日本オリンピック委員会(JOC)は7月10日、東京芸術劇場 コンサートホールで「オリンピックコンサート2026」を開催しました。
「オリンピックコンサート」は、オリンピック・ムーブメント推進を目的に、オリンピズムに掲げられたスポーツと文化の融合をかたちにしたオリンピック映像とフルオーケストラが競演する唯一無二のコンサートです。スポーツファンのみならず、普段スポーツやオリンピックに親しみのない方にもオリンピックの価値や素晴らしさを実感してもらうことを目指し、1997年より開催しています。今年は1,681人の方々にご来場いただきました。
ミラノ・コルティナ2026冬季大会が行われた今年のオリンピックコンサートは「白銀のハーモニー、つなごう輝きを。」をテーマに、指揮は辻博之氏、演奏はTHE ORCHESTRA JAPANが担当。ナビゲーターは、オリンピアンで俳優の藤本隆宏氏(水泳/競泳、ソウル1988大会、バルセロナ1992大会出場)が15年連続で務めました。
コンサートの1曲目は☆Taku Takahashi(m-flo)作曲『結唱』。ミラノ・コルティナ2026冬季大会のTEAM JAPAN公式応援ソングをシンフォニックにアレンジした演奏で第1部が開幕しました。
2曲目は、開会式ゆかりの曲をメドレーにアレンジしたジャコモ・プッチーニほか作曲『Milano Cortina 2026 メモリアル・メドレー』が、開会式の映像にあわせて演奏されました。
3曲目は、ウィリアム・ウォルトン作曲『ヨハネスブルグ祝祭序曲』。ミラノ・コルティナ2026冬季大会において、4年に1度の最高の舞台で鮮やかに舞った世界のヒーロー、ヒロインの姿を映像で振り返りました。
4曲目はエンニオ・モリコーネ作曲『On Earth As It Is in Heaven〈映画「ミッション」より〉』。スクリーンにはアスリートたちと彼らを支える人々の挑戦の日々を映した映像が流れました。
5曲目の吉俣良作曲『江~姫たちの戦国~(メインテーマ)』と、続く6曲目のジョン・ウィリアムズ作曲『ネバーランドへの飛行〈映画「フック」より〉』では、TEAM JAPANの輝かしい軌跡を映像で振り返り、第1部を締めくくりました。
第2部のはじめにはTEAM JAPANアスリートによるトークコーナーが行われ、13名のオリンピアン・パラリンピアンがステージに登壇しました。
■髙梨沙羅選手(スキー/ジャンプ) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 混合団体 銅メダル
「オリンピックコンサートには初めて参加させていただきましたが、壮大な演奏とともにオリンピックの映像を振り返ることができて、胸が熱くなりました。
オリンピックを中心に競技生活を4年単位で捉えている感覚があるので、切っても切り離せない大会の一つです。毎大会後は、次のオリンピックに向けて頑張ろうという気持ちで取り組んでいます。北京2022冬季大会は心残りのある結果で終わっていたので、メダルを取り戻すことを目標に4年間取り組み、今大会に臨みました。
今シーズンは、来年開催される世界選手権に向けて練習を頑張っていきます」
■丸山希選手(スキー/ジャンプ) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 女子ノーマルヒル、混合団体 銅メダル
「今大会は私にとって初めてのオリンピックでしたが、4大会連続出場している髙梨選手と一緒に団体のチームを組めたことは非常に心強かったです。
北京2022冬季大会は開催の3ヵ月前に靭帯を断裂してしまい、出場すらできませんでした。そこから4年間トレーニングを重ね、ミラノ・コルティナ2026冬季大会では2つのメダルを獲得することができました。
来年の2月末行われる世界選手権でのメダル獲得、さらにフランスアルプス2030冬季大会での金メダル獲得を目標に練習を重ね、自分の成長した姿を皆さんにお見せしたいです」
■堀島行真選手(スキー/フリースタイル) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 男子デュアルモーグル 銀メダル、男子モーグル 銅メダル
「現在、フランスアルプス2030冬季大会に向けて練習をしている中で、今大会を振り返る時間があまりありませんでしたが、オーケストラの皆さんの演奏とともに映像で振り返ることができ、自分を奮い立たせる時間になりました。
ミラノ・コルティナ2026冬季大会は前回、前々回とは違い天然雪が混ざる環境でした。また、日中の暖かさで雪が解けコンディションが変化する難しさを経験しました。
来年開催される世界選手権の『モーグル』『デュアルモーグル』、そしてワールドカップの種目別『モーグル』『デュアルモーグル』と『総合優勝』の5つのタイトルを守り切れるように頑張ってきます」
■戸塚優斗選手(スキー/スノーボード) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 男子ハーフパイプ 金メダル
「自分の中でオリンピックという舞台は不安や少し苦手意識がありましたが、ミラノ・コルティナ2026冬季大会で、その気持ちを払拭することができました。次の4年間も新たな気持ちで迎えられそうだと感じています。
また、クラシックのコンサートを鑑賞するのは今日が初めてなのですが、全身で音楽を堪能することができました。
