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TORINO2006
スペシャルコラム
フィギュアスケート、74年目の金メダル
後藤忠弘さん

荒川静香選手が日本代表選手団として初の金メダルに輝いた。これは日本のオリンピックのフィギュアスケート陣にとっても、1932年のレークプラシッド冬季オリンピックに初参加して以来、74年目ではじめて勝ち取った金メダル。そして荒川選手にとっては、16歳で初出場した長野冬季オリンピック(13位)以来、8年がかりで取り組んできた努力の、見事な結晶だった。


荒川静香選手 写真提供:フォート・キシモト

オリンピックの大舞台で選手にかかる重圧は、観戦者の想像を超えたものがある。大会前、女子シングルで"絶対"に近いほど高い評価を受けていた金メダル候補で、ショートプログラム1位のサーシャ・コーエン選手(米国)と、2位のイリーナ・スルツカヤ選手(ロシア)さえもフリーでは躓いてしまい、そのチャンスを手放した。コーエン選手は滑り出しの2度目のコンビネーションジャンプで失敗し、スルツカヤ選手も後半の3回転ループで尻もちをついてしまった。


荒川静香選手 写真提供:アフロスポーツ

コーエン選手の次に登場した荒川選手は、要所にスピードと力強さのある滑りを見せ、最後まで落ち着いてプログラムを展開した。序盤2度目のコンビネーションジャンプで、2つ目の3回転ジャンプを2回転に、中盤の3回転を2回転に変えるとっさのプログラム変更はあったが、演技自体には瑕疵も見当たらず、スピンのフィナーレとともに観客が一斉に立ち上がり、スタンディング・オベーションを贈った。


村主章枝選手 写真提供:フォート・キシモト

続いて登場した村主章枝選手も、テレビの解説者が「スルツカヤ選手よりも良かった」と評したほどで、スローパートに始まり、次第にスピードを増していくプログラムは、流れるように優美で、過失もなかったが、欲を言うと、いまひとつのメリハリが欲しい気がした。

安藤美姫選手は、最初のコンビネーションジャンプで、はじめの3回転を2回転にし、続いて跳んだ4回転サルコウで尻もちをつき、これですべてが決まってしまった。滑走が及び腰となりタイミングを欠いたせいか、ジャンプを次々に失敗。後半のスピンにもミスを出すなど、気持ちの切り替えができないまま15位となった。直前の練習ではほとんど決まっていなかった4回転ジャンプへのトライ。自分の気持ちにふんぎりをつけるため、覚悟のジャンプであったのだろうが・・・・・・。


安藤美姫選手 写真提供:アフロスポーツ

このトリノ冬季オリンピックで日本は多くの収穫を得た。荒川選手の優勝は、今大会のフィギュアスケートの城田憲子監督のもとで始まった。ジュニアからの海外遠征、野辺山での新人合宿を軸にした年間強化策が間違いではなかったことを示した(荒川選手は、この合宿の1期生)。中野友加里選手、浅田舞選手、浅田真央選手、太田由希奈選手など後続選手に与えた刺激も大きい。
ありがとう荒川さん。

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