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2025.05.20 お知らせ

トーマス・バッハIOC会長がJOCを訪問

トーマス・バッハIOC会長がJOCを訪問(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)
トーマス・バッハIOC会長がJOCを訪問(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が5月9日、東京2020大会の成功及び日本におけるスポーツの普及・発展に寄与したとして令和7年春の外国人叙勲で旭日大綬章を受章し、皇居での親授式に出席。同日午後に日本オリンピック委員会(JOC)を訪問しました。(東京2020大会調整委員長として貢献したジョン・コーツIOC名誉委員は旭日重光章を受章し、同日午後に伝達式へ出席)

司会を務める小谷実可子JOC常務理事(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)
司会を務める小谷実可子JOC常務理事(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)

 バッハIOC会長が日本オリンピックミュージアム(JOM)に到着すると、司会を務める小谷実可子JOC常務理事のアナウンスとともに拍手で歓迎しました。

お祝いの言葉を送る酒井邦彦JOC副会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)
お祝いの言葉を送る酒井邦彦JOC副会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)

 はじめに、酒井邦彦JOC副会長が、お祝いの言葉を述べた上で、「東京2020大会は、バッハIOC会長の掲げられた“change or be changed”という理念のもと開催され、スポーツ界に大きなレガシーを残しました。その流れは、パリ2024大会の成功にもつながっております。私たちは、スポーツがより良い世界や平和に貢献する力を持つことを信じております。今後もIOCをリーダーとするチームの一員として、その理念の実現に向けて歩みを進めてまいります」と来月任期満了を迎えるバッハIOC会長の功績を称え、JOCの想いを語りました。

叙勲にあたっての喜びのお気持ちとJOC職員にメッセージを送るトーマス・バッハIOC会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)
叙勲にあたっての喜びのお気持ちとJOC職員にメッセージを送るトーマス・バッハIOC会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)

 続いて、バッハIOC会長がJOC職員に向けてスピーチを行いました。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 酒井JOC副会長、そして長年の友人である猪谷千春氏、JOCの皆様、そしてオリンピックを愛する皆様、本日は温かく迎えていただき、また過分なご祝辞を賜り、心より感謝申し上げます。日本、そしてオリンピックの仲間たちと再び東京というオリンピック都市でご一緒できることを、たいへん嬉しく思っております。

 4年前にはこのように多くの方々と一堂に会して、共に祝いのひとときを過ごすことなど想像できませんでした。しかし、今日それが現実となり、私たちが歩んできた道のりの長さに深い感慨を覚えます。

 東京2020大会は、誰もが経験したことのない未曾有の状況の中で開催されました。日々新たな課題が生まれる中、我々IOCは、2つの最優先事項に焦点を当てました。一つは、特に日本の皆様にとって「安全な大会」であること。そしてもう一つは「オリンピック・ムーブメントを支える大会」であることです。

 我々にとって、ホストが日本であったのは誠に幸運なことでした。日本の方々というのは決然たる気持ち、そしてまた集団的な責任ということを体現する国民性をお持ちです。このような日本の方々が体現しておられる価値というのは、非常に大切なものであり、それがあったからこそ東京2020大会は実現できたと感じております。

 日本のパートナーの皆様と協力し、科学に基づいた安全対策を徹底し、合理化を図りながら大会を実施しました。また、IOCはワクチン接種の推進にも取り組み、すべての参加者、そして特に日本の皆様の健康と安全を守る努力を続けました。結果として、参加者から感染源となった例は一つもなく、これは大きな成果だったと言えるでしょう。

 こうした努力の先に実現した東京2020大会が、世界に届けた最大の贈り物は「希望」だったと確信しています。

 コロナ禍がはじまって以降、初めて世界が一体化されたと言っても過言ではないと思います。何十億という人たちが東京2020大会を見て、アスリートたちが素晴らしいことを達成したことに驚き、感嘆しました。これはまさに日本とオリンピック・ムーブメントが協力し合ったことにより成し遂げられたことです。このように安全な環境を我々はともに作ることができ、その中でアスリートたちは輝き、そして活躍できました。コロナ禍でいつもの繋がりではなかったかもしれませんが、一瞬一瞬を大切に思いながら特別な形で繋がることができました。オリンピックは世界に対して人類の持つ一番素晴らしいもの、「連帯」「平和への願い」そして「一体感」を示すことができ、オリンピックが本来持つ価値を鮮やかに映し出しました。

