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東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催

カテゴリ:選手強化
2019.09.25
東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
山下泰裕JOC会長
東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
鈴木大地スポーツ庁長官

 日本オリンピック委員会(JOC)は9月13日、「令和元年度JOCコーチ会議」を開催しました。JOCの役員、選手強化本部をはじめ各専門部会の部門員や、ナショナルコーチ等・専任コーチ等、国内競技団体(NF)の関係者ら、強化に関わる約300名が参加。午前中にはJOC選手強化本部の基本方針の説明、東京2020大会に関する最新情報提供が行われ、情報交換の場を兼ねた昼食休憩を挟み、午後にはJOC情報・医・科学専門部会からの発表、アンチ・ドーピングに関する最新動向の紹介、東京2020大会のラストスパートに向けたパネルディスカッションなどが行われました。

 プログラムに先立ち、主催者を代表して山下泰裕JOC会長が開会の挨拶に立ち「東京2020大会まで315日。残された日は限られていますが、最後まで我々はやるべきことをやり切り、やり残すことなく本番を迎えなければいけません」と呼びかけました。そして、JOC選手強化本部が進める5つの重点施策のうち、第一に掲げる「アスリートファースト」を念頭に「本会議では色々な意見を本音で出していただきたい。ここで出された課題、提案に対して我々はしっかりと向き合って取り組んでまいりたいと思います」と決意を話す一方で、JOC選手強化本部が掲げるスローガン「人間力なくして競技力向上なし」は選手に限ったことではなく、JOCやNFのスタッフ、コーチ等にも求められるものであることを強調。「我々の人間力なくしてスポーツ界の発展はありません。私自身もしっかり自覚して行動していきたい」と述べました。

 続いて来賓を代表して、鈴木大地スポーツ庁長官が登壇。スポーツ庁が策定した「競技力強化のための今後の支援方針(鈴木プラン)」における東京2020大会に向けた「東京重点支援競技」について説明しました。また、スポーツ界では近年、不祥事が相次いで発生していることから、スポーツ団体が適切な組織運営を行うための原則・規範として「スポーツ団体ガバナンスコード」を今年6月に策定。鈴木長官は「各競技団体の皆さまにおかれましては、スポーツが信頼を取り戻し、今後も持続的に発展できるよう、自らの役割、責任を再認識し、スポーツ・インテグリティの確保に努めていただけますよう、お願い申し上げます」と呼びかけました。


東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
尾縣貢JOC選手強化本部長
東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
「平成30年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」を実施

■JOC選手強化本部の基本方針について

 午前中最初のプログラムは「JOC選手強化本部の基本方針」と題し、尾縣貢JOC選手強化本部長が登壇。東京2020大会に向けて「競技間の垣根を越えて、協力体制を築いていきたい」と冒頭で述べると、改めてJOC選手強化本部の体制、5つの重点施策、東京2020大会本番までの課題などを説明しました。また、2020年以降に向けて「さらにスポーツが進化を遂げていくためには中・長期の計画をしっかり持つことが必要です」と話した尾縣JOC選手強化本部長は、「単に競技力を向上させるだけではなく、国民を幸せにする、健康にする、元気にする。あるいは、人間力の素晴らしいアスリートの活躍を見た子どもたちをスポーツに導いていく。そんな要素を盛り込んだ基本計画でないといけないと思っています」と述べ、東京2020大会後に選手強化本部中・長期計画のアウトラインを公表したい考えを明らかにしました。

 続いて、「東京2020大会に関する最新情報提供〜団長会議より〜」と題し、8月20日〜22日に行われた「東京2020各国・地域団長会議」の内容をもとにJOC強化第一部が、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の各部門が実施したプレゼンテーションの内容やテストイベントの運営状況、また、東京2020大会本番のアクレディテーションの分類や取り扱い、選手村の施設内容などについて報告しました。

