特別座談会32オリンピックデー・フェスタの10年 ̄な、他の人がいいのかなって思いながら行ったんですが、「また来てくれたんだ!」って喜んでもらえて。「去年勝てなかったから今年は勝とうね」とか話が弾んだんですよね。 その大槌町に参加してくれた男性が一人いたんですが、ある日私が好きな歌手のライブに行ったところ、「馬渕さん」って突然声をかけられて。「僕、大槌町のデー・フェスタで一緒だったんです」って。嬉しかったですね。次のデー・フェスタで再会して、新曲の話でも盛り上がって。杉本 それはすごい!田中 ある意味、運命の人みたいね(笑)。大山 私が心に残っているのは、あるおばあちゃん。仮設住宅に伺うと、集会所のようなところに集まっていただくじゃないですか。あるとき、足が悪くて集会所まで行けないっていうおばあちゃんがいたので、特別にそのおばあちゃんの部屋まで行かせていただいたら、泣いて喜んでくれたんですよ。あのおばあちゃんが元気でいらっしゃるか、すごく気になっています。どうしていらしゃるかな。杉本 私は久慈市に3回ぐらい行かせていただいていて、結構思い出があります。例えば、夕食を食べに行ったところで出会った方からSNSで「今年もまた突きつけられました。 スポーツってなくても生きていけると思います。でも、豊かな人生を歩もうと思ったら必要なもの。人生を豊かにしてくれる力がスポーツにあるのだ、ということをデー・フェスタから教えてもらいました。喜怒哀楽を表すとか、人と人とのつながりができるとか、スポーツはなくても生きていけるけど欠かせない物だなって改めて感じさせられたんですよね。中村 スポーツには見る、プレーする、支える、など本当にいろんな意味合いがある。私たちオリンピアンはデー・フェスタを通して、楽しむこと、応援すること、支え合ったりすることで、スポーツというものを改めて感じさせられたって思いますね。これからもぜひ続けていきたい――では、ちょっと話題を変えて。デー・フェスタを通じて、地元の方たちとの交流などといったことは実際にありますか?馬渕 大槌町に4年連続で行かせていただき、毎年再会することを楽しみにさせてもらっています。4年続けて行くと「また、あなたが来たの?」って思われるか小野寺 確かに。ただ、みんなが真剣に、一生懸命取り組んで、悔しかった、嬉しかったっていろんな感情が現れるのを見て、現役のときに勝たなければいけない、結果を出さなければいけないってやっていたスポーツから、自分自身も変わったなって感じています。齋藤 負けて悔しくて泣いている子にも何回か出会ったけど、その悔しさっていいよね。大玉ころがしとか、モップや雑巾掛けとかそういう競技でね。杉本 みんな一生懸命にやっているからこその感情表現。馬渕 それもスポーツでは大切なことですよね。田中 最初の頃、震災の影響で感情が出せないというか、感情を押し殺すとか感情の出し方がわからないっていう子どもたちが多いって市長さんたちから聞いていました。それが、飛び跳ねて喜んでいる子、涙を流している子、と感情を表している子が年々増えてきたとき、少しずつだけどすごくいい方向に進んでいるなって感じましたね。大山 私は現役引退した直後にこの震災が起きたんですよね。現役時代、競技がすべてだと思ってやってきたけれど、震災が起きたことで、〝生活の基盤があった上でのスポーツなのだ〟ということを2016年10月29日 大槌(岩手)2018年9月9日 昭和村(福島)2014年10月18日 本宮(福島)
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