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第23回オリンピック競技大会(2018/平昌)

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被災地の中学生・高校生アスリートを派遣 平昌オリンピック視察団レポート

カテゴリ:オリンピック
2018.02.26
被災地の中学生・高校生アスリートを派遣 平昌オリンピック視察団レポート
ジャンプ台の前で記念撮影をする団員(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は、東日本大震災復興支援JOC「がんばれ!ニッポン!」プロジェクトの一環として、平昌オリンピックに中高校生アスリートによる視察団を2月8日〜13日の日程で派遣しました。視察団はオリンピックが行われている平昌、江陵地域に滞在し、競技観戦やオリンピック関連施設訪問などの活動を行いました。

 本視察団の派遣は、被災県に在籍する将来を担う若手選手に、国際総合競技大会を身近に体験する機会を提供し、今後のスポーツ活動などに役立ててもらうことを目的としたものです。5度目の派遣となる今回は、1998年長野オリンピックのスピードスケート男子500m金メダリストの清水宏保さんを団長に、岩手、宮城、福島、熊本の4県で冬季スポーツに取り組む中学生、高校生12人が参加しました。

■2月9日 興奮の開会式観戦

 8日に韓国(ソウル)入りし、到着翌日の9日にソウルより専用バスにて平昌郡へ移動。20時からスタートした開会式に足を運んだ視察団。韓国の伝統舞踊や太鼓の響きに感動しながら、いよいよ選手団入場の時を迎えました。今大会は韓国語版の五十音表記順に入場し、日本選手団は62番目の登場となりました。「日本(イルボン)」のアナウンスのあと、スキー・ジャンプの葛西紀明旗手を先頭に堂々と日本選手団が行進。寒さに負けじと大きく手を振る団員たちに、日本選手団の皆さんも気が付いてくれたのか、同じように手を振って返してくれました。団員たちにとって、興奮冷めやらぬ開会式の観戦となりました。


被災地の中学生・高校生アスリートを派遣 平昌オリンピック視察団レポート
平昌広報館でのメダルレプリカ展示
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平昌広報館ではアイスホッケー体験も

■2月10日 韓国文化との触れ合い、午後は競技観戦

 10日は平昌オリンピック・パラリンピック開催を記念してつくられた「平昌広報館」を訪問。今大会のメダルレプリカが展示されたコーナーでは、金・銀・銅と並んだメダルを前にみんなで記念撮影。アイスホッケーのシュート体験スペースでは、アイスホッケーに取り組む団員が鋭いシュートを連続で決めると、他の団員たちからは「わー、さすが」などと歓声が上がりました。

 続いて、現存する韓国最古の住宅建築と言われる「烏竹軒」を訪問しました。この場所は韓国の紙幣にも描かれている朝鮮王朝時代の儒学の大家・栗谷李珥、その母で芸術家でもあった申師任堂の母子の生家で、黒い幹の竹に囲まれていることから「烏竹軒」の名前で呼ばれています。通訳ガイドの説明を静かに耳を傾けていた団員たちも、珍しい“黒い竹”を見ると「ほんとに黒い!」「すごい」と、竹林を覗き込んでいました。

 韓国文化に触れた後は、まずアイスホッケー日本女子代表のスウェーデン戦を観戦しました。第1ピリオドで1点先行を許すも、第2ピリオドでは浮田留衣選手の得点で同点に追いつき団員たちは大歓声。逆転を信じて第3ピリオドも必死で応援しましたが、残念ながら1点差で敗れました。
 アイスホッケー選手の団員は、好セーブを連発したゴールキーパーの藤本那菜選手に対し「今日は負けてしまったけれど、藤本さんは最高の選手です!!」と涙ながらに語っていました。

 さらに夜はスキー・ジャンプ男子ノーマルヒルの応援に平昌へ移動。寒風が吹きすさぶ中、何度も競技が中断するなど寒さとの戦いになりました。それでも、最後まで大きな声で日本選手を応援した結果、小林陵侑選手が7位に入賞し、みんなで一緒に喜びました。


被災地の中学生・高校生アスリートを派遣 平昌オリンピック視察団レポート
5キロの円柱型の用具を使ってスピードスケート選手のトレーニングを体験
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スキー・ジャンプから3選手がサプライズで登場。(左から)小林陵侑選手、伊藤有希選手、葛西紀明選手

■2月11日 ジャンプ代表が登場するサプライズ!

 この日は江陵エリアに設置された「ハイパフォーマンス・サポートセンター(HPSC)」の見学からスタート。日本代表選手団の活躍を支えるHPSCでは、メディカル・ケアを実施するスペースやリカバリープールなどの設置、コンディショニングミールの提供などが行われています。映像・分析のスペースでは、カーリングの映像分析の真っ最中。担当者から、カーリングでは氷だけでなく、石(ストーン)の状態も分析し見極める必要があると聞いた団員たちは、興味津々な様子でした。また、さまざまなマシーンや用具がずらりと並んだトレーニングルームでは、その充実っぷりに「すごい!」と驚きの声が。見学を終えて、福島県の中学3年生・秋山めぐさん(スケート・スピードスケート)は、「選手が(心身の)メンテナンスをする上で、自分だけではできないことも、施設や他の人の力を借りることによって、オリンピックに挑める。全ての協力があってからこそできるのだと思いました」と、選手を支える人達の果たす大きな役割を感じたようでした。

