JOCが年1回発行している広報誌「OLYMPIAN」では、東京2020オリンピックでメダルを獲得した各アスリートにインタビューを実施しました。ここでは誌面に掲載しきれなかったアスリートの思いを詳しくお伝えします。
濵田 尚里(柔道)
女子78kg級 金メダル
■恩返しの金メダル
――金メダル獲得おめでとうございます。
ありがとうございます。
――今の率直な感想をお聞かせください。
今回の東京2020オリンピックで、金メダルをとるために今までやってきたので、金メダルという結果で終わることができてすごくうれしいです。
――4試合全てを寝技で勝利。試合時間の合計も7分42秒と圧倒的な強さでした。ご自身で振り返ってどのように感じていますか。
私は寝技が得意なので、寝技に持ち込めるチャンスが来た時に、絶対に1回で決めるという気持ちで今まで練習してきました。今回の大会では練習してきたことが全て出せたと思います。
――寝技に持ち込まれることが、相手選手も分かっているはずなのに逃げられない。立ち技からの連携といった勝利の方程式をお持ちなのだと思います。寝技を決めるために何か特別なトレーニングはされていますか。
特別な練習はしていないのですが、やはり自分の得意な部分ではあるので、そこは意識して重点的に練習するようにはしていました。
――金メダルを獲得できた最大の要因はどのようにお考えですか。
この大会を迎えるまで、すごくたくさんの方が応援してくださって、支えていただきました。ですから、その皆さんに金メダルという形で恩返しをしたいと思ってこの大会に臨んでいました。
■結果を気にし過ぎず楽しむ
――他の大会と同じ気持ちで臨めたとお伺いしました。東京で開催されるオリンピック、それから武道の聖地・日本武道館での大会ということになりましたが、何かいつもと違う雰囲気を感じましたか。
オリンピックという大きな舞台ではありましたが、いつも通りの気持ちで臨むことができました。
――思い出に残った試合はありますか。
いつも負けている相手に勝てた決勝戦(フランスのマドレーヌ・マロンガ選手と対戦)が印象に残っています。
――その決勝はどのような気持ちで挑みましたか。
やってきたことを出し切ろうという気持ちでした。
――今大会は無観客での開催となりましたが、何か影響はありましたか。
無観客とはいえ、観客席で日本代表選手団のスタッフや選手のみんなが応援してくれていたので、それはすごく力になりました。
――柔道はお家芸とも呼ばれているので、金メダルをとることに対するプレッシャーが他競技と比べて大きいように感じます。濵田選手はそのようなプレッシャーは感じませんでしたか。
金メダルを絶対とりたいという気持ちでは臨んでいましたが、一方で、結果を気にし過ぎずに楽しもうという気持ちも大切にしていました。
――新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、大会が1年延びました。何か特別なことをされましたか。
延期が決まった時には、大会もなくなり、練習もできない状態になってしまったので、その時は一度リフレッシュという意味で、いろいろなスポーツをするようにしていました。
――どのようなスポーツをされたのでしょうか。
バレーボールやサッカーが多かったです。
――オリンピックの金メダリストになりました。オリンピックの価値や素晴らしさを体感されたと思いますが、今後、多くの人に伝えていくためにどのような取り組みをされようと考えていますか。
私がやっている柔道競技の楽しさや素晴らしさを広めていけたらいいなと思います。
――オリンピックを目指す未来のオリンピアンや、柔道でオリンピックを目指す皆さんにぜひメッセージをお願いします。
私が経験して感じたのは、本当に夢の舞台だということです。ぜひ、オリンピックという舞台を目指して挑戦してほしいと思います。
――3年後にはパリオリンピックが控えています。ぜひ抱負も聞かせてください。
オリンピックの代表に選ばれるというのはすごく難しいことだと思っています。ですから、そんな簡単には言えないのですが、一つ一つの試合をしっかり勝っていきたいと思っています。
■プロフィール
濵田 尚里(はまだ・しょうり)
1990年9月25日生まれ。鹿児島県生まれ。10歳の時に兄とともに柔道を始める。寝技の幅を広げるため、格闘技のサンボ競技にも取り組む。2013年にはロシア・カザンで行われたユニバーシアード競技大会のサンボ80㎏級で優勝。18年世界選手権では、78㎏級で初優勝。21年、初出場となった東京2020オリンピック78㎏級では、得意の寝技でオール一本勝ちを決めて金メダルを獲得。混合団体では銀メダルを手にした。自衛隊体育学校所属。
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