選手強化

スポーツ科学基金(アクエリアス基金)

2008年度 助成スポーツ科学基金 研究報告概要

ナショナルトレーニングセンターでの長期合宿に伴うアスリートのコンディショニングプログラムの構築〜内分泌・免疫応答の視点から〜

研究者:東京大学大学院 医学系研究科 疾患生命工学センター 講師 秋本崇之
共同研究者:楢崎教子(ナショナルトレーニングセンター)、今有礼(国立スポーツ科学センター)、清水和弘(早稲田大学スポーツ科学学術院)

本研究では、ナショナルトレーニングセンター(NTC)におけるコンディショニングプログラムの構築に資する選手のコンディション変化に関する基礎的知見を得るため、柔道選手を対象に試合前の減量時のコンディションについて生化学的マーカーを用いて評価することを目的とした。

大学男子柔道選手7名を対象とし、試合の3週間前(通常期)、3日前(減量期)、試合1日後(試合後)、試合3日後(回復期)に身体組成、心理検査(STAI:state trait anxiety inventory)を各期に調査した。また、同時に採血を行い、血中テストステロンおよびコルチゾールの測定を行った。

本研究の結果、急速減量時にストレスホルモンであり、免疫抑制作用を有するコルチゾールやテストステロンの内分泌系の応答が認められた。さらに、選手の精神状態を評価する心理テストにおいても、試合前のアスリートは不安状態が常に高い状態を示していた。このことから、試合前の減量による生理的ストレスや食事制限や試合前の心理的ストレスの過多が、免疫機能・内分泌機能の変化を導く誘因として考えられる。長期合宿はトレーニング効果を獲得すると同時に、コンディションを崩す要因にもなることから、合宿時のコンディション評価を行うことは特に重要と考えられる。

今後、NTCを長期合宿の場として利用する競技団体は増え、その活用の幅も大きくなると予想される。このためにも、あらゆる場面を想定したアスリートのコンディショニングプログラムを構築し、より効果的にトレーニングを遂行し、目標とするパフォーマンスを獲得できるためのサポート体制が必要であると考えられる。


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