■「平成30年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」を実施

 次に、午前中最後のプログラムとして、「平成30年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」が行われました。27名の修了者のうちコーチ会議に出席していた10名が登壇。修了者を代表して全日本柔道連盟の増地克之さんに、星野一朗JOC選手強化副本部長から修了証が贈られました。全日本女子監督を務める増地さんは「様々な他競技を指導する仲間から多くのことを学び、私自身も視野を広めることができました。これからこのナショナルコーチアカデミーで学んだ内容をもとに、来年に迫った東京2020大会、さらには3年後の北京冬季オリンピックに向けて、様々な選手の可能性を引き出すような指導を目指して、励んでいきたいと思います」と抱負を語りました。


東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
JOC情報・科学サポート部門の杉田正明部門長(左)、広瀬統一部門員
東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
JOC医学サポート部門の能勢さやか部門員(左)、JOC情報・医・科学専門部会の川原貴部会長

■暑熱対策と女性アスリートのコンディショニング

 午後最初のプログラムは「JOC情報・医・科学専門部会からの発表」が行われ、はじめにJOC情報・科学サポート部門の杉田正明部門長と広瀬統一部門員が「暑熱対策」をテーマとする発表を行いました。杉田部門長は陸上競技のマラソン、競歩で実施している対策トレーニングやそこで採取したデータをもとに、暑熱環境における実践的対策の3つのポイントを提示。また、様々な場面でのクーリング戦略や具体的なクーリング方法などについても説明しました。このように東京2020大会に向けて日本選手の暑熱対策は着々と進んでいる一方で、外国の暑熱対策も研究が進んでおり「世界中のアスリートはクーリング戦略を相当考えていますし、対策してきています」と警鐘を鳴らしました。また、広瀬部門員は女子サッカー選手の暑熱対策に関して、長期と短期に分けて行っていることや徹底したモニタリングを実施していることを挙げ、ポイントとして単一的にではなく複合的に考えた上で「選手の個性に合わせて最もパフォーマンスが出る対策を見つけることが重要です」と述べました。

 続いて、「女性アスリートのコンディショニング」をテーマに、JOC医学サポート部門の能勢さやか部門員が「試合や練習日程を考慮した月経周期調節」「女性アスリートの三主徴と疲労骨折」について説明。それぞれの対策方法や治療方針などを紹介しました。

 最後に総括としてJOC情報・医・科学専門部会の川原貴部会長が登壇し、暑熱対策と女性アスリートのコンディショニングについて、それぞれ説明を補足してまとめました。


東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
日本アンチ・ドーピング機構の浅川伸専務理事(左)、JOC選手強化本部の上田大介インテグリティ教育事業ディレクター
東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
スポーツ庁スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会部会長でもある友添秀則JOC常務理事

■アンチ・ドーピングとインテグリティに関する最新動向

 次に「アンチ・ドーピングに関する最新動向」について、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の浅川伸専務理事が情報共有しました。「備えをして、しっかりと選手に成績を出していただきたいという思いで、最新情報をお届けします」と話した浅川専務理事は、東京2020大会アンチ・ドーピングルールの確認を呼びかけるとともに、東京2020大会出場(見込み)選手への検査を立案する専門家集団である大会前検査タスクフォースがすでに活動を開始していることや、どのような過程で検査実施が決定していくか、またリオデジャネイロオリンピックの検査統計の実績などについて説明。それらを踏まえ、ドーピング検査における注意事項として、選手の居場所情報管理の徹底やサプリメントへの理解が選手を守ることにつながると浅川専務理事は話しました。

 続いて、JOC選手強化本部の上田大介インテグリティ教育事業ディレクターが「スポーツ・インテグリティに関する最新動向」を紹介。東京2020大会を前に、選手への注目が一気に集まることで発生する「過去が調べられてしまうリスク」「コンディションが低下してしまうリスク」と、その対策について説明しました。これら2つのリスクに関して、JOC選手強化本部では2019年9月から「東京2020日本代表候補者向けプログラム」の提供を開始していることを伝えた上田ディレクターは、まとめとして「選手がベストを尽くすためには裏方である私たちも万全を尽くして準備をすることが求められていると思います。ぜひ東京2020大会で選手たちがベストを尽くせるように、私たちもベストを尽くしましょう」と呼びかけました。

■強化の現場に何が求められているか?

