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2021.10.25 イベント

東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催

東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
「オリンピックコンサート2021」を開催(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
壮大なシンフォニーオーケストラとともに東京2020大会の興奮と感動がよみがえる名場面の数々がスクリーンに映し出された(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は10月12日、東京芸術劇場コンサートホールで「オリンピックコンサート2021」を開催しました。

 オリンピックコンサートは全世界で行われているオリンピックデーイベント(オリンピックデーは6月23日)の一環として日本独自に開催し、今年で24周年目を迎えました。感動的なオリンピック映像と壮大なフルオーケストラの競演は、毎年多くの方にご好評いただいています。

 新型コロナウイルス感染症対策のため2年ぶりの開催となった今年は「勇気をありがとう、感動をありがとう」をテーマに、指揮は粟辻聡さん、演奏はTHE ORCHESTRA JAPANが担当。オリンピアンで俳優の藤本隆宏さん(水泳/競泳、1988年ソウルオリンピック・1992年バルセロナオリンピック出場)が10年連続でナビゲーターを務めました。

 コンサートは東京2020大会の表彰式のために作曲された佐藤直紀作曲『TOKYO2020 VICTORY CEREMONY』で開幕。東京2020大会ではオリンピック・パラリンピック合わせて878回の表彰式が行われましたが、アスリートを称えるメロディーに乗せて、東京2020大会のオリンピックメダリスト21名、パラリンピックメダリスト8名が入場し、盛大な拍手で迎えられました。

 57年ぶりに日本にやってきたオリンピック、パラリンピック。2曲目はグスタフ・ホルスト作曲の組曲『惑星』から、特に人気の高い「木星」の演奏とともに、東京2020大会で活躍した世界のトップアスリートによるいくつもの名場面をスクリーンで紹介しました。

 3、4曲目は、“勇気の灯火、その軌跡”をテーマに、困難な状況を乗り越え前に進み続ける人々の姿を、東日本大震災が起きた2011年から東京2020大会までの軌跡でたどっていきます。中島みゆき作曲の『ヘッドライト・テールライト』<ヴォカリーズ>をNHK東京児童合唱団の皆さんによる合唱で、そしてピエトロ・マスカーニ作曲の歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』から間奏曲と、2曲続けて演奏しました。

 5曲目は、リヒャルト・ワーグナー作曲の楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』から第1幕への前奏曲が演奏されました。映像テーマは“勇気を、そして感動をありがとう~Glory編”。東京2020オリンピックで史上最多58個のメダルを獲得し、世界を驚かせた日本代表選手団の圧巻のパフォーマンス、そして栄光の名場面の感動とともに、第1部が終了しました。

 第2部のオープニングとなる6曲目は、東京2020オリンピック競技大会開会式で選手の入場行進の際に使用されたゲーム音楽19曲の中から、勇者をテーマにした曲をピックアップ。すぎやまこういち作曲ドラゴンクエスト『序曲章:ロトのテーマ』、下村陽子作曲キングダムハーツ『Hero's Fanfare』、甲田雅人作曲モンスターハンター『英雄の証』の3曲を、このコンサートのための組曲『Heroes』として杉浦邦弘氏がアレンジしたものを演奏しました。“勇気を、そして感動をありがとう~Memories編”と題した映像テーマとともに、東京2020大会を目指して歩み続けた、アスリートたちの記憶に残るシーンの数々をふりかえりました。

 7、8曲目は、久石譲作曲『Stand Alone for Orchestra~NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」オリジナルサウンドトラックから』、ロルフ・ラヴランド作曲『You Raise Me Up』。この2つの曲に合わせて、東京2020大会に向けてあきらめずに挑戦し続けたアスリートたちの姿が映像で紹介されました。

東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
出席したメダリストから代表して10名が登壇し、東京2020大会を振り返っての心境やこれからの目標を語った(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
向田真優選手(上)、梶原悠未選手(写真:アフロスポーツ)

 続いて、「東京2020大会メダリストトーク ~応援をありがとう~」では、コンサートに出席したオリンピック・パラリンピックのメダリスト29名の中から10名が代表して登壇。2カ月経った大会をふりかえって現在の心境と今後の目標を語りました。

■向田真優選手(レスリング/フリースタイル女子53kg級 金メダル)
「小さい頃からの夢であった東京オリンピックで金メダルをとるという夢を叶えることができて、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです。たくさんの方々の応援が力になりました。ありがとうございました。小学校卒業後にJOCエリートアカデミーに入学し、親元を離れて最初はすごく寂しかったんですが、東京オリンピックで金メダルをとるという夢を強く持って、家族やたくさんの人が応援してくださったので、期待に応えられるようにいっぱい頑張って、その結果として今回金メダルをとれたので良かったです。3年後のパリオリンピックでも金メダルを獲得できるようにまた頑張っていきたいので、引き続き応援よろしくお願い致します」

