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2018.07.11 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
プレゼンを行った6選手。左から米澤選手、髙橋選手、佐久間選手、渡邉選手、安部選手、岩佐選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
松丸喜一郎JOC常務理事(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は6月28日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに151社/団体224名(2018年7月2日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会には、18社26名が参加しました。

 最初に主催者を代表し挨拶に立った松丸喜一郎JOC常務理事は、アスナビにより「社内の団結力が増し、選手自身にも応援してくれる人のためにという意識が醸成され、競技力が向上しているデータが出ています」と、企業とアスリートの双方にとってWin-Winの関係が築かれていることを報告しました。しかしながら、アスリートの生活を支援する体制がいまだ不十分である現状も合わせて説明。そうした状況を踏まえ、「本日、ご紹介する選手6名は東京2020大会、さらにその2年後に行われる北京冬季オリンピックで大いに活躍する可能性を秘めた選手たちです。ぜひ彼らの背中を押していただき、我々とともにその可能性を一緒に高めていただくようにお願い申し上げます」と、参加企業に向けてアスリート支援を広く呼びかけました。

 次に中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、資料をもとにアスナビの概要を説明。夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート採用後の雇用形態や給与水準、勤務スケジュール、選手活用企業のポイントなどを紹介しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
内田建設株式会社の内田眞代表取締役(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
応援メッセージを送った山口美咲さん(写真:アフロスポーツ)

「アスナビ」採用企業の事例紹介では、2017年4月に陸上競技の森本麻里子選手を採用した内田建設株式会社の内田眞代表取締役が登壇。森本選手を採用した背景や経緯、普段の勤務状況と内容、大会の応援を含めた支援体制などを説明しました。森本選手を採用してから1年が経ち、社内の一体感の向上、地域社会への貢献もさることながら、内田代表取締役が強調した効果が社外へのPR、企業のイメージアップでした。同社は専門的な技術を必要とする土木建設業であるため、近年は採用に苦労する面も多かったそうですが、森本選手を採用したPR効果から今年4月、10数年ぶりに技術職員の新規採用が決定。「これは非常に大きなメリットでした」と述べました。
 また、森本選手自身にも、この1年でアスナビ社員としての自覚を含めて、競技面・仕事面の両方で大きな成長が見られたそうで、「1年でこんなにも変わるものなんだなとびっくりしていますし、彼女の大学の恩師からも『だいぶ変わりましたね』と話していただけたことが非常に嬉しかったです」と振り返りました。

 次に、2008年北京オリンピックの競泳女子4×200mリレーで7位入賞、2016年リオデジャネイロオリンピックの競泳女子4×100mリレーで8位入賞し、現在は星野リゾート「星のや東京」に勤務する山口美咲さんが応援メッセージを送りました。山口さんは、引退したトップアスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT(ネクスト)」を利用して企業に就職した第1号です。「水泳以外に自信がなかった自分と向き合うきっかけにもなりました」と山口さんはまず、当時の状況や心境を織り交ぜながら、アスナビNEXTを通じて行った就職活動の思い出話を語りました。
 そして、入社して1年が経過し、実体験として思うことは「私たちアスリートは、他の人に負けない体力がある」こと。「そこは胸を張って『なんでもします!』と言える自分たちがいることを忘れないでください」と就職希望の現役アスリートに向けて伝えた山口さんはさらに、体力だけでなく気持ちもすごく大切だと述べた上で、「今、自分がどういう気持ちで、これからどうしていきたいのか、なぜそうしたいのかという理由を企業の方に伝えれば、皆さんの気持ちも必ず伝わると思います。頑張ってください」とエールを送りました。

 最後に、就職希望アスリート6名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
米澤圭選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
髙橋和生選手(写真:アフロスポーツ)

■米澤圭選手(レスリング)
「私が5歳のとき、格闘技が好きな父にレスリング教室に連れられて行ったことがレスリングとの出会いでした。高校3年生のときにインターハイ優勝という大きな目標を達成することができ、また東京オリンピックが開催されることが決定し、自分も出場し優勝したいという気持ちが大きくなりました。私の好きな言葉は『継続は力なり』です。私はこの言葉を胸に16年間、レスリングに費やしてきました。自分のやるべきことを継続することで、今まで勝てなかった相手や格上の選手を倒してきました。私はこの経験から、これからも挑戦し、進化し続け、世界のトップに立つ自信があります。もし私を採用していただけましたら、私が東京オリンピックで優勝する姿で社員の皆さまを笑顔にしていきたいと心から思っています。入社しましたら、皆さまのお仲間に入れていただけるよう、私にできることは全力で取り組ませていただきます」

