選手強化

スポーツ科学基金(アクエリアス基金)

2008年度 助成スポーツ科学基金 研究報告概要

食後からの経過時間がアスリートにおける中等度有酸素運動時の糖質・脂質燃焼比率に及ぼす影響

研究者:同志社大学 スポーツ健康科学部 石井好二郎
共同研究者:佐々木将太、海老根直之、青井渉、東あかね

【目的】一般的に、有酸素運動中のエネルギー代謝は、運動開始後約20分に脂質燃焼が糖質燃焼を上回るとされている。しかし、食後の運動では、インスリンの作用により脂質燃焼が抑制され、運動中のエネルギー代謝に負の影響を与える。食後から運動開始までの経過時間が、運動中の糖質および脂質燃焼に与える影響を明らかにすることは、インスリン感受性の高いアスリートにおいて、パフォーマンスの維持および向上に有益である。本研究の目的は、対象にアスリートを用い、朝食後から運動開始までの異なる経過時間が、運動中のエネルギー代謝指標に与える影響を検討することとした。

【方法】被験者は、大学陸上競技部に所属する男子7名であった。運動開始までの試験条件は、朝食無し (水500 ml摂取), 朝食後1,2,3および4時間の計5条件とした。すべての試験条件において、被験者には、本試験前日20時までに夕食を終えさせた。朝食摂取時刻は統一し、総エネルギー量約1000kcal(たんぱく質17%、脂質21%、糖質62%)の食事を摂取させた後、自転車エルゴメータを用いて、LT強度の運動を60分間実施した。検討項目は、血液指標 [血糖値、インスリンおよび遊離脂肪酸 (FFA)]および基質燃焼指標[呼吸商 (RQ)、エネルギー消費量、糖質および脂質燃焼割合ならびに燃焼量]であった。採血は、食前、運動開始前、開始後30分および終了時に、呼気ガスは、運動開始前および運動中15分毎にダグラスバックに採取し分析した。

【結果および考察】血液性状および呼気ガス分析の結果から、有酸素運動開始後約20分に脂質燃焼が糖質燃焼を上回るという知見は得られなかった。しかし、朝食無し条件において、各朝食摂取条件よりも脂質燃焼が高いことが示された。また、2時間条件において、FFAが、他の朝食摂取条件と差がなかったにも関わらず、呼気ガス分析の結果は、朝食摂取条件内でもっとも高い傾向を示した。これらから、インスリン感受性の高いアスリートにおいて、有酸素性運動の上限とされるLT強度での運動時には、糖質燃焼を脂質燃焼が上回る可能性は低く、空腹状態での運動が、脂質燃焼を高める可能性が示唆された。だが、食事を摂取した場合、2時間程度経過してからのLT強度運動が、脂質燃焼を高める可能性が示唆された。


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