MENU ─ ニュース
2016.03.16 選手強化

東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート

東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
平成27年度は12名が終了を迎えた(写真:アフロスポーツ)
東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
平岡英介JOC専務理事のあいさつ(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は6日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「平成27年度JOCエリートアカデミー修了式」を開催しました。JOCエリートアカデミーは、オリンピックをはじめとする国際競技大会で活躍できる選手の育成を目標に、平成20年度に開校。各競技団体から推薦された有望なジュニア選手を集め、味の素ナショナルトレーニングセンターを拠点にして集中的な指導を行っており、平成27年度は5競技46名の選手が所属しています。

 今年度は3期生から7期生まで、4競技12名の選手が修了を迎えました。式には修了生のほか、その家族や関係者、JOC、スポーツ庁、競技団体、学校関係者、エリートアカデミー在校生らが参加。世界を目指して4月から新たな道に進む修了生たちが1人1人入場すると、温かな拍手で迎えられました。

 はじめに主催者を代表して平岡英介JOC専務理事があいさつを行い、修了生を祝福。「予想を上回る厳しいトレーニングや親元を離れた集団生活に戸惑ったかもしれませんが、楽しい貴重な経験や思い出もできたと思います。今後もJOCエリートアカデミーや学校で学んだことを土台とし、自信を持って次のステージに進んで下さい。そして4年後の東京2020大会に向けて、皆さんがなお一層の努力と鍛錬、トレーニングをし、素晴らしい2020年を迎えてほしいと願っております」と述べました。

東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
キャプテンを1年間務めた宮友くん(写真:アフロスポーツ)
東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
在校生代表の向江彩伽さん(写真:アフロスポーツ)

 修了生の紹介、来賓3名(先卓歩スポーツ庁競技スポーツ課長、高谷吉也日本スポーツ振興センター理事、清正浩靖北区教育長)のあいさつに続き、平岡専務理事が修了証を授与。修了生たちは緊張の面持ちながらも胸を張って堂々と修了証を受け取り、再び場内は大きな拍手に包まれました。

 在校生を代表して登壇した来年度のキャプテン・向江彩伽さん(フェンシング)は、「これまで先輩方には様々なことを教わり、様々なところで助けていただきました。そんな先輩方に囲まれたお陰で、とても心強くここまで来ることができました」と感謝の気持ちを述べ、修了生と過ごした思い出を振り返りました。そして、「これから大変なことがたくさんあると思いますが、エリートアカデミーで学んだことに誇りを持ち、新しい環境でも頑張って下さい。そして新しい環境を楽しんで下さい」とエールを送りました。

 最後に修了生による決意表明が行われました。これまでお世話になった指導者やRA(レジデント・アシスタント)、SAKURAダイニングのスタッフ、離れて暮らしながら常に見守ってくれた両親への思いで感極まった様子の選手たちでしたが、涙をこらえながらもしっかりと前を見据え、それぞれの目標を力強く語りました。

 また、式を終えて取材に応じたキャプテンの宮友くんは「みんなが楽しく生活できて、なおかつ強くなれるように、いろいろなところで少しずつ努力をしました。大変でしたが、キャプテンでしか経験できないようなこともあり、(キャプテンを)やらせてもらえてすごく良かったです」とコメント。在校生に向け「結果が出ずつらいこともあると思いますが、ただただ、エリートアカデミーを楽しんでほしいです」とメッセージを送りました。

東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
(左)向田真優さん、(右)硴塚将人くん(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
(左)宮友くん、(右)石川梨良さん(写真:フォート・キシモト)

<修了生のプロフィールと決意表明>

■向田真優(むかいだ まゆ)
競技:レスリング
出身地:三重県
高校:安部学院高
進路:至学館大学健康科学部
主な競技成績:2014年南京ユースオリンピック 52kg級優勝など

「1年目は成績が伸びず、ホームシックもあり辛かったですが、2年目からは環境にも慣れ、タイトルを少しずつ取ることができました。選手の中には1人で黙々と自主練習を行う子や、世界の舞台で活躍する子がいてすごく刺激になりました。私が6年間で一番思い出に残っていることは、中国の南京で行われたユースオリンピックです。菅(芳松)監督や、地元でお世話になっていた宇野(勝彦)先生、家族が応援に駆けつけてくださり、優勝することができて本当に嬉しかったです。勝ったときは一緒に喜び、負けたときは一緒に泣いてくださる、そんな監督、コーチに出会えて幸せでした。東京からは離れてしまいますが、また合宿でここに来られるように一生懸命頑張ります。ここで学んだ6年間を生かし、夢に向かって頑張りたいと思います」

■硴塚将人(かきつか まさと)
競技:卓球
出身地:熊本県
高校:帝京高
進路:早稲田大学スポーツ科学部
主な競技成績:2015年ITTFジュニアサーキットハンガリー大会 ジュニアシングルス準優勝など

