日本オリンピック委員会(JOC)は10月21日、「TEAM JAPANシンボルアスリート ソーシャルアクション」第三弾として、金城梨紗子選手とともに、「RISAKO & YUKAKO WRESTLING CAMP」を石川県金沢市のいしかわ総合スポーツセンターで開催しました。本企画には、金城選手の妹である川井友香子選手も参加しました。
本企画は、地元石川県や関係者に対する応援とサポートへのお礼と共に、レスリングの面白さ・奥深さをこどもたちにお届けしたいという金城選手の思いが込めて実施され、北信越地区のレスリングクラブに所属している小学4〜6年生50名が参加しました。
プログラムに先立ち、小学生たちからの大きな拍手に迎えられた金城選手は「皆さんに会えるのを本当に楽しみにしてきました。今日は一緒に頑張って練習しましょう」と挨拶し、東京2020オリンピックの感想を求められた川井選手が「小さい頃は強い選手ではなかった自分ですが、自らの努力によって金メダルが獲れたということもあり、自分の中では一番思い出に残っている大会です」と語り、レスリング教室がスタートしました。
■午前の部
まずはウォーミングアップを行うところからレスリング教室が始まりました。金城選手、川井選手と一緒に子どもたちが会場内をランニングやステップで周回します。
続いて技術練習が行われました。相手の力と体重移動を利用してバランスを崩す技術である「くずし」や、相手を倒す「タックル」の動作について、まずは金城選手と川井選手がお手本を見せます。小学生がそれぞれの動作を実践する際には、金城選手と川井選手が1人1人に腕や脚の取り方を細かく指導してくれました。
練習の最後には、体力トレーニングが行われました。子どもたちが大きな声を出しながら、ジャンプ、ステップ、腕立て、背筋などを30秒間休みなく続けます。これには元気な子どもたちも、さすがに疲れた様子を見せていました。
練習後、川井選手が「みんな回数重ねるごとに少しずつ上手になっていました。ただ、まだ試合では使えないと思うので、これからもたくさん練習を続けてください」、金城選手が「2時間練習しただけですぐに使えるようになるわけではないので、自然と体が動くようになるまで繰り返し練習しましょう。午後のスパーリングでは午前中に習った技術をぜひ使ってほしいですし、午前中以上に元気を出していきましょう」と激励し、午前の部が締めくくられました。
■午後の部
午後の部は金城選手、川井選手のトークセッションから始まりました。会場の子どもたちから、たくさんの質問が二人に寄せられます。
「得意技を教えてください」という質問に対して、川井選手は「アンクルホールドが得意です。東京2020オリンピックでもアンクルホールドでポイントを重ねられました」と回答し、金城選手は「技ではないですが、午前中でも練習したタックルに入る前のくずしです。相手を組み手でコントロールするのが得意です」と回答しました。
「習得するのが大変だった技は何ですか?」という質問に対しては、川井選手が「東京2020オリンピックの代表になった後にコーチから組み手を習ったのですが、組み手は正解がないので、できるようになるのが大変でした。1年以上反復練習を続けました」と回答しました。
また、子どもたちだけでなく、保護者からも質問が寄せられました。小学4年生と6年生の子どもを持つお父さんから「子どもたちの動きに”癖”があるのですが、私が指摘しても直してくれません。本人に癖がある自覚がないようなのですが、どうしたら良いのでしょうか」と質問されると、金城選手が「指導者目線ですと根気強く言い続けるしか無いのかなと思います。ただ経験者から言われるのと、未経験者の保護者から言われるのでは子どもの受け止め方も違うかもしれません。保護者目線であれば、子どものスパーリングの動画を撮影したものを見せてあげて本人に気づかせるということと、指摘しすぎてレスリングが嫌いにならないように気長に待つことが大切ではないかと思います」とアドバイスしました。
会場内からたくさんの質問が上がるうちにあっという間に30分が過ぎ、集合写真を撮影してトークセッションが締めくくられました。
続いて、スパーリングが行われました。1セットあたり2分間、午前中に指導を受けた技術を活かしながら子ども達が一生懸命組み合います。金城選手や川井選手もアドバイスを送るだけでなく、2人も子どもたちとスパーリングを行い、実践で指導してくれました。2時間スパーリングを行った子どもたちは、金城選手・川井選手に直接指導を受けられたことで、非常に満足した表情を浮かべていました。
午前、午後合わせて5時間のプログラムが終了し、最後に金城選手、川井選手が挨拶を行いました。金城選手は「子どもたちと練習できる機会は中々ないのですが、みんなの元気いっぱいのレスリングを体感できて非常に良かったです」、川井選手は「1日あっという間でしたが、午後のスパーリングではみんながぶつかってきてくれて、私も元気をたくさん受け取りました」と語り、イベントが締めくくられました。
なお、本イベントの最後には石川県スポーツ大使の委嘱状交付式が行われました。ロサンゼルス1984オリンピックにレスリングで出場した馳浩石川県知事が登場し、金城選手、川井選手に委嘱状を手渡しました。
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