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2021.06.16 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
星野一朗JOC理事
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
東京都オリンピック・パラリンピック準備局の鈴木研二スポーツ推進部長

 日本オリンピック委員会(JOC)は5月20日、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会をオンライン形式により実施しました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに206社/団体、329名(2021年5月20日時点)の採用が決まりました。

 説明会は東京都との共催で行われ、22社25名が参加しました。

 最初に、主催者を代表して星野一朗JOC理事が挨拶し、「アスリートがひたむきに頑張る姿、困難に打ち勝ち壁を乗り越えていく姿は、御社の皆さまに勇気や感動を感じてもらえるものだと思っています」と述べると、「課題を見つけ、克服し、昨日の自分に勝つために努力を惜しまない彼らの経験や知見は、採用された後には必ず御社の役に立つものであると確信しております。ぜひ彼らの背中を押していただき、我々とともにその可能性を一緒に高めていただくようお願いを申し上げます」と、参加企業に向けてアスリートの採用を呼びかけました。

 続いて共催者を代表して、東京都オリンピック・パラリンピック準備局の鈴木研二スポーツ推進部長がビデオメッセージで「アスリートが競技活動に集中できる環境を整え、生活基盤を確立することが重要だと考えています。このため東京都では2015年度からJOCと連携してアスリートキャリアサポート事業を展開しております。世界を目指し、果敢に挑戦するアスリートを応援するとともに、企業の皆さま方にはアスリートの活動を支援していただくご縁がありますことを願っております」と挨拶しました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、動画を用い、アスナビの概要と、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを紹介。さらに資料をもとに夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技などを説明しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
伊藤華英さんが応援メッセージ

 続いて、オリンピアンからの応援メッセージとして、水泳・競泳で2008年北京オリンピック、12年ロンドンオリンピックに出場した伊藤華英さんがリモートでスピーチしました。「選手たちがプロフェッショナルとして競技をやっていく意味が、企業に所属することでより考えられるのではないか」と持論を述べた上で、先輩である北島康介さんに「社会人になったら、プロフェッショナルとしてしっかり競技に向き合え」と何度もアドバイスを受けたエピソードを披露。就職を希望するアスリートは、大学を卒業してからも競技を第一線で続ける覚悟がある旨を参加企業に訴えました。また、伊藤さんは、世界において多様性が注目されていることについて紹介。トップアスリートは海外遠征が多く、「日本の当たり前が当たり前ではなかった」という自身の経験を踏まえながら、「アスリートの感性を知ることが、企業の皆さまにとっても良い化学反応につながる」と話しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
鈴木透生選手(左)、松井隆太選手

 最後に、就職希望アスリート7名がそれぞれの場所からリモートでプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

■鈴木透生選手(水泳/水球)
「昨日、水球委員会の選考があり、東京2020大会の最終メンバーに入ることができました。代表の内定をいただく光栄なことであり、家族やチームメート、先生方に恩返しできるよう、メダル獲得を目標に頑張っていきますので、応援の程よろしくお願いいたします。16年間競技を続けてきて、団体競技と働くことには共通点があると思っています。一つの目標に対して皆が努力をし、助け合う姿勢が大事であり、また人と人とのつながりで成り立っていると、よく感じます。競技者としての目標は東京2020大会、2024年パリオリンピック、28年ロサンゼルスオリンピックでのメダル獲得に貢献し、活躍することです。入社後は培ってきた目配り、気配り、心配りを発揮し、謙虚さを忘れずに職場でのムードメーカーとなれるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします」

■松井隆太選手(テコンドー)
「私は3歳の頃から兄と姉の影響でテコンドー競技を始めました。幼い頃から年上で自分より体の大きい選手と練習をしてきましたが、自分より体が大きいからと言って諦めるのではなく、どう動けばいいのか、どうすれば勝てるのか、といった考えを持ち続けてきました。今ではそういった考えが習慣になり、常に物事を達成するためのことを先に考えるようになりました。練習時間の確保が難しくなった時には、早朝4時からの練習を毎日続けました。とても苦しい練習でしたが、自分自身の成長につながっていると実感し、乗り越えることができました。こうした結果を残せたことや、今この場に立てることは家族や友人、サポートしてくださった方々のおかげだと感じております。今年3月の全日本選手権で優勝し、10月に行われる世界選手権の出場も決まっております。まずはこの世界選手権でメダル獲得を目指し、2024年パリオリンピックに向け、日々努力していきます。ぜひご採用していただきますよう、よろしくお願いいたします」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
増田陽人選手(左)、本間大晴選手