「はじめは自分のことで精一杯でしたが少しずつ慣れ、自分のことは自分でしっかりできるようになるまで成長することができました。ここでの生活は辛いことが多かったですが、それでもかけがえのない6年間になったのは、世界で活躍する様々な競技のトップアスリートの方々の姿勢を見て、それを糧としながら成長していくことができたからだと思います。4月から大学に進学し、またこれから先の人生では今までより更に厳しい世界になると思います。それでもここの生活で経験したことを生かし、夢や目標を見失わずに乗り越えていきたいです」

■宮友(みやざき とも)
競技:卓球
出身地:熊本県
高校:帝京高
進路:法政大学デザイン工学部
主な競技成績:2014年ITTFジュニアサーキットチェコ大会 ジュニアダブルス優勝など

「ここでの6年間、海外遠征やトップ選手と同じ環境での練習、東日本大震災の復興支援など、普通の中高生では経験できないようなことをたくさん経験させていただきました。特に最後の1年はアカデミーの全体キャプテンを務めさせていただき、本当に貴重な経験ができました。ここでの6年を決して忘れず、無駄にすることなく、これからの大学生活や今後の人生の糧にしていきたいです。そして、いつか自分の夢を叶え、自分を支えてくださった方々に恩返しできるような大きな人間に成長していきたいです」

■石川梨良(いしかわ りら)
競技:卓球
出身地:山口県
高校:帝京高
進路:青山学院大学総合文化政策学部
主な競技成績:2015年ITTFジュニアサーキット韓国大会 ジュニアダブルス優勝など

「入校当時はあまり自己主張ができず、コーチに言われたことに対してひたむきに取り組むだけでしたが、高校生になってチームのキャプテンを任され、それまで以上に周りを見て行動するようになり、チームをまとめることによって高い自覚を持つことができました。今まで多くの国際大会を経験させていただき、世界で活躍する選手になりたい、海外の文化に触れもっといろいろなことを知りたいと思うようになりました。大学では競技と学業の両立をし、新しい仲間たちと切磋琢磨しながら夢に向かって頑張ります」

東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
(左)森田彩音さん、(右)西藤俊哉くん(写真:アフロスポーツ)
東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
(左)星野剣斗くん、(右)清水紀宏くん(写真:フォート・キシモト)

■森田彩音(もりた あやね)
競技:卓球
出身地:静岡県
高校:帝京高
進路:中央大学法学部
主な競技成績:2015年ITTFジュニアサーキットスウェーデン大会 ジュニアシングルス優勝など

「海外遠征でいろいろな国へ行かせてもらったこと、間近でトップ選手のプレーを学ばさせてもらったこと、NTCでの練習や生活など、大変貴重な経験をさせていただきました。卓球が嫌いになり、頑張ることさえ無意味に感じる時期もあり、周りの方々に心配をかけてしまいましたが、たくさんの回り道から広い視野で物事を見られるようになり、自分を責め過ぎず、他人と比べず、自分のペースでやっていくことが大事だと気づけるようになりました。大学でも文武両道に努め、日々を大切に過ごしていきたいと思います」

■西藤俊哉(さいとう としや)
競技:フェンシング
出身地:長野県
高校:帝京高
進路:法政大学法学部
主な競技成績:2014年世界ジュニア選手権 フルーレ個人3位など

「小学校3年生のときに出場した大会のイベントで、太田雄貴選手と剣を交える機会をいただきました。太田選手のように強くなりたい、世界一になりたいと思うようになり、大きな目標を胸にここJOCエリートアカデミーに入校しました。アカデミーに入ることができていなかったらフェンシングを続けていたとしても、大きな夢は諦めていたと思います。そう思うくらいここでの生活は充実していました。アカデミー生として過ごせたことを誇りに思い、東京オリンピックで金メダルを獲得し、次は私自身が太田選手のように多くの子供たちに夢や希望を与えられるような選手になりたいです」

■星野剣斗(ほしの けんと)
競技:フェンシング
出身地:群馬県
高校:帝京高
進路:法政大学経営学部
主な競技成績:2015年世界カデ選手権 ミックス団体準優勝など

「私は高校1年生のときにエリートアカデミーに入校しました。3年間しかいられませんでしたが、この3年間は非常に充実していました。アカデミーでの生活の仕方や決まり、そして今までになかった練習内容や環境が加わり、最初は何をすればいいのかまったく分かりませんでしたが、先輩や仲間に助けられ、徐々に慣れることができました。アカデミーでの生活にも慣れ、練習にも慣れてきて、どことなくモチベーションがない毎日が続いた時期もありましたが、周りの人たちが一生懸命努力している姿を見て、自分も頑張らなくてはと思いました。私はJOCエリートアカデミーに入り、多くの方々に出会いました。この出会いを大切にしてこれからも頑張りたいと思います」

