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2026.06.25 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催(写真:JOC)
JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催(写真:JOC)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は6月15日、名古屋マリオットアソシアホテルで、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまで252社/団体460名(2026年6月15日時点)の採用が決まりました。今回の説明会は愛知県、中部経済同友会との共催で行われ、22社34名が参加しました。

中森康弘愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会副事務局長兼JOC参与(写真:JOC)
中森康弘日本オリンピック委員会参与兼愛知・名古屋アジア・アジパラ競技大会組織委員会副事務局長(写真:JOC)

 最初に主催者を代表して、中森康弘日本オリンピック委員会参与兼愛知・名古屋アジア・アジパラ競技大会組織委員会副事務局長が主催者を代表して、アスナビ説明会に参加した中部経済同友会の皆様に感謝の言葉を述べました。続けて、今年9月に開催を控える愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会に触れ、「地元の皆様、そして次世代を担う子どもたちに、勇気と元気と夢を与えるようなアスリートの姿をご覧いただければと思います。また、本日参加しているアスリートの中から、ぜひ1人でも多く出場をされることを願っております」と期待を寄せました。その後、トップアスリートの練習環境は整備されてきているものの、選手個人の日々のトレーニングや日常生活のサポートまでは支援できていない現状を説明。「ぜひ皆様方のお力添えをいただき、企業とともに我が国のトップアスリートが成長していく姿を見守っていただけたらと思います」と語り、参加企業に向けてアスリートの積極的な採用を呼びかけました。

柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクター(写真:JOC)
柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクター(写真:JOC)

 続いて、柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがアスナビの概要を、資料をもとに紹介。アスナビが無料職業紹介事業であることや登録するトップアスリートの概略のほか、就職実績、雇用条件、採用のポイント、アスリート活用のポイント、カスタマーサポート、採用活動の進め方などを説明しました。

大村秀章愛知県知事(写真:JOC)
大村秀章愛知県知事(写真:JOC)

 その後、共催者を代表して大村秀章愛知県知事が登壇。アスナビ説明会の開催に尽力した関係者および参加企業への感謝を述べた後、参加企業に向け「トップアスリートにとって安心して競技活動ができる安定した環境を整えるということは、国際大会での活躍に直結します。また、企業の皆様にとっても、トップアスリートを迎え入れることは社内の一体感の醸成や新たな活力が生まれるなど、大きな効果が期待できるものと考えております」とアスリート採用の意義を語りました。また、開催まで100日を切った愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会にも触れ、経済界からのこれまでの支援に感謝しつつ、JOCなどと緊密に協力して準備を進めている現状を紹介。続けて、「今大会を大いに盛り上げ、スポーツへの機運の高まりをレガシーとして次の世代につなげていくということで、本県ゆかりの選手に大いに活躍していただきたいと思っております」と、引き続き熱い支援を呼びかけました。結びに、本日の会が参加者にとって実りの多いものとなることを祈念し、挨拶を締めくくりました。

順天堂大学先任准教授の室伏由佳氏(写真:JOC)
順天堂大学先任准教授の室伏由佳氏(写真:JOC)

 続いて、アテネ2004大会に出場した順天堂大学先任准教授の室伏由佳氏(陸上競技・ハンマー投)によるオリンピアン講話が行われました。はじめに、現役時代から引退後のキャリアにいたるまでの自己紹介を行い、企業を退職した後に組織所属から個人活動へと移行した際のエピソードを紹介。さらに、自身の経験と研究データの両面から「アスリートの強みは、やり抜く力(Grit)や自己効力感といった『心理的資源』にある」と指摘しました。その上で、その強みを社内での成果につなげるためには、「初期の役割設定」「目標設定の変換」「伴走支援(メンタリング)」といった企業側のオンボーディング(受け入れ・定着)支援が欠かせないと解説。最後に室伏氏は、「アスリート採用は、即時的な競技成果や広報効果だけを目的とするものではありません。アスリートが競技で培った『心理的資源』を企業の中で活かし、育てていくための戦略的な人材投資だと考えます」と参加企業に向けて強く呼びかけました。

日本特殊陶業株式会社の辻田訓男氏(写真:JOC)
日本特殊陶業株式会社の辻田訓男氏(写真:JOC)

