選手強化

スポーツ科学基金(アクエリアス基金)

2008年度 助成スポーツ科学基金 研究報告概要

水球競技のルール変革による水球選手に求められるスイム能力の検討

研究者:鎌倉女子大学 児童学部教育学科 講師 榎本至
共同研究者:原朗、高木英樹、大本洋嗣、永田敏、洲雅明、小林大祐

2005年7月国際水泳連盟(FINA)は、水球競技における大幅なルール改正を実施した。旧ルールは、競技者同士が水中で互いに組み合って対峙する時間が長く、体格に勝る国々にとって有利なものであったが、新ルールでは、対人プレーだけでなく、スイム能力とそれを利用した戦術が勝敗を左右する可能性がある。他国に比して体格的に劣る日本代表にとって今回のルール改正は好機であり、強化につなげる方策を練る必要がある。そこで本研究では、新ルールにおいてオリンピック出場国に求められるチーム戦術と競技者に求められるスイム能力について、北京五輪参加国である中国、オーストラリア、及び日本が参加した国際大会(2008FINAワールドリーグ・アジア大洋州ラウンド)を対象として、Notational型ゲーム分析と2次元DLT法による移動軌跡分析より検討した。

その結果、チーム戦術については、以下の点が明らかにされた。

  • 攻撃局面におけるシュート成功率の向上は大きな課題であった。特に、ミドルシュート得点力と退水時パワープレーシュート成功率の向上は必須である。
  • 攻撃局面におけるパスカット、パスミス、スティールなどのミスによるターンオーバーが五輪参加国よりも多く、これらの改善が必要である。 また、選手のスイム能力については、以下の点が明らかにされた。
  • 本研究の対象者は、ポジションを問わず、試合出場時間の60%〜70%を0.1〜0.89m/sの泳速で移動しており、試合出場時間の25〜35%を0.9〜1.69m/sの泳速で移動していた。
  • 旧ルールに比較して低速域の移動時間が減少し、中速域の移動時間が増大していた。
  • JPNはAUSに対し、CBとDRは同等のスイム能力を獲得していることが示唆されたが、Cについてはより高速で移動している傾向にあった。
  • スタンディングプレーでは、自分の身体を高く出すためのプレーを、DRはCに比較して有意に長時間プレーしていた。


ページトップへ