■清水紀宏(しみず のりひろ)
競技:フェンシング
出身地:長野県
高校:帝京高
進路:日本大学スポーツ科学部
主な競技成績:2014年アジアカデ選手権 サーブル団体3位など

「もし高校3年間をエリートアカデミー生として過ごしていなかったら、楽しい高校生活で終わっていたのかもしれません。今まで経験してきたことは楽しいことより辛かったことの方が多いですが、競技を越えて多くの人たちと関わることができ、何をとっても貴重な経験ができたと思います。ここで得た知識や経験は私にとってこれから社会に出て行くために必ず役に立つものです。4月からは大学生として新しい環境、新しい仲間、そして新しい志を持って日々精進していきます。そしてさらに、自主性と主体性をこれからも大切にし、競技者として、一人の人間として成長していきたいと思います」

東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
(左)森千絢さん、(右)梅津春香さん(写真:フォート・キシモト)
東京2020大会を目指す12名が新たな道へ 平成27年度JOCエリートアカデミー修了式レポート
(左)井浦侑希乃、(右)川原楓さん(写真:フォート・キシモト)

■森千絢(もり ちひろ)
競技:フェンシング
出身地:福岡県
高校:帝京高
進路:日本大学スポーツ科学部
主な競技成績:2014年ヨーロッパカデサーキットルーマニア大会 フルーレ団体優勝など

「アカデミー生活ではたくさんの出会いがありました。一番印象に残っているのは、私が中学1年生のときから高校1年生のときまで見てくださったコーチの存在です。私はほぼ素人の状態でこのJOCエリートアカデミーに入校し、そんな私に一からフェンシングを教えてくださったのがそのコーチでした。本当に家族のような存在で、身近にそういう存在がいなかった分、自分の話を真剣に聞いてくれる人がいることがどれほど嬉しかったか、そのときの感情は今でも覚えています。それらのたくさんの方々のおかげで自分自身成長することができ、今この場に立てていることに本当に感謝しています」

■梅津春香(うめつ はるか)
競技:フェンシング
出身地:山形県
高校:帝京高
進路:法政大学国際文化学部
主な競技成績:2015年アジアカデ選手権 フルーレ個人/団体優勝など

「今、私がこの場に立ち、無事にエリートアカデミーを修了することができるのは、私に関わっていただいた多くの方々の支えがあったからです。壁にぶちあたったときに投げかけてくれた数々の言葉を忘れません。競技では初心と感謝の気持ちを忘れず、自分らしく今できることを精一杯やってこつこつと努力し、目標である4年後の東京オリンピックでメダルを獲得します。これからはエリートアカデミーで得た、努力すれば結果は必ず付いてくることを胸に、自分という1本の木が大きな花を咲かせることができるよう、たくさんのことに自分から手を伸ばし、挑戦していきます」

■井浦侑希乃(いうら ゆきの)
競技:ライフル射撃
出身地:福岡県
高校:都立王子総合高
進路:同志社大学商学部
主な競技成績:PANNONIA TROPHY 2016(AP40WJ) 4位など

「毎日コーチの熱いご指導の下で練習できることが新鮮でしたが、試合で中々結果が出せず、アカデミー生だから結果を出して当然という考えが自分自身にプレッシャーを与え、自分で壁を作ってしまっていました。射撃をすることが辛くなり、泣きながらコーチや寮母さん、親に相談したことを今でも覚えています。それでも私を信じてここまで育ててくださったコーチ、いつでも親身になって話を聞いてくださった寮母さん、どんなときでも笑顔で応援してくれた親には感謝の気持ちでいっぱいです。進学してもアカデミー生活で学んだことを生かし、文武両道を目標として、今後も国際大会や4年後の東京オリンピックでのメダル獲得に向けて今以上に努力していきます」

■川原楓(かわはら かえで)
競技:ライフル射撃
出身地:福岡県
高校:都立王子総合高
進路:自衛隊
主な競技成績:PANNONIA TROPHY 2016(ARS40WJ) 準優勝など

「私はこの2年間の生活の中で人のために頑張るということを知りました。アスリートビレッジで生活し、多く遠征に行くようになったとき、本当にたくさんの方々に支えられて自分がある、とあらためて感じました。もっと自分のために射撃を楽しみたいと思うこともありましが、自分が一番射撃を楽しんでいる姿をイメージしたときは、いつも誰か人のために頑張っている姿でした。私の長所は何事にも積極的に挑戦するところです。これからもたくさんのことに挑戦し、2020年の東京オリンピック、その後数々の国際大会での金メダル獲得を目指します。そして、ライフル射撃競技をメジャースポーツにします」

ページをシェア

関連リンク


CATEGORIES & TAGS


選手強化 の最新ニュース

    最新ニュース一覧