、向上心を持って業務に取り組んでまいりたいと思います。また、決して諦めずに責任を持って取り組むことによって、社内外からも広く信頼される社員になっていきたいと思います。そして競技力で実績も残し、社内の連帯感や士気の向上に貢献できればと考えております」


■福嶌春花選手(スキー/フリースタイル)
「私は3歳の頃からスキーを始め、数年間アルペンスキーをし、高校生で本格的にモーグルを始めてから真剣に競技と向き合ってまいりました。昨シーズンはターン技術を上げ、スピードアップを図りましたが、新しい技術に対する体作りが足りなかったと反省し、コーチと理想の滑りを共有し、練習メニューを一から作り直して実践しました。次に私が得意であるコミュニケーションについてご紹介します。私は英語が得意ではありませんが、海外の選手やコーチと積極的にコミュニケーションをとるように心がけています。 仲良くなることで楽しくなることもあり、現地の情報がたくさん入ってきて行動がしやすくなるという実感があります。最後に皆様にお伝えしたいことがあります。 7月6日にスキーの強化指定選手が発表され、私は強化指定選手から外れました。しかし、スキー連盟およびアスナビの皆様の助けがあり、今回登壇させていただくことができました。皆様の企業に採用していただき、試合に出ることができましたら、心から応援してもらえる選手を目指し、皆様の応援を力に変え、2026年ミラノオリンピックでメダルを獲得したいです。夢に向かうことの大切さを社員の皆様と共有し、一緒に邁進していきたいです」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
吉越 奏詞選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
説明会終了後には選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われた(写真:フォート・キシモト)

■吉越奏詞選手(パラ馬術)
「私は生まれつき、左下肢と右半身の障害を持っています。生まれてから間もなくして馬と出会い、馬に乗ったり触れたりしてリハビリをするホースセラピーと出会いました。生後間もない頃、医師から車椅子という診断を受けましたが、私は馬のことを信じて、馬に支えられながら歩けるようになりました。私を支えてくれる周りの方はもちろんですが、馬の影響がとても大きかったです。馬に出会わなければ、今の自分はなかったと思っています。中学2年生のときに東京オリンピックパラリンピック競技大会が決まり、私はパラ馬術で馬に恩返しをするために出場したいと決意しました。そして大きな夢の一歩踏み出し、私は東京五輪に出場することができました。次の目標は2024年のパリパラリンピックでメダルを取ることです。私は障がい者ボランティア活動も行っています。多くの皆さんに競技を知っていただくため、講演活動も行っています。今後、社会人として社会貢献を継続して行っていきたいと思います。そして、この経験を活かしてご採用いただいた皆さんと共にさらなる成績をあげたいと思っています」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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