■増田陽人選手(フェンシング)
「競技・仕事の両立は難しいですが、私はこれらを両立するための3つの強みがあります。1つ目は計画性のある行動をすることです。それでフェンシングと受験を乗り越えてきました。高校生の時にU-17アジア選手権団体とインターハイで優勝しました。勉強も試行錯誤を繰り返しながら行い、一般受験で早稲田大学商学部に入学できました。2つ目はコミュニケーション力と対応力の高さです。私は中学生の頃から海外遠征に参加し、現在は15カ国以上になります。世界中の選手たちと試合や合宿をすることで多様性を学び、自ら進んで歩み寄る、寄り添うコミュニケーション能力の大切さを学びました。3つ目は分析力です。大学1年生の時、結果を出すことができず、映像やデータ分析をすると、守備での得点率が高いことに気がつきました。そして、これまでのプレースタイルを変更し、2019年のU-20W杯で個人2位という成績を収めることができました。競技・仕事の両立をしながら、まずは2024年のパリオリンピックで成果を出します。ぜひ採用ご検討のほど、よろしくお願いいたします」

■本間大晴選手(スポーツクライミング)
「スポーツクライミングは7歳から始めました。中学生の頃は体格に恵まれず小柄で、なかなか思うように登ることができませんでした。ですが、体力的・精神的に限界の中でコースを登りきった時の達成感に魅せられ、基礎を固めることからトレーニングを積み続けました。身長が伸び、体格で負けることがなくなってくると、これまで基礎をしっかり固めてきたおかげか、高校からはコンスタントに成績を出せるようになりました。こうして培ってきた、目標を定めて努力を重ね、結果が出るまでしつこいほど取り組む、心の強さが私の武器になります。私には一番の目標があります。それは2024年パリオリンピックで金メダルを獲得することです。これまで支えてきてくださった方々に「応援してきて良かったな」と思ってもらえるよう、活躍する姿をお見せして、ご恩を返したいです。社会に出たら私は同僚や上司、先輩・後輩との人とのつながりを大切にしたいと思っております。クライミングや仕事を通して、社会に貢献できる社会人になれるよう精一杯頑張ります」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
海野大透選手(左)、山名里奈選手
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
赤羽根康太選手

■海野大透選手(トランポリン)
「私の強みは、何かに挑戦する時はプランを組み立て、やり遂げて、必ず成功させることです。小学3年生の時にトランポリンを競技として開始しました。父親がコーチということもあり、甘えられるような環境ではありませんでしたが、厳しい練習のおかげで今では基礎を大事にしながら練習に励めています。その結果、中学・高校・大学と入賞することが増えていき、2019年には初の世界選手権代表に内定しました。大会では6位という好成績に終わりましたが、オリンピックには一歩及ばず、とても悔しい思いをしました。今年は5月に行われた全日本年齢別選手権で2度目の優勝を果たし、世界選手権代表に内定しました。仕事面においては高校のビジネス科で取得した商業資格やパソコンスキル、アルバイトでの接客業を活かし、どんな仕事にも貪欲にチャレンジし、競技と仕事を両立する覚悟です。どうか私を採用して下さい。よろしくお願いいたします」

■山名里奈選手(スケート/ショートトラック)
「私がショートトラックに出会ったのは小学3年生の時でした。最初は楽しいという思いだけで滑っていましたが、壁にぶつかるたびに現状を分析し、コツコツと練習を積み重ね、課題を克服することで結果を出せるようになりました。大学では地元を離れ、競技により集中できる環境に身を置こうと決めました。しかし、環境が大きく変わったことやこれまでの「楽しい!」だけの気持ちを変えられないのもあり、1年時の試合で惨敗をしました。そこで現状の自分を見直し、辛いことを乗り越える覚悟とゴールを見据えたトレーニングが必要だと考えました。すると、周りの応援やサポートもあり、2年生の時に四大陸選手権で結果を残し、今年の全日本選手権では初の総合優勝を達成。世界選手権の代表に選出されました。これらの過程の中で、オリンピックに出てメダルを獲得する夢が目標に変わり、その気持ちが大きくなりました。採用いただきましたら、目標に向かって日々努力し、成長していきます。そして、私が職場にいることで社内を明るく盛り上げていきたいです」

■赤羽根康太選手(水泳/競泳)
「中学3年生の時に全国中学で優勝したのをきっかけに自分の可能性を感じて、もっと上を目指したいと思うようになりました。大学2年生の時に過去最大のスランプに陥り、何のために泳いでいるのか、その意味を見失いそうになりましたが、自分と向き合うことで、オリンピック出場という明確な目標を改めて認識し、奮い立たせました。昨年は新型コロナウイルスの影響でオリンピック選考会の中止が決定し、周りの選手が落胆する中でも、目標までの練習計画の立て直しを行い、地道に努力を重ねました。その結果、日本学生選手権で日本ランキング3位の記録を出し、先月行われたオリンピック選考会でも水泳連盟の設定するタイムをクリアできました。これからも来年の福岡での世界水泳、3年後のパリオリンピックでのメダル獲得に向けて自分の課題と向き合いながら、日々成長していきます。私を応援していただける企業の方々にはその姿勢と結果が活力となり、企業のブランドイメージ向上に貢献できる存在になるとお約束します」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との座談会、交流会がオンラインで行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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