日本オリンピック委員会(JOC)は3月24日、「令和7年度JOCオリンピアン研修会~ミラノ・コルティナから愛知・名古屋へ~」と「AINAGOC×JOC×JPC合同 アスリート委員会」を愛知県東大手庁舎にて開催しました。
先に行われたオリンピアン研修会では、JOCアスリート委員会が中心となって取り組んでいる事業であり、オリンピアンとしての学びを深め、競技の枠を超えた交流を図ることを目的として実施され、27名のオリンピアンを含め30名が参加しました。
開会にあたり、羽根田卓也JOCアスリート委員長が研修会の趣旨を説明するとともに、「32年ぶりに日本で開催される愛知・名古屋アジア大会の機運醸成をこのオリンピアン研修会で図りたいという思いがあり、開催しました。ぜひこの機会に競技の垣根を越えた交流をし、素晴らしい先生方のご講演を聞き、深い学びの場となるよう頑張っていきたいと思いますので、本日はよろしくお願いいたします」と挨拶しました。
■オリンピズムについて
最初のプログラムでは、IPU・環太平洋大学院教授、日本オリンピックアカデミー(JOA)会長の真田久氏よりオリンピズムに関する講義が行われました。冒頭、オリンピックとの出会いについて、オリンピズムの根本原則と教育プログラムの5つの柱について語られました。続いてミラノ・コルティナ2026冬季大会に見るオリンピズムの実践について、具体的な選手名やその象徴するシーンとともに解説されました。嘉納治五郎氏と大谷武一氏が説いたオリンピックの考え方についても触れ、最後に「ミラノ・コルティナ2026冬季大会を振り返ると、メダルを獲得できた国は全体の30%に過ぎず、70%はメダルなしで帰国しています。だからこそ、勝利という結果だけでなく、そこに至るプロセスや人格形成の場としてのスポーツの価値を再認識する必要があります。日本の伝統的なスポーツ道の精神とオリンピズムの融合を皆さまの経験を通して伝えていただくことが、これからのスポーツ界にとって非常に重要であると考えます」と述べ、講義が締めくくられました。
■愛知・名古屋アジア大会紹介・準備報告
次のプログラムでは、「愛知・名古屋アジア大会紹介・準備報告」として、公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会(AINAGOC)アスリート委員会の谷本歩実委員長、小塚崇彦委員より大会の概要と現在の準備状況について説明がありました。冒頭、小塚委員は「今大会を見た子どもたちが、自身がそうだったように『この大会に出たい』という思いや心のスイッチを押すきっかけになってほしいと思います。それがスポーツを通じた教育や人生の糧となり、愛知、名古屋、そして日本を盛り上げていく力になると信じています」と語りました。続けて、大会の経済効果や施設整備、アジア大会独自の競技、宿泊施設やユースサポーターなどの新たな取り組みについて説明があり、最後に「まだまだ発信が足りない部分もありますので、今日知ったことや良いと思った取組をぜひ皆さんの言葉で発信して一緒に大会を盛り上げていただきたいです」と呼びかけました。
■オリンピアンのためのSNS発信力向上講座
最後のプログラムでは、「オリンピアンのためのSNS発信力向上講座」として、山内一樹氏による講義が行われました。はじめに、「SNSは敵か味方か」と問題提起し、ミラノ・コルティナ2026冬季大会期間中のTEAM JAPAN オフィシャルSNSの事例紹介が行われました。大会期間中の動画再生回数が2.5億回を記録するなど大きな成果が得られた一方、約2900件の誹謗中傷の投稿があり、社会問題となっていることにも触れ、専門家としての立場から具体的な対策を説明しました。続けてSNSの活用法について、現在の日本での利用状況やアルゴリズムの仕組みについて語り、さらに投稿する際に目的から逆算するという「SNS戦略の型」、自分らしさの見せ方について説明しました。最後に「目的を明確にした上で、自分のフォロワーの方が求める役割は何なのかを考えて投稿していただくことこそが、SNS活用の1つのポイントになります。この後のグループワークでは、愛知・名古屋アジア大会に向けてどのような投稿をして盛り上げていくかを考えながら、楽しくSNSの投稿まで進めていただければと思っております」と述べ、講義を締めくくりました。
■グループワーク:テーマ「愛知・名古屋アジア大会を盛り上げるためのSNS発信案を考えよう」
山内氏の講演で学んだことをもとに愛知・名古屋アジア大会を盛り上げることを目的としたSNS発信案を考えるグループワークが行われ、最後に各グループの発信案を発表し、食事やアニメ、アスリートならではのルーティンワークなど様々なアイディアが披露されました。山内氏は「バズる要素がふんだんに盛り込まれた企画だったと思います。これらを実行することが大事だと思いますので、ぜひ皆さんのアカウントで発信していただければと思います」と総評しました。
