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2017.07.21 その他活動

「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講

「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講
「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講(写真:アフロスポーツ)
「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講
齋藤泰雄JOC副会長(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は7月14日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「平成29年度JOC国際人養成アカデミー(JISLA)」の開講式を行いました。このアカデミーは、競技力向上につながる組織、人、財政などにおける国際力の強化を見据え、将来JOCやJOC加盟競技団体を代表し、国際スポーツ組織等の政策決定過程に関与できる、あるいは国際的な折衝において活躍できる人材の育成を目的としています。
 7年目となる今年度のアカデミーは、JOC加盟競技団体等から推薦された、新規27名を含む計44名が受講。開講式には受講生とアカデミーのスクールマスターや講師、競技団体関係者らが参加しました。

 最初に主催者を代表して、齋藤泰雄JOC副会長が挨拶に立ち、本アカデミーの意義、目的を説明。そして、国際舞台で活躍していくためには何よりも英語力、コミュニケーション能力が重要であることを強調すると、「自分が言いたいことを持っていれば、必ずそれは色々な形で伝える方法はあります。そのことも含めて今回のアカデミーで学んでいただければと思います。8週間の講習を終えたあかつきには、必ずや皆さん方も充実した学習ができ、また新しい目標に向かって頑張りたいという気持ちになっていただけると期待しています」と述べました。

「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講
基調講演を行ったFIGの渡辺守成会長(写真:アフロスポーツ)
「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講
藤江陽子スポーツ庁審議官(写真:アフロスポーツ)

 続いて、国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長が「日本の中央競技団体が、IFでポジションを得ることの意義」をテーマに基調講演を行いました。渡辺会長は今年1月1日に9代目のFIG会長に就任。FIGでは欧州以外から会長が誕生するのは初めてで、オリンピック実施競技での日本人の国際連盟(IF)会長は、1994年まで国際卓球連盟のトップを務めた荻村伊智朗氏以来4人目のことです。渡辺会長はこれまでの自身の歩みや、FIG会長として体操の発展に向けて尽力している現在の仕事の内容を踏まえつつ、「一番大事なことはビジョンを持つこと」と説明。自身の夢は「社会の中心にスポーツが位置づくこと」と述べると、受講生に向けて「ぜひともこのアカデミーを有効に使い、自分の夢を実現するために頑張ってほしい」とエールを送りました。
 また渡辺会長は、IF役員を目指す人に求められる人的要素として、特に言葉を強めて挙げたのが『本人の人間性と実績』です。「日本人特有の謙虚さ、感謝の気持ちを大事にしつつ、異文化への理解力を高め、人類の多様性を学ぶことが必要。そして、その多様性を身につけるためには謙虚さ、感謝の気持ちが重要で、自分に本当の自信、強さがあれば謙虚さ、感謝の気持ちが自然と出てきます」と話すと、最後に「アカデミーで学んだことは現場で生かさないと本当の力にはならない。ですから、ここで学んだことを現場で生かして、それを自分の自信、強さにつなげて、世界のスポーツ界をリードしてほしい。若い人たちが1日も早く世界に飛び出て、世界で活躍することを祈っております」と、期待の言葉を受講生に送りました。

「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講
スクールマスターを務める(左から)日本ウエイトリフティング協会の上治副会長、国際トライアスロン連合の大塚副会長、国際卓球連盟の木村会長アドバイザー、村津JOC理事(写真:アフロスポーツ)
「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講
修了生の堀口治美さん(左)、高倉浩一さんがアカデミー修了後の活動を報告(写真:アフロスポーツ)

 次に、来賓を代表して藤江陽子スポーツ庁審議官が「ぜひこのアカデミーが有意義なのもとなり、修了された皆さんが国際人としての必要な素養とネットワークを身につけて、近い将来、世界の舞台に羽ばたかれることを祈念いたしております」と挨拶。続けて、今年度のアカデミーの運営、企画、進行を中心として行うスクールマスターの4名が紹介され、昨年度に引き続きスクールマスターを務める大塚眞一郎国際トライアスロン連合副会長、同じく村津敬介JOC理事、同じく木村興治国際卓球連盟会長アドバイザー、同じく上治丈太郎日本ウエイトリフティング協会副会長がそれぞれ受講生に対し激励の言葉やアドバイスを送りました。

 JOC国際専門部会の村里敏彰部会員と細淵雅邦部会員の紹介が行われた後、修了生を交えた事業紹介では、平成28年度修了生の堀口治美さん(日本ボート協会)、同じく高倉浩一さん(日本アイスホッケー連盟)が登壇。アカデミーで学んだことや、それらを現在の活動・業務にどのように生かしているかなどをそれぞれ報告すると、受講生に向けて堀口さんは「国際人養成アカデミーは修了した後も学習する機会を提供してくださいますので、これからも皆さんとともに学習を継続していきましょう」と呼びかけ、高倉さんは「このアカデミーは振り返ってみると、自分にとって再発見と新発見の場でした。ここで出会った仲間と過ごす時間を大切にしてほしいですし、ひとりひとりが自分の置かれている立場や状況において何ができるか、何をすべきかなどを考えて、強い意志を持って実践していただければ、この場で学んだことを最大限に生かせると思います」とアドバイスを述べました。

 最後に受講者全員の紹介が行われ、開講式は修了。翌々日の16日には、2つの講義が公開されました。

「平成29年度JOC国際人養成アカデミー」が開講
日本オリンピックアカデミーの藤原副会長が「メガスポーツイベントにおける放映の影響力」をテーマに講義を行った

 1つ目は「メガスポーツイベントにおける放映の影響力」をテーマに、日本オリンピックアカデミーの藤原庸介副会長が講師を務め、NHKの記者出身である自身のこれまでの経歴や報道経験をもとに、オリンピックにおけるメディアの意味、オリンピック放送の構造、日本の放送局がどのようにオリンピックを放送しているのかなどを説明しました。この講義の中で藤原副会長は、東京2020大会を見据えて、カメラやケーブルの配置、十分なインタビュースペースの設計なども含めた放映のオペレーショナルデザインを各競技団体が考えなければいけないと強調。「一番大切なことはその競技を分かりやすく、楽しく見てもらうこと。そのためには競技場の中にそれだけの放映施設を置くことができる余裕を、最初から相談しながら設計して作っていかないといけない。これができずテレビの中継がうまく行かなければ、その競技の魅力を100%発揮できないわけです」と、オペレーショナルデザインの重要性を説きました。

 2つ目の講義は「国際スポーツ組織概要論」。ここでは西村賢二JOC国際部長が講師を務め、国際オリンピック委員会(IOC)をはじめとした国際スポーツ組織の関係概要や、IOCの主な目的・事業、オリンピック追加競技をめぐる一連の流れ、また政治・経済におけるオリンピック・ビジネスなどを説明。そして、これらの講義内容を踏まえ、総括として「オリンピックは1つのスポーツイベントではなくて、経済やテロの問題など色々なことが絡み合う事業になっていることを理解し、その中でスポーツを今、我々が行っていると理解していただきたいと思います」と受講生に呼びかけました。

 アカデミーは11月上旬まで週末を中心に全8週間の過程で行われます。受講生たちは世界のスポーツに関する基礎知識やスポーツ外交などの講義を受けるほか、ロジカルシンキング、プレゼンテーションなどのコミュニケーション方法を英語で学び、最後にアセスメント(修了試験)を受験。各カリキュラムを通じて、国際力向上を目指します。

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