選手強化

スポーツ科学基金(アクエリアス基金)

2008年度 助成スポーツ科学基金 研究報告概要

2016年東京オリンピック招致がもたらす日本の国際競技力向上へのレガシーとそのための情報戦略の在り方に関する調査研究

研究者:国立スポーツ科学センター スポーツ情報研究部 研究員 阿部篤志
共同研究者:山本真由美(東京オリンピック・パラリンピック招致委員会)、久木留毅(専修大学)、トビアス・バイネルト、山下修平、和久貴洋(国立スポーツ科学センター)

本研究は、2016年東京オリンピック・パラリンピック招致過程におけるレガシーに着目し、それ自体やそのレガシーとの関わりの中で、我が国の国際競技力向上に影響を及ぼすものは何かを検討した。さらに、その効果を最大化するための情報戦略の在り方を考察した。

オリンピック招致レガシープランを推進する諸外国の事例を分析した結果、特に「見えないレガシー」の戦略的活用の実態が明らかにされた。招致活動が初めて可能とした多様なステークホルダー間の関係構築が、これまでスポーツ界のみでは到達不可能であった部門に影響力を与えられるようになり、それに伴い国内のスポーツの政策的位置づけも変化している点が特徴的と言える。

調査の結果、国際競技力向上に関わるオリンピック招致レガシーの中核となる価値には、「サステナブル(持続可能性)」「グローバル(国際性)」「プロフェッショナル(卓越性)」「インボルブメント(新規関係開拓性)」「イニシアティブ(求心性)」があり、各国のレガシープランでは、その価値観を社会的に実現するためのアプローチが戦略的かつ多角的に取り組まれている。

招致活動がその国にもたらす新たな文脈のレガシーは予定調和的に創出されるものではない。そのなかで国際競技力向上の観点から最大の成果を生むためには、何かを為す「時機」をいかに捉えて行動を起こすかということが極めて重要になる。ここに情報戦略が果たす大きな役割がある。

オリンピック招致プロセスにおいて、情報戦略によって国際競技力向上に対して最大の効果を生み出すためには、招致レガシーの中核的価値に関わる各種アプローチをダイナミックにプラニングして最大のシナジーを生み出す情報戦略が不可欠であり、招致プロセスにおける課題発見力や課題分析力、見極め力といった能力が、情報戦略に関わる人材には求められる。


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