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2018.02.25 オリンピック

【メダリスト会見】髙木菜那選手「まだ金メダルをとった実感ない」

【メダリスト会見】髙木菜那選手「まだ金メダルをとった実感ない」
スピードスケートで金メダルを獲得した(左から)佐藤綾乃選手、髙木菜那選手、髙木美帆選手、菊池彩花選手(写真:アフロスポーツ)

 平昌オリンピックのスピードスケート女子チームパシュートで金メダルを獲得した髙木美帆選手、髙木菜那選手、佐藤綾乃選手、菊池彩花選手が25日、メーンプレスセンターでの記者会見に出席し、メダルを獲得した今の心境を語りました。髙木菜那選手はマススタートで金メダル、髙木美帆選手は1500mで銀メダル、1000mで銅メダルを獲得しており、個人種目でのメダル獲得についても感想を述べました。

【メダリスト会見】髙木菜那選手「まだ金メダルをとった実感ない」
2つの金メダルを掲げる髙木菜那選手(写真:アフロスポーツ)
【メダリスト会見】髙木菜那選手「まだ金メダルをとった実感ない」
晴れやかな表情の髙木美帆選手(写真:アフロスポーツ)

■髙木美帆選手「どのレースにも向き合って挑むことができた」

――昨日のマススタートで金メダルを獲得した髙木菜那選手、今の気持ちを教えてください。

髙木菜選手 (マススタートでは)本当に予想通りの展開になってくれたので、最後のスプリントで勝つことができました。優勝したのはすごくうれしかったんですけれど、まだ金メダルをとった実感がないです。

――髙木美帆選手、個人種目でメダルもありましたが、それぞれを振り返っていかがですか?

髙木美選手 今大会はたくさんの種目に出させていただきましたが、どの種目もしっかりとそのレースに向き合って挑むことができたのかなと思っています。特に最後のパシュートでは、ずっと金メダルを狙っていたので、自分たちの思いだけではなくて、応援してくださる方やサポートしてくださる方の思いも結果に出すことができて良かったと思います。

――菊池選手、佐藤選手、今の気持ちを聞かせてください。

菊池選手 1年前、ケガをした時はここに立つことも考えられませんでしたが、みんなの活躍を昨シーズン見てきてすごく刺激を受けて、私もこの場所に一緒に立ちたいという気持ちで日々を過ごして来ました。実際にみんなとこうやって金メダルをとることができて本当にうれしいですし、ここに来るまでに支えてくださった方々に感謝したいと思います。

佐藤選手 初めてのオリンピックで、最初の3000mから良いスタートを切ることができて、チームパシュートで金メダルをとることができたのは、ものすごくうれしい気持ちでいます。私よりもはるかに力がある先輩方、スタッフさん、コーチ、トレーナーさんの支えがあって、金メダルという結果を残すことができたので、ものすごく感謝の気持ちでいっぱいです。

――髙木菜那選手に質問です。マススタート準決勝の最初の4ラップで5点を取った後、すぐに後方に下がりましたが、これは作戦通りなのでしょうか? また、決勝は(日本選手が)1人の時と2人の時とで、どんなレースパターンを持って臨みましたか?

髙木菜選手 準決勝のレースでは5ポイントを取れば決勝進出は確実だったので、自分が一番良い時に行って5ポイントを取りにいこうと考えていました。1回目で取れそうだと思ったので、うまく仕掛けて最初で5ポイントを取れました。その後は1周差をつけられなければそのまま決勝進出だったので、なるべく足を使わずにうまく後ろに付くということを考えながら滑っていました。決勝では、2人で行くという作戦で考えていたので、1人になってしまってちょっと焦ったんですけれど、すぐ(デヴィット・)ヨハンコーチと新しい作戦を2人で話し合って、考えてからいけたので、スムーズに気持ちを切り替えられたかなと思います。

――髙木菜那選手、美帆選手に質問です。お互い金・銀・銅を取られた時に姉妹の活躍をどう見ていましたか?

髙木菜選手 スピードスケートの中で、はじめに妹が1500mでメダルをとってくれて、チームジャパンが波に乗ってどんどんメダルをとることができたので、本当に良い刺激になったと思いますし、妹のおかげで良い風が吹いたなと思います。

髙木美選手 マススタートは、スピードスケートの中で最終日の最後の種目だったので、レースが終わった人達とみんなでハラハラドキドキしながら、楽しみながら観戦することができました。その中で、いろいろと状況が変わっていくレース展開を見ながら、今までたくさんマススタートに出てきたことや、自分も(レース)経験があるので、そういうのを感じながら、(姉が)良いところにいるなというふうには見ていました。最後に内側から前の選手を指しに掛かることができたのはさすがだなと思って見ていました。

――3月に控える大会も含めて、今後どういうスケート人生を歩んでいきたいですか?