 次に、日本特殊陶業株式会社ビジネスオペレーション本部人事部採用課兼広報部の辻田訓男氏による、採用事例紹介が行われました。はじめに企業説明を行った後、同社が採用した上原瑠果選手と舟橋悠矢選手(ともにアーチェリー)の2名の事例を紹介。アスリート社員を採用したねらいをはじめ、雇用形態などの支援範囲、社内外におけるコミュニケーションの工夫、実際のアスリート社員の活動内容について詳しく説明しました。最後に辻田氏は、「アスリート社員が活躍してくれていることで、社内における認知度アップや、SNS・ウェブサイトの閲覧数上昇といった『企業価値の向上』に繋がっています。さらに、学校への講演や社内研修へのゲスト参加などの活動を通じ、『エンゲージメントの向上』という面でも大きな効果が見られます」と、アスリート社員を迎え入れる魅力を語りました。

 その後、就職希望アスリート8名がプレゼンテーションを実施。映像での競技紹介やスピーチで、自身をアピールしました。

清田堅⼼選手(写真:JOC)
清田堅⼼選手(写真:JOC)

■清田堅心選手(スキー/スノーボード)
「私がスノーボード競技に出会ったのは中学1年生の時でした。周囲の選手より始める時期が遅く、最初はビリからのスタートでした。しかし、スノーボードが心から好きだった私は『どうすればもっと上手くなれるのか』を常に考え、成長できる環境へ飛び込み、挑戦するステージを変えながら競技力を高めてきました。
 中学時代は毎週、学校が終わると千葉県から新潟県のスノーボードスクールまで一人で新幹線に乗っていき、練習に励みました。高校では、多くのオリンピアンを輩出した開志国際高等学校へ進学。地元千葉県を離れて3年間寮生活を送りました。そして高校2年生でJAPANチームに入り、日本代表として海外遠征に参加するだけでなく、海外のプライベートチームにも所属し、世界に挑戦してきました。そして、大学1年生でワールドカップや世界選手権の参加基準を突破し、オリンピックへの挑戦の舞台に立つことができました。しかしながら2025年2月、練習中に全治6か月の怪我を負ってしまい、目標としていたミラノ・コルティナ2026冬季大会への挑戦は叶いませんでした。同時に、自分の実力不足と世界トップとの差を痛感し、さらに努力を積み重ねなければ夢は実現できないと強く感じました。
 私がここまで世界へ挑戦し続けてこられたのは、好きという気持ちや家族の支えだけではなく、多くの方々からの応援とサポートがあったからこそと考えています。中学3年生では地元企業様、高校3年生では隣の県の企業様と、応援してくださる方々とのご縁がどんどん広がっていきました。私は競技力だけでなく、人として素直さ、正直さ、行動力、そして最後までやりきる姿勢を大切にしてきました。その姿勢が多くの方々からの応援につながり、いただいた温かい応援の言葉が、さらに私が努力を続ける力の源になっています。
 今後は、フランスアルプス2030冬季大会出場、そしてユタ2034冬季大会でメダル獲得という大きな目標に向かって挑戦を続けてまいります。そしてアスリート社員として、オリンピックという高い目標に挑戦する姿を通して、社員の皆様へ勇気や活力を届け、一体感の酸成に貢献します」

藤本穏選手(写真:JOC).JPG
藤本穏選手(写真:JOC)

■藤本穏選手(水泳/競泳)
「私は2歳から水泳を始め、現在は200mバタフライを専門としています。200mバタフライは技術、体力、戦略、精神力が求められ、常に課題と向き合い続ける種目です。私は、その課題を一つずつ克服しながら自分自身を成長させていくことにやりがいを感じています。これまで、中学では全国大会優勝、高校ではジュニアの日本代表、大学では日本選手権優勝・世界選手権日本代表を経験しました。 しかしその一方で、高校卒業後の約3年間、ベストタイムを更新できない時期もありました。結果が出ない中でも、私は立ち止まらず、課題を分析し、改善策を考え、行動に移すことを徹底しました。コーチや仲間の意見も積極的に取り入れながら、自分自身の課題を整理し続けたことで、競技力の再向上につなげることができました。また、自分の強みと弱みの両方に向き合ってきました。強みである上半身に頼るだけでなく、苦手な下半身や持久力の強化にも取り組みながら、自身のスタイルを変える挑戦を続けてきました。これらの経験から、私は『変化を受け入れ、考え続け、行動し続ける力』を身につけました。また、どんな状況でも前向きな姿勢を崩さず、継続できることも私の強みです。結果が出ない時こそ成長の機会と捉え、挑戦を続けてきました。
 競泳は個人競技ですが、周囲の支えがあってこそ成り立ちます。だからこそ、人との関わりを大事にしてきました。私はどんな状況でも前向きな姿勢と笑顔で、チームの雰囲気を明るくすることを大切にしています。自身の行動や姿勢で周囲に良い影響を与えられる存在でありたいと考えています。
 企業の皆様とご縁をいただけましたら、変化を恐れず、自身を成長させながら、挑戦と継続を通じて価値を発揮していきたいと考えています」

