ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのフィギュアスケートペアで金メダル、団体で銀メダルを獲得した三浦璃来選手、木原龍一選手が17日、記者会見を行い、メダル獲得の心境を語りました。
――オリンピックのフィギュアスケートペアで日本史上初の金メダル獲得という歴史を刻み、大逆転で勝利をつかんだこのオリンピックという舞台はどのような意味を持つことになりましたか。そして、これからのお2人や競技の未来にとって、どのような一歩になると考えますか。
三浦選手 試合が終わってから10時間ぐらいしか経っていないのでまだ実感が湧いていませんが、オリンピックという舞台で、自分たちらしい演技をすることができ嬉しく思っております。今回金メダルを獲得できたことが、日本のペアの未来の貢献に繋がればいいなと思っています。
木原選手 正直なところ、まだ実感が湧いていません。試合が終わってから一睡もできていないので、試合が終わっていない感覚で、金メダルを獲得した感覚が今はありません。今回ショートプログラムで大きなミスをしてしまいました。あの時は正直にもう無理かなと、心が折れてしまいました。しかし、パートナーの璃来ちゃんやコーチ、トレーナーの方々が僕の心をもう一度立ち直らせてくれました。口で言うことは簡単ですが、諦めないことの大切さを改めて学ぶことができたと感じました。
――たくさんの方からメッセージが届くなど、様々な反響が届いているかと思いますが、いかがですか。
木原選手 試合が終わってから、たくさんの方々から温かいメッセージをいただいています。練習拠点であるカナダ用と日本用で2台の携帯を持っているのですが、そのどちらにもたくさんのメッセージをいただいています。ただ、試合直後はドーピング検査などもあり、宿舎に戻ってきたのが深夜3時でした。そこから、明日カナダに戻られるコーチに預ける予備のスケート靴や荷物のパッキング作業をしていたので、まだしっかりとチェックできていません。今日少しでも早く合間を見つけて、お返しできたらと思っています。
三浦選手 本当にたくさんの方々からメッセージをいただいて、改めてたくさんの方々にサポートされて、私たちはここに立てているのだなと感じています。
――ペア結成から7年という月日を振り返り、今回の結果がどのような意味を持つのか、そしてこれまでのご自身にどのような言葉をかけてあげたいですか。
三浦選手 ショートプログラムで大きなミスをしてしまい、それでも諦めることなく、前を向いたことが、この金メダルにつながったと思っています。どんなことがあっても、絶対に諦めない気持ちを持つことは、大切なことなのだと強く実感しています。
木原選手 チームを結成してすぐのコロナ禍や、お互いの怪我など、常に多くの試練に直面してきました。ですが、この試練を乗り越えるたびに、私たちは本当の意味で強くなれたのだと感じています。これまでは常に頑張り続けなければいけないという思いから、頑張ったねという言葉をあまりかけないようにしてきましたが、今日はチームとして本当に頑張ったねと思いたいです。
――ショートプログラムからフリーにかけて、どのように切り替えられたのか、また、木原選手が男泣きしている瞬間はよく見る光景なのか、それとも特別なのか教えてください。
木原選手 ショートプログラムが終わった後はあまりの点数差に絶望しかなく、僕自身の心は折れてしまっていました。しかし、コーチから「野球は9回裏3アウトを取られるまで試合は終わらない。だから、この試合はまだ終わってない。平昌2018冬季大会で、アリオナ・サフチェンコ選手とブリュノ・マッソ選手が同じようなシチュエーションで挽回したことがあった。だから絶対に諦めるな」と非常に勇気づけられました。ショートプログラムが終わり、翌日の朝から涙が止まらない状態でしたが、璃来ちゃんやみんなが僕の心を立ち直らせてくれました。ショートプログラム後の絶望と悲しみで、あまり眠れていませんでしたが、公式練習後に1時間ほど寝たら、逆に気持ちもリフレッシュでき、「もう大丈夫、ありがとう、強い僕に戻った」と璃来ちゃんに宣言をして、リンクへと向かいました。
三浦選手 龍一君が演技後に大泣きする場面というのは、1年に1回のイベントなので珍しいものではありませんが、フリーの当日練習からずっとぽろぽろと泣いていて、それがうれし泣きに変わり、本当によかったなと心から思いました。
――今後の目標を教えていただけますか。
木原選手 これまでペア競技に注目していただくことは、なかなか難しかったと思いますが、今回のオリンピックを終えて、ペア競技のことを知っていただく機会は少しずつ増えていくのではないかと感じています。僕たちの世代でこのペア競技が終わってしまうのではなく、日本がフィギュアスケートのペア大国になるために、そしてペア競技をやりたいと思ってくれる子どもたちが増えるように、さらに頑張りたいなと思います。
三浦選手 私も龍一くんと同じ思いです。後輩もたくさん育っているので、引き続き日本からペア競技の選手をどんどん出していけるように私たちも頑張っていきたいなと思います。
――終わってから坂本花織選手とコミュニケーションを取るタイミングはありましたか。またショートプログラムに挑む坂本選手へのエールをお願いします。
三浦選手 かおちゃんには今回の団体戦の前から常に支えられてきました。彼女の明るさに何度も助けられ、今回私たちがショートプログラムで大きな失敗をして帰ったときに、バスを降りたところで待っていてくれて、璃来たちなら絶対大丈夫だよと声をかけていただきました。すばらしい人柄でもありますし、現地に行って心から応援したいです。
木原選手 坂本選手には、僕たち2人ともエネルギーをいただいていて、今回の個人戦フリーの前にもたくさん勇気をもらいました。かおちゃんがいないとTEAM JAPANは成り立たないのだなと思っています。今回は私たちがショートプログラムで大きな失敗をしましたが、そこでかおちゃんの分の厄を全部引き受けたと思うので、かおちゃんは全く問題ないと思います。恐れずに伸び伸びと滑ってほしいなと思います。
――ブルーノコーチが持つ言葉の力について、印象的なエピソードがあれば教えてください。
三浦選手 ブルーノコーチの観察力はとてもすごく、私たちが言葉にしなくても、今の状況をいち早く理解してくれます。私たちの普段の練習を見て、結成して2年目の世界選手権で絶対に10番以内に入ると言っていただいて、その時は全く信じられませんでしたが、本当に10番以内に入ることができ、その観察力と言葉にいつも感謝しています。
木原選手 ブルーノコーチは常にポジティブな方です。私は考えすぎてしまう癖があるのですが、そんなときにブルーノコーチから、物事をよくしたいのであれば、常にポジティブでいなさいという言葉をいただき、その言葉が私のペア人生の中でも非常に助けになっていると思います。
――過去に一度フィギュアスケートをやめたいと思ったこともあったとお話されていましたが、メダルを獲得した今、その時の自分にどのような声をかけたいですか。
木原選手 やめたほうがいいのかなと感じたのは、2019年に璃来ちゃんからトライアウトの誘いを受ける前だったと思います。自分の技術力のなさをとても感じていた時期でしたし、脳震盪や肩関節唇損傷といった怪我もあったので、もうそろそろ引退した方がいいのかなという思いを抱えていました。その時の自分に言葉をかけるとしたら、「とにかくもう少し頑張ってみよう、必ずいいことが待っているから」と伝えたいと思います。
三浦選手 私たちがここまで成長してこられたのは、7年前の瞬間やそのときに支えてくださった方々のおかげで、そのどれかが欠けてしまったら、ここまで辿り着くことはできなかったと断言できるので、すべての方々、そして龍一君に本当に感謝しています。
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