日本オリンピック委員会(JOC)は3日、第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)の日本代表選手団壮行会を東京・国立代々木競技場第一体育館で開催しました。日本代表選手団(選手団)総勢481名(選手286名、役員195名/7月3日時点)のうち、海外合宿を行っている選手らを除く305名の選手団が参加。およそ1万人のファンや子どもたちから熱い声援を受け、8月5日に開幕するオリンピックへ決意を新たにしました。
今大会の応援テーマは「とどけ!勇気」。オリンピックでは、ライバルに勝つため、そして自身の限界に挑むために、勇気を必要とする場面がたくさんあります。そこで今回の壮行会では、次世代を担う子どもたちを中心に熱い応援エールを送り、選手団に「勇気」を届けました。
オープニングでは陸上自衛隊中央音楽隊の演奏のもと、吉田沙保里主将(レスリング)、右代啓祐旗手(陸上競技)を先頭に選手団が姿を現すと、会場からは大きな拍手と歓声。選手団もそれに応えるように、笑顔でファンや子どもたちとハイタッチしながら花道を歩いての入場となりました。
■安倍総理、森会長が激励の言葉
最初に竹田恆和JOC会長が「競技に挑む選手の真摯な姿はスポーツを通して何事にも恐れず立ち向かう勇気と、どのような困難も乗り越えていく元気や笑顔、そして感動や夢を多くの子どもたち、皆さま方に届けてくれるものと確信いたしております。その活躍が2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会での栄光の懸け橋となることを期待しております」と挨拶しました。
次に、安倍晋三内閣総理大臣がビデオメッセージで「選手の皆さん、オリンピック出場、本当におめでとうございます。皆さんにとってオリンピックは夢であり大きな目標であったと思います。これまで積み重ねてきた努力に心から敬意を表します」と激励しました。1964年東京オリンピックの思い出を振り返り「表彰台で日の丸が揚がるごとに、日本国民はみんな“頑張れば世界に勝てる”と勇気付けられ、大きな誇りを感じました」と思い出を語った安倍総理。「スポーツには大きな力があります。リオ大会での皆さんの活躍は多くの人々に夢と感動、そして勇気を与えてくれると思います。世界のライバルを相手に自分の力を思う存分発揮し、最高のパフォーマンスを見せてください」と期待の言葉を寄せるとともに、「リオの次はいよいよ東京です。選手の皆さんの活躍は2020年東京大会の大きな弾みともなります。がんばれニッポン! 皆さんを心から応援しています」とエールを送りました。
続けて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が登壇し、「私からもあらためてリオ派遣の皆さまに対して、これまで努力してきたことに対しての評価と大いなるご健闘を心から祈って激励をしたいと思います」と挨拶。そして「世界が平和であってこそオリンピックが開けるんです。オリンピックが公正に開かれるように、世界がいつまでも平和を希求できるように、そういう舞台がリオであり、次の東京であります」と平和への願いを語ると、「選手の皆さんにはぜひ表彰台に上がったら、大きな声で国歌を歌ってほしい。そして、このリオ大会でしっかり頑張って、世界の多くのアスリートやスポーツファンを日本に呼び込んでくるという意気込みで頑張っていただきたいと思います」と選手団に呼びかけました。
■子どもたちが選手団にエール、ゆずも歌で応援
挨拶が終わると、松岡修造応援団長と、応援サポーターの小島瑠璃子さんが登場。松岡団長は「日本の子どもたちを含めてみんなの勇気を集めてきました」と、総勢4262名の子どもたちの手形と、応援メッセージが書かれた縦10メートル×横8メートルの「とどけ!勇気」のビッグフラッグを紹介しました。この壮行会には、実際にビッグフラッグ作製に参加した子どもたちを中心に招待し、当日参加できなかった仲間たちの想いと共にビッグフラッグの披露に立ち会いました。そして、武蔵野市立境南小学校の150名の生徒たちがステージに上がり、「とどけ!勇気、がんばれ!ニッポン」と手拍子をしながら選手団にエール。さらに会場の1万人のファンも一緒になって大声援の「とどけ!勇気、がんばれ!ニッポン」の応援エールを送るサプライズもありました。