杉本志功選手(写真:JOC)
杉本志功選手(写真:JOC)

■杉本志功選手(スキー/スノーボード)
「私は、生まれてからコロナ期まで、日本の夏を経験したことがありません。6月から10月はニュージーランドの学校で、残りの期間を日本の学校で過ごし、2カ国の冬を行き来する生活をしてきました。周囲が夏休みを楽しむ中、私に休みはなく、課題は常に2倍。その中でも週末は雪上に立ち続け、スノーボードに打ち込んできました。言語や文化の違いに戸惑う場面もありましたが、それこそが海外生活の魅力だと感じ、楽しみながら乗り越えてきました。この経験を通じて、どんな環境でも自ら適応し、主体的に動く行動力を身につけてきました。また、多様な価値観に触れてきたことで、多角的な視点で物事を捉えられるようになりました。
 この力は競技生活においても大きな武器となっています。世界のトップを目指す上で、国内に留まるのではなく、あえて厳しい海外環境を選択してきました。高校2年時には単身でのヨーロッパ遠征を決断。英語すら通じない環境の中、バスや電車を乗り継ぎ、時にはスキー場スタッフに直接交渉しながら練習環境を確保しました。与えられるのを待つのではなく、自らの可能性を広げるために行動し続けてきました。その積み重ねが、海外トップチームとの合同練習や、ワールドカップをはじめとした国際大会への出場へと繋がっていると感じています。
 現在はワールドカップを主戦場とし、参戦1年目から24位を記録しました。世界との壁を明確に痛感する一方で、自分の滑りが通用する手応えも掴んでいます。だからこそ来年からは、よりレベルの高い環境に身を置き、世界のトップと真正面から戦い続けます。そして、ワールドカップ総合優勝、オリンピックでのメダル獲得という明確な目標に向かって挑戦し続けます。
 ご採用いただけましたら、競技での結果だけでなく、その過程での挑戦や成長を通して、社員の皆様に応援したいと思っていただける人材になります。そしてその応援を通して、企業の一体感や誇りに繋がるような価値を生み出していきたいと考えています。また、私はこれまでイベント運営やキッズキャンプを開催してきましたが、その経験を活かしスポーツを通した社会貢献活動にも積極的に取り組んでいきたいと思います。競技活動と社会貢献、その両輪で企業価値の向上に貢献してまいります」

森川晴凪選手(写真:JOC)
森川晴凪選手(写真:JOC)

■森川晴凪選手(レスリング)
「私は3歳からレスリングを始めました。北京2008大会、ロンドン2012大会で吉田沙保里さんが表彰台の頂点に立つ姿を目の前で見て、自分もこの舞台に立ちたいと強く思いました。それ以来、オリンピックで金メダルを獲得することを目標に競技に向き合ってきました。高校進学を機に親元を離れ、厳しい環境の中で競技中心の生活を続け、責任感と精神的な強さを培いました。
 高校3年時に大きな怪我を負い、大学1年時には思うように競技ができず苦しい時期を経験しました。仲間の活躍を見る中で悔しさや焦りもありましたが、諦めず、復帰後の成長を見据えてウエイトトレーニングを中心に体力強化へ計画的に取り組みました。その結果、復帰後、U20世界選手権準優勝、文部科学大臣杯優勝、翌年にはU23世界選手権優勝など、国内外の大会で成果を挙げることができました。
 この経験を通して得た私の強みは、計画性と継続力です。目標から逆算して必要な行動を具体化し、結果が出ない時も改善を重ねながらやり抜きます。
 私の現在の目標は、ロサンゼルス2028大会で金メダルを獲得することです。そのために今年12月の天皇杯、来年5月の明治杯で優勝し、世界選手権で3位以内を目指します。目の前の課題を着実に乗り越え、成長を続けていきます。
 卒業後も愛知の大学を練習拠点とするため、将来は育てていただいた中部エリアの企業で働き、地域に恩返しをしたいです。仕事と競技を高いレベルで両立させ、結果で活力を与えられる存在を目指します。もしご採用いただけましたら、レスリングで培った計画性と継続力を活かし、業務においても限られた時間の中で成果を出し、企業に貢献してまいります」

大島ひなの選手(写真:JOC)
大島ひなの選手(写真:JOC)