菊池選手 私はこの後、世界選手権とワールドカップ(W杯)最終戦に出場するので、まずは世界選手権でしっかり自分の滑りをして優勝できるように頑張りたいと思います。W杯最終戦も楽しみながら自己ベスト目指して頑張りたいです。

髙木美選手 私も菊池さんと同じように、世界選手権とW杯のファイナルが残っているのですが、今の気持ちとしては、オリンピックに4年間懸けるという気持ちでずっとやってきて、その大会が終わったところなので、すぐに次の大会へという気持ちの切り替えは正直、できていません。ただ、こうやって記者会見で取材を受けたり、日本に帰って皆さんにメダルをとれた報告をして、そういったことをしながら少しずつ次の大会に向けて気持ちを切り替えていきたいなと思っています。

髙木菜選手 私はこの大会が終わったら、来シーズンをやるにしてもやらないにしても、(故障していた右の)膝を完璧にしてから次のシーズンに入りたいと思っているので、まずはリハビリに専念したいと考えています。

佐藤選手 私はW杯最終戦があります。今シーズン最後の大会になるので、それに向けてあらためて頑張っていきたいと思っています。また、今シーズンが終わってその先は、学業の方を考えています。今年はあまり学校に行けていなくて、勉強もあまりすることができなかったので、来年は勉強を中心にとはしないかもしれないですけれど、もう少し学校にも行って勉強したいかなと考えています。

【メダリスト会見】髙木菜那選手「まだ金メダルをとった実感ない」
質問に答える佐藤綾乃選手(写真:アフロスポーツ)
【メダリスト会見】髙木菜那選手「まだ金メダルをとった実感ない」
笑顔を見せる菊池彩花選手(写真:アフロスポーツ)

■佐藤選手「今年1年、本当に大きく成長した」

――髙木菜那選手は、昔から妹に負けたくないという思いで競技をやってきて、互いを認め合いながら、今、妹より1つ多い金メダルをとりました。妹と共に出た今大会はどんなオリンピックでしたか?

髙木菜選手 妹と出たオリンピックということに自分はそんなに強い感情はないのですが、ここ2年間ずっと共に過ごしてきた仲間と出るオリンピックは初めてだと思うので、ずっと練習してきた仲間でチームパシュートを戦えましたし、仲間とオリンピックに出られたのはすごく安心感もあって、自分の支えにもなりました。その仲間と一緒に結果を残せたのは、自分のスケート人生にとって本当にかけがえのないものだったなと思います。(妹より1つ多い金メダルは自信になった?)新しい種目で駆け引きがある種目なので、(妹に)勝ったなというのはなくて、個人種目でもっと上を目指したいという気持ちの方が強いので、まだまだ追いかけ、追い越せという気持ちでいます。

――お姉さんのオリンピックへの強い気持ちを見ながら、オリンピックへの気持ちが変わってきたとおっしゃっていました。お姉さんと一緒に出た今大会はどんなオリンピックでしたか?

髙木美選手 4年間オリンピックに向けてスケートに人生を懸けるんだという思いで過ごしてきましたが、オリンピックが終わる最後まで強い気持ちを保ち続けることができたのかなと思っています。姉と出たオリンピックは……普段の遠征に行っている感覚とあまり変わらないくらいに、この2年間は普段からチームとしても家族としてもずっと過ごすことができていたんだなというふうに思っています。

――少し肩の荷も下りられたと思いますが、プライベートで何かやってみたいことは?

菊池選手 ひとつは温泉に行ってゆっくりしたいなというのと、ずっとオリンピックを目指してスケートしかやってこなかったので、他のスポーツもやりたいなというのがあります。

髙木美選手 もし自由な時間があるのであれば、すごく静かなところでのんびりしたいなと思います。

髙木菜選手 今一番やりたいことは、白いご飯が大好きなので、おいしい白いご飯の食べ比べをしてみたいです。

佐藤選手 まずはおなかいっぱい甘いものを食べたいのと、友達とどこかでかけたいなという気持ちもあって、そこで満足するだけ買い物をしたいと思っています。

――ヨハンコーチを招へいするなど、スケート連盟による強化体制はこの4年間で大きく変わりました。メダルを取るにあたってどのあたりが一番大きかったですか?

菊池選手 ヨハンコーチが日本に来てから自分が一番変わったことというか教えてもらったことは、スケートを楽しむということです。今までは、競技をしている以上、絶対に勝たないといけないとか、頂点を目指して行かないといけないという気持ちが強すぎて、なかなか自然体でスケートをすることができていなくて。いつも何かに縛られてやっていたので、いつからかスケートを楽しむということを結構忘れていたのかなというのを、ヨハンコーチが思い出させてくれました。「スケートは何でやっているかといったら、自分が好きだからやっているんだろう?」と、悩んだり行き詰った時はそういう声をかけてもらっていました。自分が好きだから、勝ちたいからやっているというすごくシンプルなところに目を向けやすくしてくれたので、自分を取り戻しやすかったというか、怪我もあったりいろいろなことがありましたけれど、根底にはそれがあるんだなと。それが私にとってこの4年間で一番変わったことです。

