選手強化

スポーツ科学基金(アクエリアス基金)

2008年度 助成スポーツ科学基金 研究報告概要

間接熱量測定法により評価するアスリートのグリコーゲン蓄積

研究者:筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻 教授 徳山薫平
共同研究者:嶋田健士郎 佐藤真樹 宮下愛未 

体内糖貯蔵量つまりグリコーゲン蓄積が持久的運動のラストスパートを支える要因の一つであることは疑いを差し挟む余地がなく、動物実験のみならず、ヒトの骨格筋グリコーゲン貯蔵量を筋生検やMRI(核磁気共鳴画像法)で測定した研究においても確認されている。これらを根拠としてグリコーゲン・ローディングを試合前の調整に取り入れられている競技者は多いが、実際にはグリコーゲン蓄積量を評価する簡便な方法がなく、競技者は自らのグリコーゲン蓄積について客観的に知る機会を持たずに試合前の調整法を試行錯誤せざるを得ない状況にある。本研究は呼気測定という非侵襲的な方法を用いてグリコーゲン蓄積を評価する方法の可能性を検討した。

大学生の中距離ランナーにグリコーゲン枯渇を目的とした高強度持久運動を行わせ、3日間低炭水化物食を摂取させた後に高炭水化物食を3日間摂取するグリコーゲン・ローディングのプロトコールで実験を行ない、実験第1、3、4、6日の午後8時から翌朝の7時20分までヒューマン・カロリメータに滞在して間接熱量測定を行なった。間接熱量測定から推定した炭水化物酸化量を炭水化物摂取量から差し引いて炭水化物貯蔵量、つまりグリコーゲン貯蔵量を算出すると、高炭水化物食を摂取した3日間の夜間にグリコーゲン貯蔵が260g増大したと推定された。昼間にもグリコーゲンが貯蔵されると仮定するとグリコーゲン貯蔵は300-400gとなり、妥当な推定値を得たと言える。またグリコーゲン・ローディング期間の後半には炭水化物の酸化が亢進し始め、高炭水化物摂取による全グリコーゲン・ローディングの効率が低下することが示された。

間接熱量測定を用いたグリコーゲン蓄積量推定法の妥当性を検討するには既に確立されている方法との比較が必要である。またカロリメータでの長時間測定と相関のある簡易測定(例えば早朝空腹時のエネルギー代謝測定など)あるいは呼吸交換比の簡易測定装置の開発などが今後の課題の一つでもある。


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