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2017.04.19 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
プレゼンを行った4選手。左から吉田選手、吉井選手、浅野選手、伊藤選手(写真:アフロスポーツ)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は4月12日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに104社/団体151名(2017年4月12日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会には、24社28名が参加しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクター(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
選手のプレゼンテーションの前に各競技団体の関係者が競技の魅力を解説した(写真:アフロスポーツ)

 最初に、主催者を代表して挨拶に立った八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターは、アスナビ設立の経緯やこれまでの実績、アスナビが目指す今後について説明しました。企業と選手、競技団体がwin‐win‐winの関係になれるインフラ作りを目指し、2010年10月の第1回アスナビ説明会から今日まで約50回の説明会を実施。その結果、特に昨年度は1年間で約50名のアスリートが採用されました。今後、個人競技の企業支援・活用インフラをさらに構築し、東京2020大会までにますます採用実績を伸ばしていきたいと目標を掲げた八田ディレクター。「我々は、採用いただいた選手を企業が応援して、盛り上がっていただくための色々な支援を今後もしていきます。その意味ではこのアスナビは、企業が選手を採用していただいたら終わりではありません。我々JOCは全精力を挙げて競技団体と連携し、一人の選手を企業がどうやって応援して、選手と企業が活性化していくかをサポートしていく予定ですので、そうした新しい企業活性化の仕組みだということを理解していただければと思います」と、企業関係者に呼びかけました。

 次に中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業アシスタントディレクターが、資料をもとにアスナビの概要を説明。夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート採用後の雇用形態や給与水準、勤務スケジュールなどを報告しました。

 その後、就職希望アスリート4名がプレゼンテーションを実施しました。今回はカヌー、自転車(BMX)、ボブスレーの選手が参加しましたが、八田ディレクターが冒頭で「それぞれの競技の魅力を踏まえて選手のアピールを聞いていただければ」と話していた通り、今年度からの新しい試みとして、選手それぞれの自己アピールの前に、各競技団体の関係者が映像や資料などを用いて競技の魅力を説明。これまでの説明会以上に企業に対して各競技への理解が深まった様子で、特に競技映像が紹介されると、企業からの参加者からは感嘆や驚きの声も上がっていました。これを受けて、改めて4選手が自身のアピールを行いました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
吉田拓選手(写真:アフロスポーツ)

■吉田拓選手(カヌー)
「東京オリンピックの金メダルは私の競技人生の最終目標であり、そのために私がクリアしなければならないことは、競技生活に集中するための環境づくりだと考えています。これからの2年間は私にとって本当の正念場になります。カヌー・スラローム競技の国際大会は人工コースで行われていますが、現在、国内には人工コースがありません。人工コースでトレーニングすることが世界のトップに食い込むために必要不可欠なことです。また、ワールドカップや世界選手権はヨーロッパで開催されており、いかにヨーロッパへ渡り、そこで練習できるかが本当に大切になってきます。羽根田選手のことは尊敬していますが、私は日本から日本人のスキルを持って、日本人の漕ぎで、日本人のコーチとともに世界に挑戦し、メダルを獲ることに意味があると感じています。なぜなら、これからの日本カヌー界を担っていく若い世代は、日本から世界に挑戦しなければならないからです。私はその指針に、その目標になってみせます」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
吉井康平選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
浅野晃佑選手(写真:アフロスポーツ)

■吉井康平選手(自転車/BMX)
「BMXレース競技は2008年の北京オリンピックから正式競技に採用され、そのときから私の目標はオリンピックでメダルを獲得したいという明確なものに変わりました。昨シーズン、リオデジャネイロオリンピック出場を目標にワールドカップを転戦しましたが、思うように結果を残すことができず、出場を逃し、このまま辞めてしまおうかとも考えました。しかし、私は諦めることはありませんでした。それは、オリンピックの映像を何度も見返し、必死になって戦っている選手を見ているうちに、自分が目指したいところはやはりここなんだと感じたからでした。現在、私は夜までアルバイトをし、朝から練習するという生活を続けています。しかし、今後も遠征資金など不安が残るのが正直なところです。4年後、東京オリンピックの舞台に立ち、自分の中でやり切ったと本当に思えるように、1日1日を大事に頑張っていきたいと思います。私の目標達成に向け、ぜひ企業の皆さまに応援していただければと思っています」

■浅野晃佑選手(ボブスレー)
「私がボブスレーを始めたのは、4年前のソチオリンピックの新人選手発掘テストがきっかけでした。それまで私は陸上の十種競技をやっていました。テストに合格し、ソチオリンピックに出場することはできませんでしたが、翌年からパイロットを本格的に始め、初出場した日本選手権で優勝し、今では日本代表として国際大会に出場できるようになりました。しかし、私の収入源はアルバイトですので、遠征中や合宿中は時給が発生しません。また、男子チームは10年前の古いソリを使用して出場しました。世界の選手たちと比べたときに、周りの環境にも差があると痛感しました。それでも私がボブスレーを続けているのはやはり、オリンピックという大きな目標があるからです。一人で闇雲にやっても目標は達成できません。しっかりとした支えの中で競技に取り組み、仕事を頑張りたいと思っています。男子チームが平昌オリンピックに出場できる可能性は大きいとは言えませんが、その少ないチャンスにかけて、僕たちは毎日諦めずにトレーニングに取り組んでいます。どうか皆さん、力になってください。よろしくお願いします」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
伊藤隆太選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
左から日本カヌー連盟の山田亜沙妃強化委員、吉田選手、自転車/BMXで北京オリンピック出場の阪本章史選手、吉井選手、浅野選手、伊藤選手、日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟の大石博暁ボブスレー強化委員(写真:アフロスポーツ)

■伊藤隆太選手(ボブスレー)
「私の小学生のころからの夢は陸上競技でオリンピックに出場することでしたが、満足のいく結果が残せませんでした。そんな中、大学2年生のときに両足首を手術し、病室で見た北京オリンピック陸上男子100m決勝で、ウサイン・ボルト選手が最後の20〜30mを流して圧勝してしまうレースを見た瞬間に『自分はやっぱり世界で戦いたい』という思いがまた沸き立ちました。陸上では厳しいなと思い模索していたところ、ボブスレーに出会い、ソチオリンピックのトライアウトを受け、オリンピック候補選手に選んでいただきました。今まで漠然としていた夢のオリンピックでしたが、頑張れば自分でつかめるのではないかと、ボブスレーという競技に夢を託していこうと決心しました。男子チームはまだまだ経験の浅いチームなので、経験を積めば必ず大きく飛躍すると思っています。また、ナショナルチームのほとんどの選手がアルバイトをして生計を立てています。ボブスレーを応援してくださる企業はまだまだ少ないです。マイナー競技だからこそ我が社が応援せずにどこが応援するんだ、という気持ちを持っていただけたのなら、日本ボブスレー男子チームを応援してくださる最初の企業、一番の企業になってください。よろしくお願いします」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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