応援パフォーマンスのあとは、スペシャルゲストの人気デュオ「ゆず」が登場し「栄光の架け橋」を熱唱。続けて「1、2、3、ニッポン!」のコールを加えた特別バージョンの「夏色」も披露して盛り上げると、会場からの「もう1回」コールに応えるように、ゆずの北川悠仁さんが「ステージ上に二人だけだと寂しいから」と吉田主将、内村航平選手(体操競技)らを次々とステージ上に誘導。最後は多くの選手がステージに上がり、会場と一体となって「夏色」を歌い上げました。
これら全国の子どもたちや会場の1万人のファンが届けた勇気の応援、そしてゆずが届けた歌での応援に、ケンブリッジ飛鳥選手(陸上競技)は「本当に多くの方に応援していただいているので、リオでは精いっぱい頑張りたいです」と答え、同じく吉田亜沙美選手(バスケットボール)も「とても感動しました。強い気持ちになれたのでオリンピックで頑張りたいです」とコメント。そして、木村沙織選手(バレーボール)は感動で目を潤ませながら「たくさんの皆さんの勇気を今ここでもらって、すごく涙が出そうになりました。ブラジルでは悔いのないように今までやってきたことを全て出し切って頑張りたいと思います。ぜひ一緒に戦ってくれたら嬉しいです」と、会場の1万人に向けて感謝の言葉を送りました。
最後に、選手団を代表して橋本聖子団長が「今日は多くの皆さま方から多くの勇気をいただきました。これからは私たちがリオから勇気をお届けさせていただきたいと思います」と述べると、選手団全員が花道でファンとハイタッチし、またサインボールを観客席にプレゼントしながら退場。観客席からも再び「とどけ!勇気、がんばれ!ニッポン」の応援エールが送られました。
■目標は金メダル14個、総数30個以上
壮行会終了後には記者会見が行われ、橋本団長は「日本でのオリンピック開催が4年後に迫った中で、リオデジャネイロオリンピックの位置づけは大変重要な意味を示すものだと思っております」と話すと、「今まで以上の成績を挙げることはもちろん、リオの地から選手団の素晴らしい潜在力、日本の素晴らしい精神文化力をいかに発信することができるかということも、4年後の開催国として大切な役割を持っていると思います」と意気込みを語りました。
続けて、山下泰裕副団長が「選手たちが大いなる勇気を持って自分の夢にチャレンジできるように現地で努めていきたい」とサポートに全力を尽くすことを明言。田裕司総監督は「選手たちはやる気十分だと思います。その結果があと1カ月後に出ますが、やはりメダルをたくさん獲りたい、獲らせたいと思っております。ぜひ、目標の金メダル14個、メダル総数30個以上を目指して頑張ってまいりたいと思います」とメダル獲得数の目標を掲げました。
一方、吉田主将は「結団式では皇太子同妃両殿下に温かい激励のおことばをいただき、身が引き締まる思いになりました。また、壮行会ではたくさんの子どもたちから勇気をもらいました」と感想を述べると、「今日私たちがいただいた勇気は、リオのオリンピックで日本の選手団が日本国民の皆さんに返さないといけないなと強く思いました。個人的な話になりますが、前人未到の4連覇を達成することで、日本国民の皆さんが明るくなったり、元気になったり、感動してくれたら嬉しいなと思いますので、リオではしっかり4連覇できるように頑張りたいと思います」と決意を語りました。
また、右代旗手も「旗手が僕でいいのかなと思いましたが、僕はたくさんの方に十種競技を知っていただきたいという気持ちがありまして、リオデジャネイロオリンピックでの旗手を全力でやりたいと思います。開会式では堂々とした姿で一歩、一歩踏みしめながら、日本代表選手団の前を歩いていきたいと思います」と抱負。そして、「競技のほうはロンドンから2大会連続の出場となりますが、ロンドンでは20位という悔しい思いをしました。この4年間必死でレベルアップして、リオは僕の中では集大成だと思っているので、しっかりと自己記録を更新して入賞、そしてメダルを意識して、全力で戦っていきたいと思います」と力強く目標を語りました。
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