選手強化

スポーツ科学基金(アクエリアス基金)

2008年度 助成スポーツ科学基金 研究報告概要

脱水によるストレスの増加が血管内皮機能に及ぼす影響と骨格筋血流調節

研究者:奈良女子大学 生活環境部 生活健康学講座 教授 鷹股亮
共同研究者:森本恵子

暑熱環境下での運動時の水分補給が、運動による生体ストレス及び血管内皮機能に及ぼす影響を検討した。 被験者(成年男性10名)は、人工気候室(室温34.79 ± 0.10 ℃、湿度41.45 ±0.26 %)で、安静を60分保った後自転車エルゴメーターで20分間の最大心拍数の65%の強度の運動を10分の休憩を挟んで4セット行った。運動前、運動終了後、回復50分に、体温、心拍数、血圧、主観的疲労感、体重測定、血管内皮機能測定、採血を行った。血管内皮機能測定として、反応性充血時の血流速度、血管径を測定し、反応性充血時の血流量、血管径の変化を求めた。実験は、運動時に体重減少分の糖電解質溶液補給ありの飲水条件、水分補給なしの脱水条件の2条件で比較した。

運動中、運動後の体温、心拍数、血圧の上昇が脱水条件に比べ、飲水条件で有意に低くなった。血漿中のコルチゾール濃度は脱水条件に比べ、飲水条件で有意に低くなった。また、カテコラミン、ACTH濃度も脱水条件に比べ、飲水条件で低くなる傾向が見られた。このことから、水分補給が生体に及ぼすストレスを軽減した結果、HPA系、交感神経の活動が抑制されたと考えられる。

反応性充血時の血流量は運動直後において、脱水条件に比べ、飲水条件で有意に増加し、血管径は回復50分において、脱水条件に比べ、飲水条件で有意に反応性充血時の血管拡張が大きくなった。血管収縮因子であるアンギオテンシンⅡ濃度は運動後に、脱水条件に比べ、飲水条件で有意に低下した。また、酸化ストレスの指標となる血漿カルボニル化蛋白質濃度は、回復50分において脱水条件に比べ飲水条件で有意に低下した。以上の結果より、水分補給は、血管収縮およびNO産生抑制因子であるアンギオテンシンⅡの生成抑制、血管内皮機能に損傷を与える可能性のある酸化ストレスの抑制、運動によるストレスの抑制を促し、血管内皮機能を亢進する可能性が考えられた。


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