最後に村上めぐみJOCアスリート委員会副委員長が登壇し「まずはアジア大会に向け、オリンピアンの皆さまが持つ影響力や力を発揮していただきたいです。これまでも各地で子どもたちに教えてこられたと思いますが、現場で大会に参加し、その姿を見せることで今後もスポーツを続けていきたいと思う子どもたちがさらに増えていくはずです。今日学んだことや、皆さまのそれぞれ異なる経験を生かし、力を合わせて取り組んでいければと思います。また、アジア大会にとどまらず、スポーツの持つ力は本当にすごいものだと日々実感しています。SNSの活用も含め、スポーツを通じて社会に貢献できるよう、しっかりと行動に移しながら皆さまと協力していきたいと考えております」と閉会の挨拶をしました。
【AINAGOC×JOC×JPC合同アスリート委員会】
続いて、「AINAGOC×JOC×JPC合同アスリート委員会」がオンサイトとオンラインで実施され、はじめに八木和弘AINAGOC副事務総長が「愛知・名古屋アジア・アジアパラ大会までいよいよあと半年となり、準備を進めているところです。先日、JOCの理事会にもオンラインで参加し状況報告をさせていただきました。当初は課題もありましたが、皆さまのご支援によりだいぶ形が整ってまいりました。本日はアスリートの皆さまから、ぜひ忌憚のないご意見をいただきたいと思っております。先日のミラノ・コルティナ2026冬季大会でも証明された通り、選手のパフォーマンスこそが人々に感動と勇気を与えるものです。我々も、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるような環境整備にしっかりと努めてまいりますので、引き続きご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします」と挨拶しました。
続いて、谷本歩実AINAGOCアスリート委員長より本会の開催目的の説明が行われました。開催目的として、「アスリート主体の大会発信」、「共生社会の実現に向けた取り組み」、「日本全域での盛り上げ」の3つを挙げ、「本日、皆さまからいただくアスリート目線の有益な意見をAINAGOCに届け、大会の成功に寄与したいと考えております。本日の議論を実りあるものにしていきましょう」と呼びかけました。
次に3団体のアスリート委員長より挨拶が行われ、羽根田卓也JOCアスリート委員長が「愛知・名古屋アジア大会に向けて、非常に意義のある時間になるかなと思っております。我々の声は届く範囲が広いと思いますので、我々アスリートが主体的に発信することによって、より愛知・名古屋アジア・アジアパラ大会の機運醸成につながるのではないかと思っています。短い時間ではありますが、闊達な議論をして、盛り上げに少しでも寄与できるようにしていきたいと思います」と、網本麻里日本パラリンピック委員会(JPC)アスリート委員長が「『やる』『見る』『支える』の連携やよりコミュニケーションを取っていく必要があると思います。今回をきっかけに改めて選手から発信していき、この大会をさらに盛り上げていきたいと思っています」と、谷本歩実AINAGOCアスリート委員長が「大会成功に向けて3団体が集まる貴重な機会となりますので、ぜひ皆さんで力を合わせていきたいと思います」と挨拶しました。
そして、AINAGOCの取組を活かした今後の機運醸成について各委員より意見が述べられました。SNS等による情報発信の工夫や、仮設宿泊施設・メタバースを含む選手間交流の仕掛け、地元学生と連携した取組などについて、アスリート目線で具体的な提案が共有されました。あわせて、機運醸成の狙い(認知・集客)を踏まえた地域連携の重要性も確認されました。また、取組を「選手に確実に届ける」ための周知方法や、メタバース内で参加のきっかけをつくる工夫、アスリート自身が主体的に発信していく必要性についても意見が出されました。
最後にAINAGOC競技企画第二課の粉川俊一朗課長が「本日いただいた貴重なご意見をしっかりと情報共有し、より良い大会となるよう努めてまいります。また今後より一層、JOC、JPC、AINAGOCの連携・協働が必要になるかと思いますので、大会成功に向けて協力し合い、良い関係を築いていければと思っております。引き続きご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます」と締めくくりました。
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