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2016.12.27 選手強化

「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催 <トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜>

「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催 <トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜>
「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催(写真:フォートキシモト)
「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催 <トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜>
橋本聖子JOC選手強化本部長(写真:フォートキシモト)

 日本オリンピック委員会は12月13日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催しました。

 本研修会は「トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜」というテーマのもと今回初めて開催され、選手の身の回りに潜んでいる危険やリスクを認識し、事件・事故を起こさない、また巻き込まれないように、それらの問題への対応を学ぶことを目的としています。研修会には各競技のオリンピック強化指定選手100名が参加しました。

 最初に橋本聖子JOC選手強化本部長が開会のあいさつに立ち、スポーツ界にもその手が伸びている反社会的勢力と薬物問題を挙げ、「自分たちがどういった立場なのか、そして、これから何をやらなければいけないかを十分理解したうえで、今後のオリンピック・パラリンピック、あるいはその先の競技人生、自分自身の将来に向かって考える研修の場としていただきたいと思います」と呼びかけました。

「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催 <トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜>
暴力団の脅威について講義を受けた(写真:フォートキシモト)
「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催 <トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜>
薬物の恐ろしさについて真剣に耳を傾ける強化指定選手たち(写真:フォートキシモト)

■反社会的勢力と薬物の脅威

 研修会は2部構成で行われ、第1部ではまず「反社会的勢力の脅威」をテーマに、警視庁組織犯罪対策第三課の暴力団排除対策担当者による講義が行われました。講義では、暴力団の実態、暴力団の本質、暴力団排除に向けた社会の取り組みを紹介。さらに暴力団への対応要領等について、過去の事例を交えながら説明がありました。
 また、暴力団排除活動の基本理念である「暴力団を恐れない。暴力団に金を出さない。暴力団を利用しない。+暴力団と交際しない。」という「暴力団追放三ない運動プラス1(ワン)」も紹介され、JOCにおける相談体制の確立、警察との緊密な連携の必要性について講義が行われました。

 続いて、組織犯罪対策第五課(薬物担当)の職員が、薬物犯罪の実態と予防として、過去のスポーツ界における薬物検挙者の事例、大麻が間違いなく違法薬物であること、覚醒剤の常習性・作用・危険性、中毒へのプロセスを説明し、薬物犯罪に巻き込まれないためには薬物に近づかず、誘いは断固断ることを訴えました。そして、薬物や薬物の使用を勧められた場合の対応に関するクイズを卓球の水谷隼選手らが受け、薬物に対する知識・理解をより深めました。

「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催 <トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜>
千田直人氏によるコンプライアンス研修の講義(写真:フォートキシモト)
「平成28年度 オリンピック強化指定選手研修会」を開催 <トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜>
グループワーキングでリスクマネジメントなどを共有した(写真:フォートキシモト)

■グループワークでコンプライアンスを学ぶ

 第2部ではコンプライアンス研修として、JOCキャリアアカデミーと民間企業が開発した独自プログラムによる講義と、身近に起きた事件にフォーカスし選手がグループワーキングにて意見交換・解決方法を共有するグループディスカッションが行われました。

 まず共同開発を行った企業を代表して千田直人さんの講義が行われ、「1.トップアスリートとして、そして社会人としての意識・自覚・身構え」「2.トップアスリートを取り囲む『リスク』とは?」「3.『リスク』を減らし、回避する方法について」「4.問題が発生したときの対処方法」の4つをテーマに説明。また、これらの講義で学んだことを基に、とあるケースとして示された“食事会で起きた問題行動”に対して、どこに原因があったのか、どうすれば防げたのかなどを選手それぞれがグループディスカッションで話し合い、リスクマネジメントや、選手本人または周囲に及ぼす影響などを共有しました。

 コンプライアンス研修のまとめとして、社会常識や想像力を養うために「新聞・テレビ・ネットのニュースをつまみ食いして他人の失敗から学ぶ」、「スポーツ界だけではなくさまざまな分野のさまざまな人たちの話を聞く」ことが重要だと説いた千田さん。「皆さんには強化指定選手という、国やその競技を代表する立場に誇りを持ってほしい。それと同時に素晴らしい社会人、学生でもあり続けてください」と呼びかける一方、「失敗しない人はいません。大切なのは失敗した後の対応。皆さんは一人ではありません。迷ったときは信頼できる人に相談し、逃げない・嘘をつかない・隠れない。このことを徹底してください」とアドバイス。そして、最後に選手生命を守る2つのバリアとして、「まずは悪いこと、違法なことはしっかり断る」「何か失敗したと思ったときはすぐにホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)」を挙げ、研修を締めくくりました。

 なお、今年度JOCではオリンピック強化指定選手研修会を月1回のペースで開催していく予定です。

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