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「令和3年度第1回ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催

カテゴリ:選手強化
2021.06.07
「令和3年度第1回ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
高橋尚子JOCアントラージュ専門部会長

 日本オリンピック委員会(JOC)は5月15日、オンラインによるWebセミナー形式で「令和3年度第1回ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催しました。

 このセミナーは、ジュニア期のトップアスリート(10歳~18歳)の保護者を対象に行われ、家庭で多くの時間を共有し、大きな影響力を持つと考えられる保護者が、ジュニアアスリートへの正しい関わり方、助言の仕方を学ぶことによって、親子がスポーツを通じて実りある人生を実現する可能性を高め、競技力の高いアスリートの育成を目指しています。

 はじめに、高橋尚子JOCアントラージュ専門部会長が挨拶し、本セミナーの主旨、目的を説明。「今回は多様性の大切さ、スポーツ栄養学、SNSの危険性と有効性、アスリートである子どもへの接し方についてなど、保護者の方から要望のあった内容で、前回採り上げられなかった項目をピックアップしています。また、本日のセミナーを受けて、これからどのような保護者になっていきたいか、どのような保護者を目指すのかという意気込みを最後に聞いていきたいと思います。ぜひ、どんな答えを最後に出そうかと考えながら受けていただければと思います」と述べました。


「令和3年度第1回ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
三井梨紗子さん

■「オリンピズムについて」三井梨紗子さんが解説

 本セミナーの最初のプログラムは「オリンピズムについて」。2012年ロンドンオリンピック、2016年リオデジャネイロオリンピックに水泳・シンクロナイズドスイミング(※現アーティスティックスイミング)で出場し、リオ大会ではチーム、デュエットで銅メダルを獲得した三井梨紗子さんが講義を行いました。

 はじめに三井さんは国際オリンピック委員会(IOC)が目指すオリンピズム=オリンピック精神について解説。特に「エクセレンス(卓越)」「リスペクト(敬意/尊重)」「フレンドシップ(友情)」の3つのオリンピックバリューについて、自身の経験をもとにした具体例を交えながら「私もこの3つのバリューを、スポーツを通じてすごく感じることができました」と振り返りました。そして、『結果ではなく、経過に意味がある』というオリンピックの標語の1つを紹介すると「まさにこの通りだなと思っていて、私を一番成長させてもらったのは、挫折やうまく行かなかったことを次に変えられた経過であったり、母の言葉であったり、チームメートとの絆でした。それらが今に必ず生きていていますし、オリンピックに出場してメダルを目指すという目標を立て、その経過で得たものは一番の財産だったと思います。これは現役時代だけのことではなく、今後のセカンドキャリアでも結果ではなく経過を楽しんでいきたいと思います」と、これからもオリンピズムを大切にしていくことを述べました。


「令和3年度第1回ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
管理栄養士であるエームサービス株式会社の高橋文子さん

■「スポーツ栄養学」について

 続いて「スポーツ栄養学」について、管理栄養士であるエームサービス株式会社の高橋文子さんが講義を行いました。

 保護者からの質問で多く寄せられた「ケガ予防」「水分補給」「試合に備える食事」の3つを大きなテーマに分けて、思春期のアスリートに必要な栄養素とその推奨量、自分がどのくらい水分を摂取すればいいかを知るための計算式のほか、試合前に備える食事はいつも通りの食事でOKだが、その中でもエネルギー源となる糖質をしっかり摂取すること、また消化・吸収と衛生をより意識することなどを解説。また、高橋部会長の現役時代の食事メニューや、事前にアンケートをとったトップアスリートの経験談を踏まえながら、テーマに沿ったおすすめの食材、それをもとにしたレシピなどを紹介しました。

 最後に高橋さんは『家族は君の応援団長だ』という松岡修造さんの言葉を挙げ、「親である自分の気持ちを日々お子さんに伝えながら、一緒に夢を追いかけることを楽しんでください」と、参加者に向けて応援の言葉を送りました。

 ここまでの本セミナーの前半パートを終えたところで、高橋部会長が総括。それぞれの講義内容を振り返りながら「学校の授業ではなかなか教えてくれないことも、お子さんたちはスポーツを通じて、経験や生きる力というものを学んでいるのではないでしょうか。心身ともに成長できるものがスポーツだと思うので、その過程を大事にして保護者の皆さんも頑張ってほしいなと思います。また、お父さん、お母さんの心の変化や食卓が変わるだけでお子さんの思いも変わります。ですので、食事に関してもぜひ今日学んだことを実践していただければと思います」とまとめました。


「令和3年度第1回ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
上田大介JOCアントラージュ専門部会部会員

