MENU ─ ニュース
2022.09.08 お知らせ

北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック 冬季競技大会に向けて

 札幌市とJOCは、IOCが定めた新しいプロセスのもと、2020年1月(令和2年1月29日)に開催したJOC第8回理事会において札幌市を冬季大会の候補都市とすることを決定してから招致の活動を進めてきました。この新しいプロセスは、従来と比べて、より簡潔でコストがかからず、また、候補都市にとってより有意義な大会計画作りに資するものとなっています。

 国内においては、より多くの方々にこの招致活動についてご理解いただき、応援していただくため、2022年5月に札幌市とJOCで北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピックプロモーション委員会を設置し、議論を重ねています。7月に開催した第3回会議においては、様々な困難を乗り越えて開催された東京2020大会のレガシーを引き継ぐとともに、東京2020大会の教訓を今後の計画に生かすため、東京2020大会組織委員会の経験についてヒアリングを行い、議論を行いました。

 こうした中で東京2020大会組織委員会の元理事が受託収賄容疑で逮捕される事案が発覚しました。この事案は、東京2020大会組織委員会に関する事案であり、現在の招致活動とは直接の関係はありませんが、招致活動に取り組む我々は、本件によりオリンピック・パラリンピック全体のイメージが大きく損なわれていることを十分に認識する必要があります。

 IOCは、2021年3月に公表したオリンピックアジェンダ2020+5においても、更にオリンピック・パラリンピック競技大会の在り方を大きく見直し、持続可能性への配慮、既存施設の活用の促進、簡素な会場計画やサービス規模の適正化を通じたコスト削減等、効率的な大会運営を提言しました。こうした考え方のもと、国内においても開催地となる札幌市のまちづくりの方向性を踏まえた計画の策定を進めています。

 しかし、こうした取り組みも、大会の準備を担う組織の運営面における透明性・公正性なくしては理解を得られません。本年8月25日に開催したJOCの第3回理事会においても、招致活動継続の意義は疑うところはないものの、理解を得るためには運営面における改革に取り組み、透明性・公正性をしっかりと示していくことが必要であることが指摘をされました。

 今回の事案はまだ捜査中であるものの、招致の主体となるJOCと札幌市としては、事実関係の認定の如何に関わらず、この機会に組織運営の在り方をしっかりと議論する必要があると考えております。オリンピック・パラリンピック競技大会はその性質上、多くの関係者に支えられて成り立っており、対外的な説明責任を果たすための体制を整えることが不可欠となります。そうした観点から、IOCの「Basic Universal Principles of Good Governance (良好なガバナンスの基本的・普遍的原則)」(以下「IOCガバナンス原則」という。)及びスポーツ庁の「スポーツ団体ガバナンスコード」が掲げる指針に照らして、少なくとも以下の事項について検討してまいります。

(1)組織委員会理事会について
理事会の役割についてはその重要性に鑑み、IOCガバナンス原則及びスポーツ団体ガバナンスコードにおいて多くの記述があります。札幌での大会開催が決定し、組織委員会を立ち上げる際には、改めてこれらの指針に立ち返り、体制を整備していくことが必要と考えています。具体的には、適正な理事会の規模の確保、理事会の役割の明確化、役員候補者選定委員会による役員の選考等を検討してまいります。

(2)利益相反取引の管理について
大会は多くのステークホルダーの協力によってはじめて実施が可能であり、利益相反取引を管理することが、組織運営の公正性を担保する上で不可欠であることから、利益相反に関する考え方の明確化(ポリシーの策定等)及び利益相反取引の管理の体制の整備(委員会の設置等)を検討してまいります。
  
(3)マーケティング事業の在り方について
大会は、多くの企業の皆様からの協賛によって初めて成り立ちうるものであり、北海道・札幌2030大会の計画も、大会運営に係る資金はすべて民間資金を充てることを想定しています。大会までの限られた時間でスポンサーを集中的、そして確実に募集・決定しなければならない中、どのような体制が適切であるのか、広告代理店の役割をどう考えるのかや、マーケティング事業における組織委員会としての意思決定プロセスの在り方等についても検討してまいります。

 今後、北海道・札幌2030招致が成功した場合には、事案の推移も踏まえつつ、より具体的な対応案を検討する必要があると考えています。これについてはより多くのステークホルダーを巻き込んだ議論が必要となることから、関係機関と相談しながら検討体制を整備してまいります。
 開催決定前の招致段階においてできることは限られていますが、引き続き大会開催の意義をご理解いただけるよう、市民・道民・国民向けの丁寧な説明を実施することはこれまで以上に重要であり、しっかりと取り組んでまいります。

2022年9月8日


公益財団法人日本オリンピック委員会会長    札幌市長 
               山下泰裕    秋元克広

ページをシェア

CATEGORIES & TAGS


お知らせ の最新ニュース

    最新ニュース一覧