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2010.10.13 選手強化

情報・医学・科学3部会合同カンファレンスを初開催、より効果的なサポート体制へ

情報・医学・科学3部会合同カンファレンスを初開催、より効果的なサポート体制へ
パネルディスカッションでは「2012ロンドンに向けたシミュレーション」と題し意見交換が行われた

JOCは10月1日、「情報・医学・科学3部会合同カンファレンス」を味の素ナショナルトレーニングセンターで開催しました。2012年ロンドンオリンピック、2014年ソチ冬季オリンピックで、Team JAPANとして戦うために、情報・医学・科学それぞれのサポートの実情を把握し、より効果的なサポート体制を目指すことが目的です。JOC情報・医・科学専門委員会の3部会(情報戦略、医学サポート、科学サポート)が一堂に会するのは初の試みで、参加したJOC強化スタッフ、JISS研究員、チーム「ニッポン」マルチ・サポート事業スタッフらと情報と目標の共有を図りました。

情報・医学・科学3部会合同カンファレンスを初開催、より効果的なサポート体制へ
JOC情報・医・科学専門委員会の3部会(情報戦略、医学サポート、科学サポート)が一堂に会する初のカンファレンス

開会にあたり、情報・医・科学専門委員会の澤木啓祐委員長は、「選手、コーチ、そこに専門家が加わることで客観的にものが見えてくるという関係がある。情報・医学・科学の3部門が連携することでより有益な情報を発信していきたい」とあいさつしました。

今回のカンファレンスのテーマは「広州アジア大会を通じたオリンピックシミュレーション サポートハウスの活用について」。11月に開催される広州アジア競技大会で、Team JAPANとして初の取り組みとして設置する村外サポート拠点「マルチサポートハウス」の情報を交換しあいました。総合競技大会の場合、選手村にはADカードのあるスタッフしか入れず、使えるスペースに制限もあるため、村外にサポート拠点を置くことで、充実した施設とスタッフによる支援が可能になります。

JISSマルチ・サポート事業の四谷高広さんは、今回のアジア大会で設置されるマルチサポートハウスの場所や機能、収容人数、機材などを説明。「医学・科学・情報戦略のサポートの拠点となる施設。できるだけ多くの方に使っていただき、ロンドンオリンピックでのサポートハウスを有効活用するためのシュミレーションとなるよう務めたい」と話しました。

情報戦略部会の山下修平さんは、諸外国における総合競技大会時の村外サポート体制について説明。オリンピックなどの総合競技大会では、アメリカ、オーストラリア、シンガポール等が村外サポート拠点を設けており、自国のナショナルトレーニングセンターと変わらないサポートを現地で受けることができる環境を整えていることを紹介。「アジア大会で行うマルチサポートハウスの取り組みから、いい面悪い面を集約し、2012年ロンドンオリンピックへとつなげていくことが重要」と話しました。

医学サポート部会の土肥美智子さんは、アジア大会での医学サポート体制を紹介。科学サポート部会の杉田正明部会長は、サッカーワールドカップに帯同しサポートした「高地(低酸素)環境でのサポート」について、石井好二郎さんからは、「暑熱環境でのサポート」についてお話いただきました。

第二部は、「2012ロンドンに向けたシミュレーション」と題したパネルディスカッション。マルチ・サポートの支援を受けている柔道、トライアスロン、トランポリンの強化スタッフとバンクーバー冬季オリンピック時に日本スケート連盟が設置した村外拠点「スケートハウス」を活用した結城匡啓さん(科学サポート部会副部会長)をパネリストに迎え、現地拠点の理想的なあり方や利用方法について、活発な意見交換が行われました。

柔道の木村昌彦・NTC専任コーチングディレクターは、1988年ソウルオリンピックの時以来、全日本柔道連盟が独自で現地サポート拠点を設置してきた事例を紹介。情報、医学、科学サポートが充実し、現場がそれらのサポートを上手く活用できたのはアテネオリンピックの時で、実際に8個の金メダルを獲得するなど結果に結びついたと話しました。トライアスロンの飯島健二郎・日本代表監督は、「サポートスタッフが常に合宿から帯同し、仲間という位置づけになったことで、信頼が生まれた。サポートを取り入れる勇気も必要だと感じられるようになった」といい、試合だけでなく合宿から帯同してもらったことが有効だったと説明しました。

またトランポリンの福井直哉・専任コーチングディレクターは、大会で調子を落とした選手にどう接して良いか迷った時に、帯同していたマルチ・サポートの心理スタッフによる専門的なサポートを受けられたことを話し、総合的なサポートが今では欠かせなくなっていると話しました。また結城さんは、「科学の分野から予測したものを、実際に現場がやってみて結果に結びつくというサイクルが出来ると、信頼につながっていきます。その地道な繰り返しが大切です」とサポートスタッフと現場のあり方について紹介しました。

4パネリストとも、ロンドンオリンピックに向けて現場と医・科学・情報スタッフが『TEAM Japan』として結束するためには、信頼関係を築くことが大切だと、結論。最後にコーディネーターを務めた情報戦略部会の久木留毅部会長が、「2012年ロンドンオリンピックで『TEAM Japan』として成果をあげるためには、JOC、JISS、各競技団体、そして文部科学省がそれぞれの役割を認識した上で協力・連携していくことが重要」と総括し、有意義な会を締めくくりました。

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