■「保護者が知っておきたいSNSの危険性と有効性」

 後半の最初のプログラムは「保護者が知っておきたいSNSの危険性と有効性」と題し、上田大介JOCアントラージュ専門部会部会員が講義を行いました。

 まず、上田部会員は「ソーシャルメディアは夢につながる履歴書」としたうえで、過去にSNSでの発信がもとになって不祥事に発展したアスリートの例を挙げました。そして、自分の価値と将来を守るために、ソーシャルメディアを正しく理解し、正しく向き合うことが求められていることを説明。それらの背景を踏まえ、これからのSNSとの向き合い方として『今できる3つの見直し(過去の情報を見直す、つながりを見直す、パスワードを見直す)』と、『未来に向けた3つの良い習慣(危険な時間帯を意識する、送信直前にいったん冷静になる、常にファクトチェックする)』を紹介しました。

 最後に、上田部会員は「SNSには怖い面もありますが、たくさんの人とつながることができ、良い面もたくさんあります。また、トップ選手たちはSNSを通じてスポーツの価値をたくさんの人に届けています。ですので、上手に使えば、コロナ禍で人と人との心が離れてしまった時代に『やっぱり、スポーツっていいね』ということにもつなげることができるのではないかと思います」と述べると、ソーシャルメディアを正しく理解したうえで、その良い面を最大限に引き出し、スポーツの価値拡大につなげていくことをセミナー参加者たちに期待しました。

 また、講義の内容を受けて高橋部会長は「SNSに対する3つの見直し、3つの習慣をぜひ今すぐに取り入れていただければと思います。そして、しっかりと危機感を持ちながら、過去、現在、未来をコントロールしていけるように、お子さんだけでなく、保護者の皆さん自身もしっかり誘導しながらコントロールしていけるように、ぜひ取り組んでいただければと思います」と呼びかけました。


「令和3年度第1回ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
左からスポーツジャーナリストの吉井妙子さん、卓球の平野早矢香さんの母・美恵さん、大阪体育大学の土屋裕睦教授

■「アスリートである子どもへの接し方」をテーマにトークセッション

 次に、本セミナーの最後のプログラムとして「アスリートである子どもへの接し方」をテーマにしたトークセッションを実施。JOCアントラージュ専門部会員である大阪体育大学の土屋裕睦教授がモデレーターを務め、スポーツジャーナリストの吉井妙子さん、卓球の平野早矢香さんの母である平野美恵さんが参加しました。

 ここではプレーヤーである子どもとの関わり方について、支援的関わり・支持的関わりのパターンがあること、子どもの成長に合わせた保護者の関わり方の変化、きょうだいで成績差が出たときの関わり方などについて、それぞれ議論や意見を交換。吉井さんはトップアスリートの保護者を取材してきたこれまでの経験から、各選手の親の子育ての特徴や共通項を紹介し、平野さんは長女である早矢香さんをはじめ3人の子どもたちがみな卓球選手であることから、子育ての体験やそこから得た教訓・学びなどを共有しました。

 また、セミナー参加者から寄せられた子育ての苦労や悩みに対するコメントに対し、吉井さんは「プロ選手、オリンピック選手のご両親は『とても忙しかったけど、本当に子育ての期間が楽しかった。実は充実していた』と言っています。今回参加されている親御さんもそういう日が必ず来ると思うので、今はすごく大変だと思いますが、頑張っていただければと思います」とエール。一方、子どもが結果を残せなかった場合を不安に思う保護者に対して平野さんは「子どもにスポーツをさせたのは、私たち夫婦が実際にスポーツをやってきてすごく良かったという経験があったから始まったことで、小さい時から卓球は二の次にやることだと教えてきました。必ずしもメダリストやオリンピック選手にならなくても、スポーツを続けてきたことは絶対にその子供の力になると思います。だから親御さんの夢と子どもさんの夢が一致してオリンピックを目指すのだけど、できなかったからといって残念がるのではなく、よくそこまで頑張ったねとお子さんを見ていただけたら、子どもたちもそれが一番うれしいことだと思います」とアドバイスを送りました。

 すべてのプログラム終了後、セミナー参加者は「これからどのような・何ができる保護者を目指しますか?」という質問に対する答えや決意をコメント欄に記入。そして、それら保護者の声が画面を通じて紹介、共有されました。

 最後にまとめとして、高橋部会長がセミナー全体や保護者から寄せられたコメントを総括。自身の現役選手時代の両親との接し方、関わり方を振り返りながら「味方でいてくれる人たちが近くにいることは選手、子どもにとって力になること。本当に皆さんの存在がうらやましいと心から思います」と述べると、「ぜひ、今日の決意を忘れずにこれからもお子さんをサポートしていただければと思います。今の一日、一日が子供の背中を押す力になっていきます。私たちはいつでも皆さんの応援団としてサポートしていきたいと思いますので、ぜひ皆さんの活躍を心から祈っています」と話し、セミナーを締めくくりました。





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