髙木美選手 パシュートに関しては、やはりナショナルチームができて、寝食共に年間300日以上を過ごす時間を確保できたというのは間違いなく大きな要因だと思います。その環境を整えるにあたって、コーチの方たちの声出しというか、こういうふうにしたいという言葉から、周りのサポートをしてくださる方のご尽力があってそういった環境を整えていくことができました。そういったことも含めて、自分たちのやりたいことを声に出すということも同時に必要なことなんだなということを感じました。また、パシュートを強化するにあたって、スピードも必要になる種目なので、自分が取り組んでいる中距離のスピード強化にもつながってきたかなと考えています。

髙木菜選手 私は最初の2年間は、所属先のサポートもあってオランダでスケートをできたのですが、そこでまず効率の良さや練習の中での強弱のつけ方など、日本ではなかなかできないような練習内容をすごくやらせてもらって、いろいろなことを学ばせてもらって、その中でヨハンコーチが日本に来ました。ヨハンコーチはオランダの中では結構きつい練習をするコーチなのですが、それが日本では当たり前で、それがうまく組み合わさって、今までの日本の良かったところとオランダの強いところが組み合わさっての今なのかなと思います。なので、日本人の最後まで諦めない気持ちや、言われたことを全部やるというところが、ヨハンコーチがいろいろ考えてきた練習をみんなでこなせてきたという気持ちもありますし、それが連盟さんやいろいろ方のサポートがあったからだと思いますし、全部が重なって良い方向に向けたんだなと思います。

佐藤選手 私はナショナルチームに入る前は、全くシニアの世界は夢にも思っていなくて、ジュニアの頃はシニアとの間に、私自身、大きな壁があったと感じていました。それが2年前にヨハンコーチに声をかけてもらってナショナルチームに参加させてもらって、私からしたらスケートのことに関しても、日常的なことに関しても全てががらっと変わって。ヨハンコーチの指導でも、今まで私がやってきたことと全く違うやり方で、まずヨハンコーチの練習内容についていくのも、体も頭もいっぱいいっぱいで、何もかもが本当にがらりと変わってしまったので、最初の1年というのは、目の前にあることをこなすことに夢中だったので、あまり自分自身どこか成長したかと言われると、あまり感じられませんでした。けれど、今年1年、自分自身の力も本当に大きく成長したところがあって、そしてチームパシュートでオリンピックの金メダルを目指すという気持ちの持っていき方もこの1年間で大きく変わったなと思いますし、ナショナルチームに入って、世界のトップクラスで戦ってきた先輩との出会いというのも私にとっては大きな出来事でした。本当にこの2年間というのは、ここまで来るにあたって私にとっては全てが学びであったり、全てが吸収できることでもあったので、私を(ナショナルチームに)招待してくれたヨハンコーチや連盟の皆さん、先輩方に感謝したいなと思っています。

――選手村での思い出話や楽しかったことを教えてください。

菊池選手 (4人で)部屋が違ったので一緒に過ごすのは食事の時くらいしかなくて。私個人は、普段の生活の時よりも妹たち(編注:ショートトラックに出場した菊池悠希選手、菊池純礼選手)と一緒にいる時間がすごくあったので、普段よりも深い話ができたというか、自分でも不思議なんですけれど、オリンピックでちょっと家族のきずなが深まったというのをすごく感じました(笑)。

髙木美選手 いろいろありました。言えないこともいろいろあったんですけれど(笑)、選手村で自分が宿泊したところは家みたいな部屋だったので、部屋の空気感がとてもアットホームな雰囲気になっていて、すごく過ごしやすかったなと思います。

髙木菜選手 みんなでいろいろ話し合ったのは、綾乃の笑い方について、「イヒヒ」と笑うので、かわいく笑うにはどうしたらいいかを議論したのが結構面白かったなと(笑)。あとは、自分と押切(美沙紀選手)が2人部屋だったのですが、いつも小さい電気だけつけて押切が先に寝ることが多くて。その時も小さい電気だけ点けたら、「寝れないから消して!」って言われて(笑)。「今まで点けてたじゃん!」となって大爆笑したのが思い出に残っています。

佐藤選手 選手村に入って最初の方にオリンピックプラザに同部屋の人達とお土産を見に行ったんですけれど、そこのスポンサーブースにVRがあって。目に(ヘッドギアを)付けて、ジェットコースターのように体が揺れたりするのを体験するところがありました。本当に実際にやっているかのような体験ができて、ものすごく叫んだり笑ったりがあって、私たちらしいにぎやかな雰囲気だったかなというのもありましたし、そこのスタッフさんも「今までで1番観客が多かったよ」と言われたので、それだけ騒がしかったのかなと(笑)。でも、すごく楽しかったなって思いました。

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