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2011.03.01 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明

2月25日、JOCが進めているトップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の事業として、ロンドンオリンピック・ソチ冬季オリンピックを目指す選手6名が、114社146名の企業役員等の前で、就職先を見つけられない状況を説明し、それぞれが企業のために貢献できることを話した上で、支援を求めました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
あいさつする市原専務理事(写真提供:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
あいさつする荒木田理事 (写真提供:アフロスポーツ)

市原則之JOC専務理事は「トップアスリートの活躍は国民、特に子どもたちに大きな夢や希望を与えてくれます。一方で、トップアスリートでもなかなか就職できず将来の生活に対する不安を抱えているのが現状です。JOCとしては、選手たちの雇用をサポートしていかなければならないと考えております」と、アスナビを始めた経緯を説明。荒木田裕子JOC理事は「日本のトップスポーツは企業に支えられてきましたが、バブル経済の崩壊後、企業のスポーツに対するニーズが変化し、スポーツを企業理念と結びつけ強化に取組む企業と、休廃部により撤退に向かう企業の二極化が進んでいます。結果、多くの選手が職や支援を失い、競技生活を断念、または就職活動との同時進行を余儀なくされ十分な練習時間の確保に苦労しています。今日は、『アスナビ』で雇用が決定した選手1名と、就職先を探している選手5名が集まっており、アスリートの生の声を聞いていただきたいと思います。また就職支援を希望する18競技団体33名の選手の資料も配布しました」と、支援を求めました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
竹下百合子選手 (写真提供:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
家根谷依里選手(写真提供:アフロスポーツ)

登壇した選手は6名。キッコーマン株式会社に内定している竹下百合子選手(カヌー/スラローム)は「就職が不安で練習に集中できない時期もありましたが、今回キッコーマンに内定したことで、競技に打ち込めるようになりました。結果を残すことが恩返しになると思って頑張ります。たくさんの選手が支援を待っているので、そのモデルになれるよう頑張りたいと思います。ご支援ありがとうございます」と、感謝の気持ちを述べました。

残る5名は、就職先を求めての自己紹介。114社の企業役員等を前に緊張しながらも、それぞれの思いを語りました。

■家根谷依里選手(スキー/スノーボード・アルペン)
「冬の競技は海外での練習など資金繰りが難しく、私自身は配膳のアルバイトをしながら競技を続けてきました。次のオリンピックでメダルを獲得するためには集中して練習する環境が必要だと考えています。もしご支援いただければ、企業の方にメリットを感じていただけるよう、責任と自覚を持って目標達成に向けて頑張ります」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
上山容弘選手(写真提供:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
朝日健太郎選手(写真提供:アフロスポーツ)

■上山容弘選手(体操/トランポリン)
「競技を通して、自分自身と向き合い、目標を達成するためのプロセスを学びました。それが北京オリンピック出場や世界選手権個人総合男子で4回連続メダルを獲得し世界新記録樹立に繋がったと思います。これまで、子どもたちを対象にしたトランポリン教室や小学校での講演会などスポーツの振興やトランポリンの普及に関わってきました。支援いただいた企業でも社会貢献活動に協力していきたいと思います」

■朝日健太郎選手(バレーボール/ビーチバレー)
「6人制バレーの時はサントリーにお世話になりました。この経済状況が悪い時代に私たちが企業のために出来ることは、社会を元気にさせることです。皆様方は『企業活動が社会を豊にする』という理念で活動されていると思いますが、スポーツを通じて社会を元気にする気持ちで、選手を応援していただければと思います」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
森ゆかり選手(写真提供:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京商工会議所で114社に対し、6名の選手が実情を説明
武田奈也選手(写真提供:アフロスポーツ)

■森ゆかり選手(ライフル射撃/ピストル)
「ピストル競技には自衛官の時代に出会いました。結婚して主婦に専念しようと考えましたが競技熱を冷ますことが出来ず、就職しないまま復帰しました。2010年の世界選手権で4位となりロンドンオリンピックに内定しています。メダル獲得のために、不安要素のない環境で競技に専念できればあり難いです」


■武田奈也選手(スケート/フィギュアスケート) 
「いまフィギュアスケートは人気があり、スケート場を個人貸切するか海外に行かないと練習ができないのが現状です。早稲田大学卒業後も、ソチ冬季オリンピックや世界選手権出場を目指し競技を続けたいと思っているので、ご支援よろしくお願いいたします」

東京商工会議所の岡村正会頭からは「詳細な契約形態などは、どのようなものを希望されていますか」と質問があり、荒木田理事が「オリンピックまでは毎日の出勤は難しく、練習に集中できればと思います。またスポーンサードではなく、引退後も雇用を継続し、選手が企業に貢献していく雇用関係を望んでおります」と説明しました。

この「アスナビ」では昨年10月14日に経済同友会に協力を仰ぎ、43社に対する説明会を開催。それを受けて、水泳/競泳の古賀淳也選手が「第一三共株式会社」と雇用契約を締結、水泳/競泳の上田春佳選手とカヌーの竹下百合子選手が「キッコーマン株式会社」に、フェンシグの下大川綾華選手が「テクマトリックス株式会社」にそれぞれ内定をいただいています。

「アスナビ」は、JOCゴールドプラン委員会/スポーツ将来構想プロジェクトの「指導者・選手の環境整備ワーキンググループ」を中心に進めてきた就職支援プロジェクト。JOCは今後も、企業と選手のマッチングを行うべく「アスナビ」による支援を行っていきます。

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