今後の目標としては、1シーズンすべての大会で優勝した2020年度のシーズンのような活躍を再びできればと思っています。その気持ちで練習を継続し、4年後に良い結果でここに帰ってこられるように頑張ります」
■木俣椋真選手(スキー/スノーボード) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 男子ビッグエア 銀メダル
「北京2022冬季大会は、あと一歩のところで代表選考から漏れ、出場することができませんでした。小さいころから目標にしていたオリンピックに初めて出場したミラノ・コルティナ2026冬季大会は、自分にとって人一倍思い入れの深い大会になりました。今大会への出場が決まった際には、友人を含め多くの方々から連絡があり、応援のメッセージをいただきました。
次の4年後を見据えると、精神的にも大変な部分はあると感じますが、まずは明日を全力で頑張りたいと思います」
■長谷川帝勝選手(スキー/スノーボード) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 男子スロープスタイル 銀メダル
「私はJOCスポーツ新人賞を受賞して参加して以来、今回で2度目のオリンピックコンサートとなります。オリンピックの映像を見ながらオーケストラの演奏を聴くことができる非常に貴重な機会なので、今回も楽しみにしてきました。
現在、日本のスノーボード界がこれほど強いのは、世界に誇れるレベルの選手が数多くおり、日ごろから選手同士で切磋琢磨しているからだと思います。その中でも特に尊敬しているのは平野歩夢選手です。彼の滑りからは気迫や想いが伝わってくるため、アスリートとしても、スノーボーダーとしても尊敬しています。
オリンピックは終わったばかりですが、私たちの中ではすでに4年後へ向けた戦いが始まっています。一日一日を大切にしながら目の前の大会に向き合い、努力を積み重ねていけば、再びオリンピックの舞台に立てると思うので頑張ります」
■木村葵来選手(スキー/スノーボード) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 男子ビッグエア 金メダル
「ミラノ・コルティナ2026冬季大会に向けては、長い時間をかけて準備をしてきたので、大会では良い意味で緊張することなく、自分のパフォーマンスを発揮できたと思います。
スノーボーダ―の仲間とは、競技以外の時間でも部屋に集まってゲームをするほど仲が良いです。ただ、板を履くとみんな顔つきが変わるのでメリハリがしっかりしていると感じます。
実はこれまで中国のスー・イーミン選手には何度も敗れ、ワールドカップで優勝したことがありませんでした。だからこそ、彼に勝って金メダルを獲得できたことは本当に嬉しかったです。これから彼は次のオリンピックに向けてさらに強くなると思うので、互いに高め合いながら熱い戦いを続けていきたいです。また、4歳下の弟も同じ競技に取り組んでおり、一緒に遠征などへ行くこともあります。フランスアルプス2030冬季大会では、弟が銀メダル、私が金メダルを獲得できたら嬉しいと思います」
■髙木美帆選手(スケート/スピードスケート)ミラノ・コルティナ2026冬季大会 女子500m、女子1000m、女子チームパシュート 銅メダル
「オリンピックコンサートへの参加は3回目になります。自分たちのオリンピックでの活動や軌跡を、オーケストラの迫力ある音楽とともに振り返ることができるのは、とても貴重で嬉しい時間だと感じます。
オリンピックという舞台は私を強くさせてくれた存在であり、場所でした。そして何より、オリンピック期間には、比較的競技に触れる機会の少ないスピードスケートが日本国民の皆さんと繋がることができました。スピードスケーターにとって、最大限のパフォーマンスを発揮し、皆さんと本気を分かち合うことができる場所だと思います。
現役引退の決断をしてから3ヵ月近く経つのですが、今のところ後悔や競技に戻りたい気持ちは出てきていないので、引退を受け入れられていると感じます。これまで長い間スピードスケート一本でやってきたので、これからは人としての幅をもっと広げられるようにさまざまなことに挑戦し、新しい世界を見ていきたいです」
■佐藤綾乃選手(スケート/スピードスケート) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 女子チームパシュート 銅メダル
「3大会連続で出場して、すべて髙木美帆選手とメダルを獲得することができてとても嬉しいですし、今大会は特別な思い出も残った大会になりました。シニアの世界に飛び込んだ頃から美帆さんには大変お世話になっており、私がスケーターとして世界で戦えるようになったのは、美帆さんの存在があったからこそだと思っています。私も美帆さんと同じく引退の発表をし、すでに新しい人生を歩み始めています。これからはスケーターではなく、新しい佐藤綾乃として、さまざまなことに挑戦し、自分らしさを表現していきたいです。表に出る機会は少なくなるかもしれませんが、これまでの繋がりを大切にしながら、スピードスケート会場に足を運んでいただけるような活動にも取り組んでいきたいです」
■佐藤駿選手(スケート/フィギュアスケート) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 団体銀メダル、男子シングル 銅メダル
