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2021.07.21 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
星野一朗JOC理事
JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクター

 日本オリンピック委員会(JOC)は7月7日、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会をオンライン形式により実施しました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに207社/団体、330名(2021年7月7日時点)の採用が決まりました。

 説明会は関西経済同友会との共催で行われ、20社30名が参加しました。

 最初に主催者を代表して、星野一朗JOC専務理事が「アスリートがひたむきに頑張る姿、困難に打ち勝ち壁を乗り越えていく姿は、御社の皆様に勇気や感動を感じていただけるものであると思っています。課題を見つけ、克服し、昨日の自分に勝つために努力を惜しまない彼らの経験や知見は、採用された後には必ず御社のお役に立つものであると確信しております」と、アスリートの採用を呼びかけました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、アスナビの概要ならびに、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを動画で紹介。さらに資料をもとに雇用条件、夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート活用のポイント、採用後のカスタマーサポートなどを説明しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
寺川綾さん

 続いて、水泳・競泳で2004年アテネオリンピック出場、12年ロンドンオリンピックでは100m背泳ぎと4×100mメドレーリレーで銅メダルを獲得した寺川綾さんから、応援メッセージがビデオで寄せられました。スポーツメーカーのアスリート社員として入社した寺川さんは、学生と社会人の大きな違いとして、企業の名前を背負って競技を行うことを実体験とともに指摘。「私の場合は競泳選手だったので、水着に企業名がプリントされていて、自分でしっかり企業を背負って競技に取り組むのだという責任みたいなものが生まれた記憶が今でも思い出されます」と語りました。また、寺川さんは所属メーカーから水着のサポートを受けており、自分が選手として「もっとこういう水着を作りたい」「こういう声が現場で出ています」というヒアリングをできた点を説明。競技を引退した現在もコレクション水着の制作に関わっており、「会社とは良いものづくりをできています」と述べました。最後に寺川さんは「スポーツの力をより多くの皆さんに感じていただけるように、アスリートの皆さんには選手寿命を長くして頑張ってほしいです。ぜひ企業の皆さまには多大なるサポートをアスリートの方にお願いできればと思っております。選手の皆さん、ぜひ自分をしっかりアピールし、企業の皆さんと一緒に夢を叶えてください」とエールを送り、メッセージを締めました。

JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
シバタ工業株式会社・柴田充喜代表取締役社長

 次に、採用企業の選手活用事例として、秦澄美鈴選手(陸上競技・走幅跳)を採用したシバタ工業株式会社・柴田充喜代表取締役社長が登壇しました。柴田社長は、秦選手が広報部に所属し、週1回の出勤のほか、日頃のトレーニングは業務、試合出場や遠征については出張として活動していることを紹介。同社の新しい長靴を発売する際には、カタログのモデルを務めてもらうこともあった、と話しました。また、同社が秦選手を採用したメリットには「広報系の効果」「営業上の効果」「社員への効果」「スポーツに理解のある会社と思われること」の4点があると説明。特に4点目の「スポーツに理解のある会社と思われること」については、新卒採用だけでなく中途採用でも効果があるといい、元甲子園球児やサッカーの日本代表候補選手が採用試験を受けたとのこと。今では「理系、文系、体育会系の3つのカテゴリーから採用します」と柴田社長は述べました。最後に、アスリートを採用して柴田社長自身が感じたことについて、「スポーツは社会を明るく元気にする一つの分野だと思います。そして日本人が世界で活躍する姿は、元気をもらえます。結果が出ていなくてもそれに向けて頑張っている姿が近くにいる、その姿を見て元気をもらうことができます。企業にとって負担にならない範囲で、これからの時代の選手を社員が一丸となって応援することが、会社を明るく元気にする一つの方法であると思います」と語りました。

 最後に、就職希望アスリート4名がそれぞれの場所からリモートでプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
桑江良斗選手
JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
大橋朋花選手