 午後は、平昌にあるJOCジャパンハウスを訪問。報道陣の取材を受けていると、サプライズゲストとしてスキー・ジャンプの3選手が登場。開会式で旗手を務めた葛西紀明選手、男子ノーマルヒル7位入賞の小林陵侑選手、女子の伊藤有希選手が姿を見せると、団員たちは大喜び! 握手をしたり、葛西選手らから「頑張ってね」と声を掛けられた団員たちは満面の笑みを浮かべていました。
 さらに竹田恆和JOC会長からは、「今回の視察体験を今後の競技活動に大いに役立てていただきたいです。将来に向けて希望を持って頑張ってください」との激励の言葉を受けました。

 その後、平昌オリンピックプラザを訪問し、記念撮影をしたりお土産を買うなどして思い思いの時間を過ごしました。


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バッハ会長(右)と握手を交わす谷地くん(写真:アフロスポーツ)
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ピンバッチ交換を楽しむ団員

■2月12日 バッハIOC会長と対面

 13日に帰途につく一行にとって、平昌オリンピック視察はこの日が最終日です。午前はフィギュアスケート団体戦を応援に行くスケジュールとなっていたため、清水団長と高校2年生の谷地宙くん(岩手県/スキー・ジャンプ、ノルディック複合)が視察団を代表して平昌JOCジャパンハウスを再訪し、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長との対面を果たしました。

 緊張の面持ちながら「こんな事はめったにない機会ですから」と、バッハ会長の到着を待った谷地くん。実際に顔を合わせると、まずはIOCによる震災後のサポートに対して感謝の言葉を伝え、さらに「オリンピックに出場する選手ひとりひとりはとても輝いて見えます。僕も近い将来にオリンピックの舞台に立ち、多くの人に感動や笑顔を届けることができるようになりたいです」と、バッハ会長の目を見て力強く目標を語りました。英語でのあいさつ文をよどみなく話すなど、大役を終えた谷地くんは「堂々と話せたと思います」とホッとした様子を見せました。

 面談終了後フィギュアスケート会場へ移動し、他の団員と共にアイスダンスフリーの演技を観戦しました。その後、江陵オリンピックパーク内にある「Tokyo 2020 JAPAN HOUSE」を訪問しました。東京2020大会および東京都の魅力を発信するためにつくられたこの場所には、最新技術や伝統文化をイメージした体験ブースが盛りだくさん。好きな写真をプリントした用紙で「折り鶴」を作成できる日本文化体験スペースでは、説明書きを見ながら無心で折り鶴作成に取り組んでいました。

 パーク内を散策した後は、選手団の栄養サポート拠点として設置する「JOC G-Road Station」を訪問。食事面でのサポートはもちろん、選手たちがリラックスするような空間を整えているこの場所。選手たちも口にするのと同じ温かいお鍋を食べながら、団員たちも楽しく食事し、スタッフの方に栄養面での質問をするなど会話も盛り上がっていました。

 夜はスキー・ジャンプ女子ノーマルヒルの観戦に向かいました。これまで以上に気合いが入った様子の団員たちは、日本選手がスタートすると全員大きな声で選手の名前を叫び、「来い、来い」と大きく手を振って応援。髙梨沙羅選手の銅メダル獲得が決まると全員から歓声が上がり、メダル獲得の場にいられたことを喜んでいました。また、伊藤選手が髙梨選手に駆け寄り一緒に喜ぶ姿にも感動している様子でした。


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江陵の選手村を訪問
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団員たちと記念撮影をする清水宏保団長(前列左から3人目)

■2月13日 江陵の選手村を視察

 いよいよ帰国当日、江陵の選手村を視察しました。日本選手団のスタッフに説明を受けながら、まずは日本選手団の宿泊棟へ。その後は食堂や選手村の各施設を駆け足で見学し、大きなオリンピック・シンボルの前で記念撮影をしました。視察中にはスピードスケート韓国女子代表の李相花選手とも遭遇するというサプライズもありました。名残惜しそうに選手村を後にした団員たち。バスで空港に向かい、岩手・宮城・福島組は金浦空港から、熊本組は仁川空港から日本へ。お互いに再会を誓いつつ、それぞれの新たな思いを抱きながら帰路につきました。

■清水団長の思い「最高の舞台を見てほしいです」

 今回の平昌オリンピック視察について、寒さが心配された開会式は「寒かったですけど大丈夫でした」「(開会式は)すごかったです。次に見られるのは東京かなぁ」と未来にイメージを膨らませ、競技観戦についても「(視察団に)行く前は不安だったのですが、(初日に)ジャンプを観戦して一気にテンションが上がりました」などと刺激を受けていました。

 清水団長は、若手アスリートたちを見守りながら「とにかく最高の舞台を見てほしいです。とにかく見て触れること。高いレベルの国際試合を見ることは、自分の目標設定にもつながります。その時は何も感じなかったとしても、大人になったときに後から響いてくることがあると思います」と、今回の経験が未来の糧となることに期待を寄せました。さらに「スポーツ選手として海外に行くと、外国人を受け入れる文化ができていない土地に行くこともあります。観光ではそういった機会はなかなかないと思います」と話し、言葉や文化が違う場所で、競技以外の体験をすることの大切さについて語りました。

 トップ選手の試合を見て、選手たちを支える人たちに会い、海外の文化に触れた視察団経験。12人のメンバーは、ここで感じたたくさんの思いを持ち帰り、それぞれの場所で目標に向かって歩みます。

■団員・団長のコメント
・谷地宙さん(岩手県/スキー・ジャンプ、コンバインド)


・松本明日香さん(宮城県/アイスホッケー)

・秋山めぐさん(福島県/スケート・スピードスケート)

・清水宏保団長(スケート・スピードスケート)









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