「オーケストラの生演奏とともにオリンピックの映像を見て、当時の状況を思い出して感動しました。
ミラノ・コルティナ2026冬季大会では、『火の鳥』という曲で演技を披露しました。この曲は元々好きでしたが、選んだ後に自分のコーチが引退シーズンに使っていた曲だということを知り、より選んで良かったと感じています。
今シーズンは、世界選手権で優勝することを目標にしています。そして、オリンピックのメダルの色を変えられるように今後も頑張っていきます」
■杉原愛子選手(体操/体操競技) 東京2020大会 女子団体 5位入賞
「体操競技の床では曲を流しながら演技をしますが、今回初めて参加するオリンピックコンサートでオーケストラの生演奏を聴くことができて、音楽の迫力と繊細さを全身で感じ、とても感動しました。
私は東京2020大会が終わった後、一度競技から一区切りをしました。その間、コーチや審判、リポーターなどの経験をし、競技から離れたからこそ、自分が体操を大好きであり、その楽しさを改めて実感しました。そして、この楽しい体操を野球やサッカーのようなメジャースポーツにしたいと強く思い、体操の普及活動を行いながら競技を両立するデュアルキャリアで活動しています。より多くの皆さんに現地へ足を運んで応援していただけるよう、頑張ってまいります。
9月19日から愛知・名古屋アジア競技大会が開催されます。初日が私の誕生日ということで、特別な舞台にしたいと思っています。金メダルを目標に頑張っています。皆さんの応援が力になるので、現地に来ていただき応援していただけると嬉しいです」
■鈴木猛史選手(パラアルペンスキー) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 男子回転(座位) 銅メダル
「今大会を一言で表すなら『辛かった』というのが本音です。選手村の入り口から寝泊まりする場所が約1.5km離れた場所にあったうえに、食事する場所もその中間にあったので、毎日行き来するのが大変でした。
個人としては、ソチ2014冬季大会以降メダルが獲れていなかったので、苦しいシーズンを過ごしていました。ソチ2014冬季大会の後に結婚したので、『支えてくれる妻のためにもメダルを獲らなければいけない』という気持ちもありました。北京2022冬季大会後、息子に本物のメダルを見せることができなかったことは、とても悔しい思い出として残っています。
現在38歳になりましたが、次のフランスアルプス2030冬季大会を目指してしぶとくやっていきたいです」
■小栗大地選手(パラスノーボード) ミラノ・コルティナ2026冬季大会 男子バンクドスラローム(大腿障害) 銀メダル
「今大会は1種目目のスノーボードクロスで思うような結果が出ず落ち込んでしまったのですが、2種目目のバンクドスラロームでメダルを獲ることができたので、地獄から天国へと一変したような大会になりました。選手村では毎日1万歩を超えるほど歩き、滑る前に疲れてしまうほどでした。しかし、日本で障がいのある者として暮らしていても不便だと感じることはないので、日本は素晴らしいと思います。
今後の抱負としては、今大会は銀メダルでしたので、フランスアルプス2030冬季大会は金メダルを目指したいです。そして、スノーボードの技術をさらに磨いて、パラリンピックに関わらず、そのほかの大会でも絶対王者と言われる存在になりたいです」
トークショーの最後には、選手を代表して髙木美帆選手が「私は現役引退を決意しましたがスポーツはこれからも続いていきます。冬季大会に限らず、アジア大会を含めた日本のスポーツを応援していただけたら嬉しいです」と締めくくりました。
7曲目は、〈君がいたから強くなれた〉をテーマに、渡辺俊幸作曲『利家とまつ~加賀百万石物語~颯流(メインテーマ)』とともに、オリンピックでしのぎを削ったライバルたちの姿を映像で振り返りました。
8曲目は、ジョン・ウィリアムズがロサンゼルス1984大会のために作曲した『オリンピック・ファンファーレとテーマ』、9曲目は同じくジョン・ウィリアムズ作曲の『王座の間とエンドタイトル〈映画「スターウォーズ/新たなる希望(エピソード4)」より〉』。2曲に乗せて、2年後のロサンゼルス2028大会で活躍が楽しみな夏季競技のオリンピアンの雄姿がスクリーンに映し出されました。
第2部のラストを飾ったのは、オリンピックの理念と精神を高らかに歌ったスピロ・サマラ作曲の『オリンピック賛歌』。日本のオペラ界の第一線で活躍を続ける8名の実力派シンガーが歌い上げ、華やかにフィナーレを迎えました。
鳴りやまない拍手の中、アンコールではフランチェスコ・サルトーリ作曲『Con te Partiro』が演奏されました。そして、今回参加した13名のオリンピアンに会場から盛大な拍手が送られ、約2時間半にわたるコンサートは、盛況のうちに幕を閉じました。
事前にオリンピアンにインタビューを行っていたジュニアレポーターたちは、コンサート終了後に感想を語りました。映像と演奏に関しては、「(映像の)選手たちの迫力と演奏が合っていてとても感動しました」とコメント。オリンピアンのトークショーについては、「オリンピックに出場しているからこそのオーラがありました。一つ一つの言葉の気持ちが伝わってきました」と話し、自身も競技に励むジュニアレポーターは「強い選手になりたい」と今後の目標を語りました。
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