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2018.07.18 イベント

小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催

小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催
「第三回 オリンピック教室校外編」を開催(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は7月3日、さいたま市民会館うらわで「オリンピック教室校外編『頂点への道のり』」を、JOCオフィシャルパートナーである毎日新聞社との共催で開催しました。

 本イベントは2部形式で行われ、第1部は「オリンピック・ムーブメントとオリンピック教室の活動紹介」をテーマに荻原次晴さん(スキー・ノルディック複合)、廣瀬栄理子さん(バドミントン)、宮下純一さん(水泳・競泳)のオリンピアン3名が、第2部は小平奈緒選手(スケート・スピードスケート)と結城匡啓コーチ(信州大学)が、それぞれトークイベントを行いました。

小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催
第1部で進行を務めた荻原次晴さん(写真:フォート・キシモト)
小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催
「オリンピックバリュー」について語った宮下純一さん(左)、廣瀬栄理子さん(写真:フォート・キシモト)

■「オリンピックバリュー(価値)」の共有

 第1部では荻原さんの進行のもと、オリンピック教室の目的、意義や「オリンピックバリュー(価値)」などについて語りました。「オリンピック教室」は中学2年生を対象に、オリンピアンが自身のさまざまな経験を通して感じた「オリンピズム」や「オリンピックバリュー」などを生徒たちに伝え、これらの価値は多くの人々が共有し、日常生活にも活かせるものであることを、授業を通して学習してもらうことを目的としています。

 荻原さん、廣瀬さん、宮下さんは先生としてどのように生徒たちに伝えるか、自ら考えて実践した工夫や授業内容などを紹介。特に「エクセレンス(卓越)」「フレンドシップ(友情)」「リスペクト(敬意/尊重)」の3つのオリンピックバリューについて、宮下さんは「エクセレンスに関して、僕は『自分を乗り越えること』と教えています」と話し、廣瀬さんは「「フレンドシップ(友情)」に関して、「競い合う選手たちはライバルだけど、コートを離れれば助け合う仲間として心がつながっています。それは海外の選手でも同じ」と生徒たちに教えていることを話しました。そして、荻原さんが「リスペクト(敬意/尊重)」に関して、「僕がオリンピックに出場できたのは兄と、双子で産んでくれた母のおかげ。オリンピックを経験して初めて尊敬、敬意、感謝というものを勉強させていただきました」と話し、続けて「僕たちがしてきたそのような経験を子どもたちに伝えることで、生きていく上でのヒントになればいいなと思います」と述べました。

小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催
小平奈緒選手(左)、結城匡啓コーチが平昌オリンピック金メダル獲得までの道のりを語った(写真:フォート・キシモト)
小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催
「長野オリンピックを見て将来のビジョンが固まった」と小平選手(写真:フォート・キシモト)

■平昌オリンピック金メダルの舞台裏

 第2部では、平昌オリンピックのスピードスケート女子500mで金メダル、同1000mで銀メダルを獲得した小平選手と、大学時代から指導してきた結城コーチが「頂点への道のり」をテーマに、平昌オリンピックまでの過程やその舞台裏を明かしました。

「私がスケートを初めて滑ったのは2歳半ぐらいのとき。小学生のころは父と試行錯誤しながら練習していました」と小平選手。「私にとっては長野オリンピックが全て。これを見て、未来のビジョンが固まりました」と、清水宏保さんがスピードスケート男子500mで金メダルを獲得したことで「日本人でもできるんだ」と思ったことと、その清水さんを指導した結城コーチが信州大学に在籍していることから、同大学への進学を中学時代から志していたと振り返りました。
 一方、結城コーチは「入学当初の小平はやる気の塊でしたが、まだまだ荒削りで下手でした。なので『このままでは世界には行けない。修正しないとトップにはなれない』と伝え、小平も『そのために来ました。たくさん指摘してほしい』と答えたのを覚えています」と、小平選手の第一印象や当時のやり取りなどを明かしました。

 小平選手と結城コーチの師弟関係は今年で14年目。小平選手は「そのうちの10年は泣いていたと思います」と述べ、「結果は出ていても、もがいていた時期が長かった。ばっちり噛み合っていなかったんだと思います」と、ここまでの道のりを思い返しました。ソチオリンピック後に2年間、練習拠点をオランダに移したことが転機となり、1年目にはワールドカップ(W杯)の500mで初優勝を飾るなど好結果を出したものの、2年目のシーズンではW杯で1度も表彰台に上がることができないほど、成績が落ち込みました。しかし、「オランダから帰国した年の3月から、W杯初戦が行われる11月までの間に何が起きたかというところが、実は私たちが一番工夫したところなんです」と結城コーチは語り、オランダで学んだ技術と日本式の技術、また同じくスケート大国であるアメリカの技術も全て融合したフォーム改造に着手し“小平流”を作り上げたと、小平選手の強さの秘密を解説しました。

小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催
結城コーチは小平選手のフォーム改造など強さの秘密を解説(写真:フォート・キシモト)
小平奈緒選手、荻原次晴さんらがトークイベント「オリンピック教室 校外編」を開催
地元の小中学生に即興でスケート教室を開催するなどトークイベントは大盛況だった(写真:フォート・キシモト)

 また、平昌オリンピックで500m銀メダルを獲得したイ・サンファ選手との関係について、「ウイニングランを勝者だけの時間には絶対にしたくなかった。泣いているサンファ選手を一人にしちゃいけないと思いました」と振り返り、2人で交わした会話を明かした小平選手。続けて「私は、誰かを蹴落としてまで勝つことがスポーツの良さだとは思っていません。互いの能力を試し合う舞台がスポーツだと思いますし、高め合える仲間がいることでスポーツは成り立っているのかなと思っています。1つの価値観に縛られてしまうのはあまり良いことではないと思いますが、こういうスポーツをしたい、こういうアスリート、人間としてありたいという自分の見方をしっかりと持っていることが大事なんじゃないかなと思います」と、オリンピックバリューにもつながる小平選手自身が思うスポーツの価値観についても言及しました。

 また、地元埼玉県でスピードスケートを習っている小中学生を壇上に招き、基本姿勢や速く滑るコツを伝えたほか、参加者からの質問に小平選手、結城コーチが1つ、1つ丁寧に答えました。最後にこれからの目標について、結城コーチは「小平は伸び盛りですし、この先どういうタイムが出るんだろうという思いがあります。ある意味、未知の世界に入っていくと思うので、そこに向けて皆さんに応援されながら、悔いのない競技生活を送り続けてほしいと思っています」と期待の言葉を送ると、小平選手も「競技人生としては後半に差し掛かっていると思うので、研ぎ澄まされた体と感覚を磨き上げて、自分がどこまでやれるかというのを追求していきたいと思います。また、オリンピックでいただいた応援の輪がどんどん、どんどん全国に広がっていくといいなと思います」と決意を新たに述べ、トークイベントを締めくくりました。

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