■梶原悠未選手(自転車/トラック 女子オムニアム 銀メダル)
「小学校4年生の時に、(2008年)北京オリンピックで金メダルを獲得した北島康介選手に憧れてオリンピックに夢を抱きました。東京オリンピックで夢の舞台に立つことができて、憧れであったメダリストになることができて本当に幸せな時間を過ごせていたなと感じています。伊豆(の競技会場)は唯一の有観客で、走っている時もたくさんの声援が聞こえて本当に背中を押してくれました。応援ありがとうございました。明日フランスに飛んで世界選手権に(10月20日から)出場します」

東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
見延和靖選手(上)、阿部一二三選手(写真:アフロスポーツ)
東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
野中生萌選手(上)、佐藤友祈選手(写真:アフロスポーツ)

■見延和靖選手(フェンシング男子エペ団体 金メダル)
「大会を開催してくれたことに感謝しています。オリンピックの大舞台を経験すればするほど、私たちのスポーツは社会の人たちの努力や思いの上に成り立つものだということを強く感じました。だからこそ私たちアスリートは感謝する気持ちを忘れるべきではない、と改めて感じさせていただけるような大会でした。日本フェンシング界にとって金メダルは史上初の快挙であり、この大会で歴史の1ページ目は開かれたと思うので、2ページ目、3ページ目としっかり歴史を伝えていけるように3年後のパリオリンピックも目指します。後輩たちの指導や、スポーツを通じて日本を盛り上げていきたいと思います」

■阿部一二三選手(柔道男子66kg級 金メダル)
「妹(阿部詩選手)と兄妹で金メダルをとれたことが一番良かったなと思います。日本の柔道選手ではオリンピックで4連覇した選手がいないので、僕の最大の夢はオリンピックで4連覇すること。まずは3年後のパリオリンピックで2連覇することを目指して頑張っていきたいと思っています。東京オリンピックではたくさんの応援ありがとうございました。僕たちの柔道は無観客で開催されましたが、本当にたくさんの人の応援があって、たくさん力をもらって頑張ることができました。これからも応援よろしくお願い致します」

野中生萌選手(スポーツクライミング 女子ボルダリング・リード・スピード複合 銀メダル)
「この素晴らしい演奏とともに映像を見て、この夏を振り返えってみて、いまだに心臓がバクバクしているというか、今もまさに緊張しているという感じです。今回の東京2020大会で初めてオリンピック競技に(スポーツ)クライミングが選ばれたことと、日本開催と、いろいろなものが重なって、やはり(野口啓代選手と)二人でメダルをとりたいねと切磋琢磨してきたので、最後に二人で表彰台に立つことができて本当に嬉しく思っています。パリオリンピックでは、出るからには金メダルを目指して頑張っていきたいと思います」

■佐藤友祈選手(パラリンピック 陸上競技 男子400m T52及び1500m T52 金メダル)
「ロンドンパラリンピックを初めて見て、リオデジャネイロパラリンピックで金メダルをとると決めて競技を始めましたが、銀メダルに終わってしまいました。そこから東京パラリンピックでは2種目で金メダルを獲得して世界記録を更新すると決めてやってきたので、パラリンピック2冠というタイトルに関しては、自分にとって価値のあるものになっていると思います。藤枝市の合唱団に入っていて、幼少期はミュージカルを経験させていただいたことがあって、ミュージカルの道を志したのですが、病気のため途中で目指すのを諦めてしまった中、パラリンピックという競技に出会って、人間の可能性は無限なんだということを知ることができて非常に感謝しています。今大会は世界記録を2種目で更新して金メダル獲得ということを宣言してチャレンジしてきましたが、パラリンピックレコードの更新のみに止まってしまったので、次はパリ大会で出場する種目全てで世界記録を更新して金メダルを達成します」

東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
瀬戸勇次郎選手(上)、鈴木孝幸選手(写真:アフロスポーツ)
東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
山口尚秀選手(上)、池崎大輔選手(写真:アフロスポーツ)

■瀬戸勇次郎選手(パラリンピック 柔道 男子66Kg級 銅メダル)
「メダルの重みというのもそうですし、自分が戦ってなんとか獲得できた銅メダルはものすごく自信になりましたし、もっと良い色のメダルが欲しいという気持ちがどんどん湧いてきているところです。新型コロナの影響でまだ本格的なトレーニングは再開できていない状況ですが、来月の全日本の試合に向けて今回の課題を一から改善する練習をしています。1年延期という中で、また練習ができない日が続いて、なかなかメンタルの上で難しい時期もありましたが、皆さんの応援が自分を支えてくれて本番でもメダルをとることができました。皆さんの応援、本当に感謝しています。ありがとうございました」