■大島ひなの選手(スキー/スノーボード)
「私は名古屋市で生まれ、2歳の頃に家族の意向で長野県白馬村へ移住しました。遊びの一環として始めたスノーボードでしたが、ソチ2014冬季大会後に行われた祝勝パレードで初めてオリンピックメダルに触れ、その重みと世界で戦ってきた選手の姿に憧れを抱き、私も世界の舞台に立ちたいという夢を持ちました。
 その夢と憧れに向かって進んできたつもりでしたが、思うような成績を出せず、このまま競技を続けてもいいのか悩んだ時期がありました。しかし、迷いながらも今できることを精一杯やり遂げようと気持ちを切り替え、その後の国際大会で世界選手権の出場枠を獲得することができました。
 世界選手権は憧れのトップ選手が勢ぞろいで、そのオーラや滑りに圧倒させられました。自分とトップ選手との実力差を感じましたが、その強さこそが小学生の頃に憧れた姿だったことを思い出し、改めて次は私がトップに立つのだと決意しました。
 帰国後、コーチやトレーナーの力を借りながらトップ選手との差を徹底的に分析し、私生活やトレーニング内容の再構築を図りました。その中で、夏季はトレーニング設備が充実した生まれ故郷である愛知県に拠点を移して活動するようになり、愛知県と長野県の二拠点での生活が始まりました。
 また、目標に向かう計画を短期・中期・長期に分けることで、定期的な自己分析と見直しを心がけてきました。昨シーズンは短期計画として掲げていた『アジア女王になる』という目標を達成し、ワールドカップの個人枠を獲得することができました。現在は、大学4年間における中期計画である『ワールドカップチームとして活動する』という計画の達成に向け、夏季トレーニングに励んでおります。
 企業の皆さまにご採用いただけた際には、競技に真摯に向き合う姿勢はもちろん、時にはつまずきながら前に進もうとする姿も含めて知っていただき、企業の士気向上に貢献できる存在でありたいと考えております」

馬場俊輔選手(写真:JOC)
馬場俊輔選手(写真:JOC)

■馬場俊輔選手(フェンシング)
「私がフェンシングに出会ったのは小学1年生の時でした。父の熱心な勧めにより姉の背中を追う形で競技を始めました。様々なクラブチームや高校での練習を積み重ね、高校1年時にはJOCジュニアオリンピックカップU20部門で優勝することができました。
 しかし、大学入学後は新型コロナウイルスの影響で環境が変わり、練習に実戦が求められる中、大会では納得のいくような結果を残すことができませんでした。そんな中、ナショナルチームでは左利きのスパーリングパートナーが必要ということで、代表合宿に参加する機会をいただきました。その後の全日本学生選手権では優勝することができ、ワールドカップ出場のチャンスを得ることができました。結果は日本人の中でも上位に食い込み、私の中でもコーチの中でも大きく評価が変わったことを感じました。昨年は、自身初となる世界選手権への出場も経験しました。
 パリ2024大会ではスパーリングパートナーとして帯同し、チームメイトの金メダル獲得を現地で見届けました。心から祝福する気持ちの反面、その表彰台に自分がいないことに対して涙が出ました。次に表彰台で金メダルを持っているのは自分だと信じて、ロサンゼルス2028大会・ブリスベン2032大会を目標に日々練習に励んでいます。今年は今週末に行われるアジア選手権大会と来月に行われる世界選手権の代表メンバーとして選出され、9月に開催される愛知・名古屋アジア大会への代表選出にも大きく近づきました。
 私が目標達成をするために大切にしていることは、課題を発見することです。試合中には常に分析をし続け、現状を客観的に判断しミスを未然に防ぐこと、早急に原因対処することを、競技を通して培いました。
 もし、ご縁をいただいた際には、アスリートならではの視点から現状の改善案の提示、また競技では、社員の皆様をさらに活気づけられるように努めてまいります」

伊原遥香選手(写真:JOC)
伊原遥香選手(写真:JOC)