 このたび天皇陛下より旭日大綬章を賜りましたが、この名誉は私個人のものではありません。IOC、そしてすべてのオリンピック関係者を代表して、謹んでお受けしました。なぜならば、日本の皆さんの協力がなければ東京2020大会は開催できなかったからです。困難を乗り越えて大会が開催されたこと自体が東京2020大会のレガシーですが、人々の生活を目に見える形で変えたということが最大のレガシーではないかと思います。今日の日本では多くの方々がスポーツを嗜むようになり、そして活動的な生活をするようになっています。また、日本は国際的なイベントにおいて素晴らしいホストであるということも証明なさいました。

 日本のアスリートの皆様は、東京2020大会はもちろん、パリ2024大会でも素晴らしい成果を挙げられました。国民に誇りと喜びをもたらし、若い世代に夢と希望を与えてくれました。これもひとえにJOCと関係者の皆様のたゆまぬ努力の賜物です。

 特に山下泰裕JOC会長には、これまでの多大なる貢献に心から感謝申し上げます。昨日、個人的にお見舞いの機会を得られたことも光栄でした。彼の早期の回復を、皆様と共に心より願っております。

 皆様、改めて心から御礼を申し上げます。私の任期は来月で終わりますが、IOCとJOCの関係は今後も価値を共有しながら続いていくと信じております。私の後任となるカースティ・コベントリー新会長も、同じ価値観を持つ素晴らしいリーダーです。皆様からの変わらぬ支援を、彼女にもぜひお願いしたいと思います。

 最後に、日本におけるオリンピック・ムーブメントが今後ますます発展し、繁栄されることを心より祈念いたします。本当にありがとうございました。

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野元麻央選手とトーマス・バッハIOC会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)
野元麻央選手とトーマス・バッハIOC会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)

 バッハIOC会長のスピーチの後、JOCエリートアカデミー生の野元麻央選手(フェンシング)がプレゼンターとして登壇し、JOCからお祝いの花束を渡しました。贈呈の際に、バッハIOC会長から「ありがとうございます。ブリスベン2032大会に向けて頑張ってください」と言われた野元選手は「ロサンゼルス2028大会にも出場できるように頑張ります」と答え、さらにバッハIOC会長からIOCのピンバッジをプレゼントされました。

 その後、バッハIOC会長の好意により、質疑応答の時間が設けられました。JOC職員から「NOCの職員として働く上で最も大切なことは何でしょうか」という質問には「オリンピックの価値を常に心に持ち、それを行動の指針とすることが最も大切です。そうすれば、自身の活動がオリンピック、スポーツ界、そして若者たちへの貢献につながるでしょう」と、「バッハIOC会長のキャリアや人生において何か日本の食文化やサブカルチャーなど、日本から影響を受けたものはありますでしょうか」という質問には「日本食は私の体型にも表れているほど影響があり、大切に思っています。ヘルシーなだけでなく魅力的で、海外でも寿司を食べに行くほど好んでいます」と回答しました。また、小口貴久JOCアスリート委員からの「NOCで働くオリンピアンとして、より良い貢献や発信の方法についてアドバイスをいただけますか」という質問に対しては、「オリンピアンとして得た経験をNOCで還元することは素晴らしい貢献です。オリンピアンは一生オリンピアンであり、その資質を活かしてスポーツ界に関わり続けてほしいとIOCも強く期待しています」と回答しました。

記念のメダルを受け取った酒井邦彦JOC副会長とトーマス・バッハIOC会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)
記念のメダルを受け取った酒井邦彦JOC副会長とトーマス・バッハIOC会長(写真:MATSUO.K/AFLO SPORT/JOC)

 最後に、バッハIOC会長とJOC職員で記念撮影を行い、終了後にはバッハIOC会長から酒井JOC副会長へ、記念のメダルが贈呈されました。

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