 次に「ガバナンスコードの導入により、強化の現場に何が求められているか?」と題し、スポーツ庁スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会部会長でもある友添秀則JOC常務理事が講義を行いました。近年相次ぐスポーツ界の不祥事により、「スポーツ界への不信が社会に伏在している」と指摘する友添JOC常務理事。スポーツが成立するためには「一般社会からの支持がなければいけない。また、スポーツ界の倫理、常識が社会の非常識であってはいけません。どうやら私たちがいるスポーツ界はようやく社会に追いつこうとしているのかもしれません。それがガバナンスコードであるということです」と危機感を述べるとともに、スポーツ団体ガバナンスコードの規定における原則1〜13について説明しました。そして、スポーツ界で問題が起きる原因をいくつか挙げる中で、友添JOC常務理事は特に「誤った勝利至上主義」にあるとし、その悪しき勝利至上主義から「純粋な勝利追求主義」への転換が必要ではないかと述べました。


東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
左から上野広治JOC選手強化副本部長、全日本柔道連盟の井上康生全日本男子監督、日本体操協会の水鳥寿思男子体操競技強化本部長、日本ラグビーフットボール協会の岩渕健輔男子7人制日本代表ヘッドコーチ
東京2020大会へラストスパート「令和元年度JOCコーチ会議」を開催
福井烈JOC専務理事

■東京2020大会ラストスパートに向けて

 次に今年度のJOCコーチ会議の最後のプログラムとして「パネルディスカッション〜ラストスパートに向けて〜」が行われました。上野広治JOC選手強化副本部長がファシリテーターを務め、パネリストとして日本体操協会の水鳥寿思男子体操競技強化本部長、全日本柔道連盟の井上康生全日本男子監督、日本ラグビーフットボール協会の岩渕健輔男子7人制日本代表ヘッドコーチが参加。残り1年を切った東京2020大会に向けてのチーム状況や課題などについて議論しました。
 まず井上監督は、東京2020大会の会場と同じ日本武道館で8月25日から9月1日に開催された2019年世界柔道選手権東京大会を振り返り、「会場の設営の形はほぼ同じということでしたし、全体の流れや導線を確認することができて、世界選手権で色々と試すことができたのは大きな収穫」と語る一方、「ファンの方の応援を含めて東京2020大会はまた全然違う環境やプレッシャーがあると思います。その中で冷静に戦う準備が必要だと感じました」と述べました。
 水鳥強化本部長は「危機感を持っています。新しい挑戦を受け入れないといけない」と厳しい表情で現状の体操男子日本代表について説明。さらなるレベルアップを果たすべく現在取り入れているトレーニングや環境整備についても言及すると、東京2020大会開会式翌日からの競技スタートに向けて「戦略的なところとしては今、ここまで行けば金メダルをとれるのではないかというレベルまで上げているところです。来年はそのレベルを安定させるようにまとめていくという大きな流れでやっていきたい」と展望を述べました。
 そして岩渕ヘッドコーチは、本番まで残り315日をどう過ごすかにあたり「準備はもちろん大事ですが、一番気を付けていきたいのは選手たちのフィジカルとメンタルのコンディションをいかにピークに持っていけるか。315日は長いようで短いですし、本当に上手にやっていかないと選手の努力が無駄になってしまう。ベストなコンディションに持っていけるようにしっかりやっていきたいと思います」と抱負を話しました。
 これらのディスカッションを受けて、上野JOC選手強化副本部長は終わりに「最後の最後まで練習ひとつだと思いますし、ここにいる方々のマネジメントも重要だと思います。地元の地の利を活かし情報を集めて、チームジャパンが一丸となれるよう努めていきたいと思います」とまとめました。

 最後に、閉会の挨拶に立った福井烈JOC専務理事は、今回のコーチ会議で実施されたプログラムを改めて振り返り「ぜひ今日の内容を周りの方としっかり共有していただいて、色々な問題や課題の解決に向かっていただければと思います」と呼びかけました。そして、「人間力なくして競技力向上なし」をテーマに競技団体、関係組織との連携をさらに深めて強化現場の環境整備に努めていくことを誓うと、「我々ができる最高の準備をして、東京2020大会を迎えましょう。そして、夢や目標に向かってまい進していきましょう」と締めくくりました。





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