■桑江良斗選手(アーチェリー)
「私の今後の目標は2024年パリオリンピックで金メダルを獲得することです。私はまだ海外での試合経験が非常に少なく、これからたくさんの経験をしていかないといけません。もちろん出場するからには金メダル獲得を目指します。私の強みは冷静な判断力と対応力です。アーチェリー競技では環境にも大きく左右されます。その都度、環境に対応しなければならないため、冷静でいないと対応できません。なので、会社の業務においても冷静な判断をし、正しく対応することができます。友人からの一言でやる気を起こしたこともあります。今後もこの人間関係は大事にしていきたいと思います。仕事においても会社の多くの人との出会いがあり、取引先やお客様との出会いもあるかと思います。この出会いを大切にして、競技だけではなく、仕事に対しても積極的に取り組んでいきたいと思います。ご採用いただけましたら、競技を通して社内の活性化や競技の結果で私も会社に勇気や元気を与え、社員の皆さんに応援していただけるような社員を目指します」

■大橋朋花選手(アーチェリー)
「私は勝つだけでなく、勝利に向かってどのような過程を過ごしてきたか、どんな工夫をしてきたかが大事かということを、アーチェリーを通して学びました。私は2021年3月に行われた東京2020大会最終選考の最終日まで残ることができました。しかし、当日は悪天候に見舞われ自分の実力が発揮できず、あと一歩で代表の座を逃してしまいました。長年の目標であった東京大会ということもあって、非常に悔しい気持ちでいっぱいでしたが、落ち込む私を温かく支えてくれたのは、家族や指導者、仲間の存在のおかげでした。今はその人たちのためにも頑張ろうという気持ちで再奮起しているところです。現在の最大の目標はパリオリンピックに出場し、金メダルを獲得することです。この目標を達成するために、日々努力しているところです。採用されましたら、アーチェリーはもちろん仕事に対しても熱心に取り組み、競技と仕事の両立をし、自身の成長を目指して頑張りますのでよろしくお願いします」

JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
松津秀太選手
JOCの就職支援「アスナビ」:関西経済同友会と説明会を共同開催
岡崎一輝選手

■松津秀太選手(スケート/ショートトラック)
「2019年ユニバーシアード冬季大会に参戦しましたが、個人・リレー種目ともに4位という悔しい結果となりました。その悔しさを返上すべく、心技体すべてを見直すところから自分の競技に対する取り組み方を考え直しました。一つは、目標達成のための周到な準備です。準備には1カ月以上前からの体調管理や、試合当日の栄養補給や道具のメンテナンスなど、さまざまなものがあります。それらのすべてが結果につながると考え実践してきました。もう一つは、周りの状況を正確に判断することです。レースにおいて視覚、聴覚からの情報だけでなく、相手の心理面を正確に把握することで優位に進めることができます。そのために、日常から目配り気配りをすることを意識して、物事を多角的に捉えることを心がけました。これらが自分の強みとなり、次のシーズンの全日本学生選手権で、個人・リレー種目ともに優勝、学校対抗でも優勝を達成できました。採用いただいた際には、世界の舞台で活躍することで社内を活気づけ、社会人としても模範となり、企業に貢献できると確信しております」

■岡崎一輝選手(陸上/円盤投)
「私は2020年3月に立命館大学を卒業しました。現在はアルバイトをしながら競技活動を続けていますが、昨年は一度も試合に出場していません。その理由は大学生のときから抱えていた膝の治療に専念していたからです。しかし、ただ競技活動を休止しただけでなく、ケガから復帰した後、確実に自己ベストを更新、試合で勝つために今の自分に必要な練習、足りない能力が何か、しっかり考えました。さらに試行錯誤しながらトレーニングを積み、60m、65mと記録を伸ばし、最終的にはオリンピックで入賞することが目標です。日本の円盤投げは世界と比べるとレベルが低く、敵わないと言われることもあります。だからこそ世界に挑戦しがいがありますし、オリンピック入賞の目標を達成することで日本人でも世界で戦えることを証明したいと思っています。大好きな円盤投げをいまやめると数年後後悔します。後悔のない人生にするために、そして世界で戦えることを証明するためにも競技を続ける環境をください」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との情報交換会がブレイクアウトルームの機能を活用して行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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