■鈴木孝幸選手(パラリンピック 水泳 男子100m自由形 S4 金メダル)
「今回の東京が5回目のパラリンピックになりましたが、前回のリオ大会ではメインの種目2種目とも4位と、初めてメダルを逃してしまいました。今回もう一度表彰台に戻るというのを目標に頑張ってきました。今回出場した5種目全てで表彰台に登ることができたことと、100m自由形で金メダルをとれたことは嬉しく思います。年齢も重ねましたので、競技だけではなく違った側面からもパラスポーツや障がい者スポーツの発展に貢献していきたいなという思いが強くなり、今回、国際パラリンピック委員会のアスリート委員に当選させていただきました。これからパリ大会に向けて、特にアジア圏のパラスポーツの発展のためにも活動していきたいなと思っています」

■山口尚秀選手(パラリンピック 水泳 男子100m平泳ぎ SB14 金メダル)
「東京パラリンピックに平泳ぎで出場して金メダルを獲得することができました。自身が保持している世界記録を2つ更新できた驚きを今でも忘れてはいませんし、これからの大会において自分がどんなパフォーマスを残していくかということを考えています。今回の東京パラリンピックでは1分3秒台という記録を出しましたが、海外の選手のレベルがすごく上がってきているので、今後の大会と3年後に開催されるパリパラリンピックで金メダルを獲得するのであれば、遅くても1分2秒台を出す必要性があるんじゃないかなと思います。無観客という大会でしたが、こうして応援していただいたことに対して感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました」

■池崎大輔選手(パラリンピック 車いすラグビー 混合 銅メダル)
「今大会は無観客でしたが、逆にたくさんの人にテレビなどで見ていただいて、パラスポーツというものを知っていただけたのかなと思っています。会う人、会う人、いろいろなところから連絡があり、自分たちの姿を見て勇気づけられたのかな、希望、元気というものを届けることができたのかなと感じました。スポーツは結果が全てだと思っています。でも今回の東京パラリンピックは、スポーツは勝ち負けだけじゃない大切なものがそこにあって、それがすごく見えた、いい大会だったなと思います。アスリートとしては常に一番をとりたいと誰もが思っていることなので、自分は銅までの力しかないのかなと思いながらも、次は一番輝くメダルをとりたいなと思っています」

 また、北京冬季オリンピック・パラリンピックまであと4カ月余りとなり、北京2022大会を目指すアスリートに向けて、オリンピアンを代表して阿部選手、向田選手、パラリンピアンを代表して鈴木選手がエールを送りました。

■阿部選手
「今年は東京オリンピックがあって、日本の皆さんの応援ですごく盛り上がったと思います。そして来年には北京冬季オリンピックがあるので、また日本中で盛り上げて、日本を熱くさせることができればといいなと思っています。心の底から応援したいと思います」

■向田選手
「北京冬季オリンピックが開催されるということで私も全力で応援しています。これからも一緒に日本を盛り上げていけたらいいなと思っています」

■鈴木選手
「今回、多くの方に東京パラリンピックを見ていただいて、応援もしていただいてすごく反響があったのを感じました。 夏に巻き起こった東京オリンピック・パラリンピックの熱気、応援の気持ちをそのまま冬季大会に持っていって、オリンピックだけではなくパラリンピックも盛り上がって、全力で応援していただきたいと思います。僕も応援しています」

東京2020大会の感動と興奮を北京2022大会へ「オリンピックコンサート2021」を開催
コンサートが終了すると、メダリストたちに盛大な拍手が送られた(写真:アフロスポーツ)

 トークコーナーが終わり、コンサートも残すところ2曲となりました。9曲目は“冬の夢、輝きの軌跡”がテーマ。来年2022年は札幌冬季オリンピックから50周年となる節目の年。セルゲイ・ラフマニノフ作曲『交響曲第2番ホ短調作品27から第3楽章』の美しいメロディーに乗せて、1972年札幌大会から前回の2018年平昌大会までの軌跡、懐かしい名場面の数々が展開していきました。

 最後の10曲目は、オリンピックの精神と理念を高らかに歌ったスピロ・サマラ作曲『オリンピック讃歌』。東京2020オリンピックの開会式、閉会式でも歌われたこの曲を、二期会ソリストの皆さん、NHK東京児童合唱団の皆さん、全ての出演者で合唱し、華やかにフィナーレを迎えました。

 鳴り止まない拍手の中、アンコールで演奏されたのは平井夏美作曲『瑠璃色の地球』。映像では、コロナ禍の困難な時期の中、選手たちを励まし応援し続けたコーチや仲間たちとの喜びのシーンが展開されました。そして、最後に会場からは今回参加したメダリストに盛大な拍手が送られ、2時間半に渡るコンサートは盛況のうちに幕を閉じました。

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