■伊原遥香選手(スキー/フリースタイル)
「私は中学1年生からモーグル競技を始め、大学3年生でナショナルチームに入り、これまでワールドカップで6位、8位、10位入賞を経験するなど、オリンピック出場を目標に競技に取り組んできました。
 大学卒業後はプロ契約として企業に所属し、社員の皆さんと地域の清掃活動や災害支援の募金活動、小学生に夢を持つ事の素晴らしさや努力することの大切さを教える『夢の教室(JFAこころのプロジェクト)』での登壇など、地域とのつながりを大切にしながら活動してきました。スキーだけでなく、競技を通じて人や地域に貢献することは私にとって大切な役割だと感じています。
 そして今シーズン、ミラノ・コルティナ2026冬季大会の選考を兼ねたワールドカップ開幕戦の予選は7位で通過。しかし、決勝戦のエアの着地に失敗して転倒。左膝前十字靭帯断裂、外側内側の半月板損傷という大怪我を負いシーズンが終了し、所属企業との契約も満了となりました。
 このまま競技人生を終えることも考えましたが、この数ヶ月間多くの方々に支えていただく中でもう一度自分の気持ちと向き合ったとき、このまま終りたくない、もう一度世界の舞台に立ってオリンピックでメダルを獲得したいという思いが時間と共に湧き上がってきました。4年後、これが自分にとってのラストチャンスだと考えています。フランスアルプス2030冬季大会でのメダル獲得という目標に向けて覚悟を持って取り組みます。
 そしてその行程を企業の皆さまと共有し、努力する姿や、困難から立ち上がるプロセスを通じて、社員の皆さまに何か少しでも前向きな心の変化や力を届けられる存在でありたいと考えています。どん底から、再び世界の舞台へ。その物語を、ぜひ御社とともに創らせていただきたいです」

藤原陸登選手(写真:JOC)
藤原陸登選手(写真:JOC)

■藤原陸登選手(陸上競技)
「私は6歳で陸上を始めましたが、最初から幅跳び一本だったわけではありません。中学までは中長距離を専門としながら、様々な競技に触れてきました。その中で、いわば遊びとして挑戦した走り幅跳びに、言葉にできない適性を感じたことが専門種目を選んだきっかけです。高校からは本格的に打ち込み、3年時には7m73cmを跳び、広島県高校記録および中国高校新記録を樹立することができました。
 しかし、大学進学後は一転して試練の連続でした。結果を求める焦りからオーバートレーニングに陥り、努力すればするほど記録が伸びないという深いスランプを経験しました。大学4年間での自己ベスト更新はわずか一度。全国大会出場という結果に留まり、世界の壁を痛感しました。ここで学んだのは、ただ盲目的に努力の量を増やすだけでは、突き抜けた成果を出すことはできないということです。
 社会人になり、私は競技への向き合い方を根本から見直しました。食事の栄養管理、睡眠の質の追求、そして休むべき時にしっかり休むという勇気ある判断。パフォーマンスを最大化するために自分を客観視する徹底した自己管理能力を身につけました。
 その結果、社会人2年目に8mの大台を突破。2025年シーズンには水戸招待陸上で初のグランプリ優勝を果たしたほか、日本選手権室内や全日本実業団での入賞など、安定して高い成果を出せるようになりました。現在は、ロサンゼルス2028大会出場を最大の目標に掲げ、一日一日のトレーニングに妥協なく向き合っています。
 また、私の強みは競技力だけではありません。大学卒業後の3年間、ジム運営に携わり、幼児から高齢者まで幅広い層にトレーニング指導を行ってまいりました。一人ひとりの目的やレベルに合わせた言葉を選び、並走する中で磨いた信頼関係の構築力は、ビジネスの現場においても組織の活性化や顧客対応に必ず活かせると確言しています。
 私は、競技引退後も長く社会や企業に貢献できる人材を目指しています。培ってきた自己管理力と継続力を武器に、仕事においても責任ある役割を担い、着実に成果を出し続ける覚悟です」

中部経済同友会永井淳代表幹事(写真:JOC)
中部経済同友会永井淳代表幹事(写真:JOC)

 最後に、閉会の挨拶として中部経済同友会の永井淳代表幹事が登壇。永井代表幹事は本日スピーチを行った8名のアスリートを労った後、自社(新東工業株式会社)のアスリート社員である西小野皓大選手(水泳/競泳)を急きょ壇上に呼び寄せ、代わりに挨拶をしてもらうというサプライズを演出しました。登壇した西小野選手は「私自身も昨年、競技の何倍も緊張してこの場に立ったのですが、本日の8名のスピーチとプレゼンテーションは本当に心強く、深く感動しました。同じアスリートとして、世界を目指す者として、これから共に頑張っていきたいです」と後輩たちを激励。続けて「私たちアスリートは、競技だけでなくさまざまな価値を発揮して企業に貢献していきたいと思っておりますので、ぜひ前向きにご検討いただけますと幸いです」と参加企業に向けて呼びかけました。終わりに「今年の愛知・名古屋アジア大会では金メダル獲得という目標を達成し、ロサンゼルス2028大会での活躍を目指して、競技活動とアスリート社員としての役割を共に全うしていきます」と力強く宣言し、閉会の挨拶を締めくくりました。

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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