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2017.06.28 キャリア支援

「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催

「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催
「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催(写真:フォート・キシモト)
「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催
八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクター(写真:フォート・キシモト)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は6月7日、味の素ナショナルトレーニングセンターで、「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催しました。

 アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに106社/団体155名(2017年6月7日時点)の採用が決まりました。

 今回の情報交換会では、日本陸上競技連盟(日本陸連)から2名、国立スポーツ科学センター(JISS)から1名、陸上競技選手を採用した企業から11社17名が参加し、それぞれ情報を交換、交流しました。

 はじめに主催者を代表して、八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが挨拶し、アスナビを通じた昨年1年間の採用数が約50名にも上り、うち今春の新卒採用が33名であったことを報告。また、陸上選手は全競技の中で最も多い13社に採用されていますが、その企業の多くが今年度初めてアスナビを活用して選手を採用した企業であることから、八田ディレクターは「今回は企業さん同士、横のネットワークを作っていただく会でもあります。また、陸連のスタッフともご縁を作っていただいて、今日をきっかけに様々な疑問を解消していただき、しっかりと色々な話をインプットしていただければと思います」と、参加者に呼びかけました。

「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催
日本陸連事業部の八幡賢司さん(写真:フォート・キシモト)

■東京2020大会へ向けた日本陸連の強化方針

 次に「競技団体による現状紹介」として、日本陸連事業部の八幡賢司さんがスライドを用いながら、アスナビ採用選手数の推移、アスナビ推薦までの流れを説明。一方、男子4×100mリレーの銀メダル、男子50km競歩の荒井広宙選手の銅メダルで盛り上がったリオデジャネイロオリンピックでしたが、日本陸連としては「多くの種目で目標に届かず、東京へ向けて多くの課題を残した」ことから、東京2020大会に向けては、ゴールドターゲット、メダルターゲット、TOP8ターゲット、ワールドチャレンジと、それぞれの種目で目標を定めて強化していく方針を打ち出したことなどが紹介されました。

 また、アスナビで採用された選手のうち、5名が7月にインドで開催されるアジア選手権の日本代表選手に選ばれています。八幡さんは「ここで優勝すると、世界選手権の参加標準突破者と認められます。世界選手権出場のチャンスがある大会なので、ぜひとも企業様にはサポートをしていただきたいと思います」と一層のアスリート支援を訴えるとともに、「陸連としても何かあればいつでも相談に乗りたいと思いますし、一緒に選手をサポートしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします」と述べました。

「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催
日本発条株式会社の村田雅弘さんが選手の活用事例を紹介(写真:フォート・キシモト)

■宮坂楓選手ら採用企業の活用事例を紹介

 続いて、採用企業の選手活用事例では、2015年12月に三段跳の宮坂楓選手、16年9月に走幅跳の平加有梨奈選手、17年4月に棒高跳の竜田夏苗選手を採用した日本発条株式会社の企画管理本部総務部広報グループ、村田雅弘さんが登壇。同社がアスリートを採用する理由、経緯、アスリート採用の効用、また選手の普段の業務や競技との両立、応援体制などを紹介しました。この中で、特に応援に関して一番重要なことは「一緒に戦う姿勢」であると語った村田さん。「陸上選手はチーム競技ではないので、選手は孤独を感じることも多いそうです。そういうときに背中を押してあげるような姿勢を見せてあげると良いのではないかと思います」と話し、同社では最初はわずか3人だった試合会場での応援団も、今では毎試合数十名規模にまでなっていることが報告されました。

 また、最初に宮坂選手を採用してから約1年半が経ち、村田さんはアスリート採用における今後の課題として、(1)応援体制のより一層の増強、(2)記録更新のための側面サポートを挙げました。これらの解決に向けての取組みとして、(1)に関しては「選手が結果を出せばファンは増えていくと感じた1年だった」ことから、これからは選手自身も自己プロモーション活動をしてファンを増やしていかなければいけないという意識を選手に持ってもらうこと、(2)に関しては今年から個別栄養指導を開始したことなどを紹介しました。

「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催
JISSの鈴木敦さんが選手のメンタルケアについて講義を行った(写真:フォート・キシモト)
「第5回 アスナビ採用企業 情報交換会〜陸上競技編〜」を開催
労務関係、応援体制について企業間で情報交換会(写真:フォート・キシモト)

■選手が抱える問題、心理サポートについて

 次に、「選手が抱える問題 企業アスリートのメンタルケアのポイント」をテーマに、JISSの鈴木敦さんが講義を行いました。ここでは、世間が抱くアスリートのイメージと実際のギャップ、アスリートの悩みの実態、トップアスリートの心理的問題・課題などを説明。特に心理サポートについて、実在した事例をもとにした仮想事例を挙げ、「選手と企業がしっかりと話し合って、お互いが望んでいることを一致させていくことが重要です。そのためにもお互いが思ったことを言えるような環境づくりが大切になります」と呼びかけました。一方でアスリートに対する心理サポートは、技術や体力のトレーニングと同様に時間がかかること、そして否定的な自分と直面させることでもあるのでエネルギーが必要であることが注意点として述べられました。

 最後に、参加者グループにJOCキャリアアカデミー事業スタッフが加わり、「A.労務関係(選手の業務内容、評価や賞与、活動の経費精算、キャリアプランなど)」、「B.応援体制(場所やチケット確保、会社補助、社員の巻き込み方など)」について情報を交換。参加した企業間で活発に意見や質問が交わされ、アスリート採用に関する知見、交流を深めました。

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