選手強化

スポーツ科学基金(アクエリアス基金)

2008年度 助成スポーツ科学基金 研究報告概要

女性新体操選手のトレーニング期分け別スポーツ貧血発現と骨質値の変動

研究者:東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 教授 川野因
共同研究者:石崎朔子(日本女子体育大学 運動科学科)、山田美恵子(日本女子体育大学 運動科学科)、木皿久美子(日本女子体育大学 運動科学科)、小久保友貴(東京農業大学大学院 農学研究科 食品栄養学専攻)、近藤珠里(東京農業大学大学院 農学研究科 食品栄養学専攻)、目加田優子((独)国立健康栄養研究所 健康増進プログラム)、多田由紀(東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科)、日田安寿美(東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科)、森佳子(東京農業大学大学院 農学研究科 食品栄養学専攻)、長谷川祐子(東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科)、児玉俊明(東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科)

大学女子新体操選手23名を対象に4月から1月までの10ヶ月間に計6回の身体計測、食物摂取状況調査、血液検査を実施した(4月期、6月期、7月期、8月期、10月期、1月期)。骨質値測定は6月期と10月期に実施した。血液は12時間以上の空腹条件下に採取し、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)、血清鉄(Fe)、フェリチン(ff)、総鉄結合能(TIBC)、鉄飽和率(Tf%)、ハプトグロビン、総たんぱく質(TP)および血清アルブミン(Alb)濃度、クレアチンキナーゼ(CK)活性を測定した。体内鉄栄養状態として、鉄欠乏性貧血の定義にはff濃度(<12ng/mL)とTf%(<16%)、Hb濃度(<12g/dL)を用い、鉄不足状態はff(<20ng/mL)またはTf%(<16%)を用いた。

対象者の体重、BMIおよび体脂肪率は8月期と10月期が1月期、6月期、7月期に比べて有意に低下したものの、食物摂取状況は時期の違いによる有意な差が見られず、期間を通してほぼ一定であった。本対象者の特徴として、脂質エネルギー比が高く(最も低い6月期で31.5±0.6%)、たんぱく質エネルギー比率は低かった(最も高い1月期で12.1±0.4%)。骨質値は6月期と10月期の間に有意な差は見られなかった。血中CK活性は調査時期の違いによって有意な変動が見られ、特に6月期と1月期が低値を示した。TP濃度およびAlb濃度、TIBC濃度は8月期と10月期が1月期に比べて有意に低値を示した。ハプトグロビン濃度は8月期が6月期に比べて有意に低値を示した。体内鉄栄養状態は8月期に正常者が最も少なくなり、鉄不足状態に陥る割合が最も高かった(52%)。鉄欠乏性貧血発現者率は4月期と1月期が最も多く(26%)、次いで10月期(17%)であり、最も少ない発症率は6月期、7月期、8月期(それぞれ13%)に観察された。

すなわち、大学女性エリート新体操選手の場合、鉄欠乏性貧血は年間トレーニング期分けにみた移行期に最も多く発現し、その発現率は専門的トレーニング量の増加とは必ずしも一致しなかった。


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