■髙橋和生選手(陸上競技)
「競歩を専門にしています。高校時代に経験した挫折と恩師からの勧めで始めた競歩生活においては、高校の先輩で日本記録保持者の高橋英輝さん、大学の先輩で昨年の世界選手権50km競歩で銅メダルを獲得した小林快さんが身近な存在であり、身近な目標としてきました。常に感謝する心を忘れず、応援してくださる方々に恩返しの意味でも、レース中にどんな状況になったとしてもゴールまで諦めず、一歩、一歩力強く歩み続ける私の姿でより多くの人の心を動かす、そんな活躍をしていきたいと思っています。そして、東京2020大会での入賞、2024年パリオリンピックでのメダル獲得を必ず実現させ、強い覚悟のもと、アスリート社員として業務と競技の両面で企業に活力を与えるとともに、企業の象徴としてグローバルに活躍できる選手を目指します」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
佐久間滉大選手(写真:アフロスポーツ)
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渡邉えみ里選手(写真:アフロスポーツ)

■佐久間滉大選手(陸上競技)
「陸上競技の走幅跳をしています。私は失敗を恐れず、果敢に挑戦できる強さがあります。高校生のときには高校日本一にもなり、東京オリンピックで活躍が期待できる選手10人ほどが選ばれるダイヤモンドアスリートに選ばれました。ダイヤモンドアスリートのプログラムではグローバルに活躍する上での基礎を学び、競技にも仕事にも生かしていきたいと考えております。また、挑戦することで学びを増やし、仕事においても積極的に取り組むことによって企業に貢献したいです。東京オリンピックの参加標準記録まで、あと33センチです。世界ジュニア選手権では5位とメダルが取れず、とても悔しい思いをしました。なんとしてでも東京オリンピックに出場し、結果を残したいです。2020年の東京オリンピックまで競技を続けられる環境とご支援のほど、よろしくお願いいたします」

■渡邉えみ里選手(カヌー)
「私は小学2年生の時に兄の影響で地元のカヌークラブに入りました。その翌年、兄が世界ジュニア選手権に出場し、その時から私の目標は兄のように世界で戦える選手になりたい、そして将来はオリンピックに出場したいというものになりました。現在は2020年東京オリンピック出場に向けて、日々練習に励んでおり、小学生の時に抱いた目標は、もう一歩のところまで来ていると、今感じています。今後の私の可能性を信じ、ともに歩んでいただけないでしょうか。私の強みは、目標を掲げ、達成に向けて信念を貫き通すところです。採用企業さまの刺激となる存在になり、企業さまの活性化に貢献したいと考えております。また、マイナースポーツであるカヌー競技を普及していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
安部慶輝選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
岩佐暖選手(写真:アフロスポーツ)

■安部慶輝選手(フェンシング)
「バルセロナオリンピックに日本代表として出場した父の影響で、私も父のようになりたいと思い、小学校1年生のときに父が経営するクラブチームに参加したことが、私とフェンシングとの出会いでした。私の強みは、課題に直面したときに自分を信じ成長できることです。課題を認識し、相談しながら対策を考え、小さな目標を立ててこつこつと積み重ねていく私の練習方法は、世界のトッププレーヤーを相手に結果を出し始めています。もし私を採用していただけたら、私の強みを生かし、競技面でも仕事面でも様々なことに対して工夫し、チャレンジし、高いレベルを目指したいと考えています。また、会社の皆さまに少しでも感謝の気持ちと、活力を還元できる存在になれるよう結果を残し、勝つために取り組む姿勢をお見せしたいと考えております。私のフェンシングはまだまだ進化します。そして、あの太田雄貴先輩を必ず超えて行きます」

■岩佐暖選手(スケート・ショートトラック)
「私は5歳のときに相模原のスケート教室でショートトラックに出会い、今年行われた平昌オリンピックを目指して競技を続けてきましたが、シーズン始めの練習中に足首を骨折する大けがをしてしまい、オリンピック出場の夢は途絶えてしまいました。さらに、私と同じチームで一緒に競技を続けてきた仲間がオリンピック代表に選ばれ、とても悔しい思いをしました。しかし、私は諦めることはありませんでした。応援してくださる全ての方々に戦う姿を見せることで、恩返しをしたかったからです。また、諦めずチャレンジし続けることは自分自身、人として成長できると考えているからです。私は北京オリンピックで必ずメダルをとります。平昌オリンピックに出られなかった悔しさと、今まで培ってきた経験を生かして、この4年間再び戦い抜くことを決意しました。そんな私の背中を押してくださる企業さまを探しております。ぜひご支援のほど、よろしくお願いいたします」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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