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2023.04.17 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
登壇してプレゼンを行った7選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
岩渕健輔JOC理事(上)、柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクター(下)(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は4月6日、日本工業倶楽部で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまで219社/団体367名(2023年4月6日時点)の採用が決まりました。今回の説明会は公益社団法人経済同友会との共催で行われ、43社64名が参加しました。

 最初に主催者を代表して岩渕健輔JOC理事が、アスナビ説明会が開催されることへ感謝の言葉を述べました。続けて、JOCでは選手の強化活動サポートはできている一方、選手個別の生活基盤までは手が回っていないことを伝えて、「個人競技にしてもチーム競技にしても、選手たちは生活基盤や経済基盤など、色々な環境が整うことで最大のパフォーマンスを発揮できますので、皆様にはTEAM JAPANの一員となって、アスリートと一緒に前に進んでいける関係を構築していければ」とアスリートの採用を呼びかけました。

 続いて、柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがアスナビの概要をスライド資料をもとに紹介。アスナビが無料職業紹介事業であることや登録するトップアスリートの概略のほか、就職実績、雇用条件、採用のポイント、アスリート活用のポイント、カスタマーサポートなどを説明しました。

 その後、就職希望アスリート7名がプレゼンテーションを実施。映像での競技紹介やスピーチで、自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
伊藤桜選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
山本稜弥選手(写真:アフロスポーツ)

■伊藤桜選手(バレーボール/ビーチバレーボール)

「私は小学2年生からバレーボールを始め、高校ではレギュラーとしてプレーしましたが、全国大会への出場は叶いませんでした。しかし、高校3年生の時に出会ったビーチバレーボールに魅了され、より良い環境を求めて産業能率大学へ進学しました。ビーチバレーボールは、監督がいないという独特のルールがあるため、自ら戦術を考え、ペアとお互いが選手兼監督という立場で挑みました。その結果、大学1年時には、日本のトップ選手が参加するジャパンツアー沖縄大会で準優勝。大学3年時には、全日本大学選手権で優勝など好成績を残すことができました。その中で、相手に合わせた柔軟な対応、ペアの良さを引き出したりと、コミュニケーション能力を深めてきました。企業の皆様にご採用いただけたら、コミュニケーション能力を生かし、積極的に交流を図り、自分の活躍や行動で貢献したいと考えています。私の目標は、2028年のロサンゼルスオリンピックに出場し、メダルを獲得することです。周りの方へ感謝を忘れず、無名だった私が世界で挑戦する姿を見ていただき、多くの方に勇気と感動をもたらす選手を目指します」

■山本稜弥選手(トライアスロン)

「大学でトライアスロンに出会い、1年秋から本格的に始め、国際大会の標準記録を突破して日本トライアスロン連合のタレント選手として認定されました。幼少期から競泳の経験があり、スイムに関しては当初からある程度勝負できる力がありましたが、バイクとランに関してはほぼ初心者でした。しかし、トライアスロンに必要な徹底した自己管理力に注力し、日々の課題に取り組んで進化し続けてきました。トライアスロンは3種目あり、計画を練り、着実に実行する力や膨大なトレーニング量を課す必要があります。しかし、競技を始めてから一度も怪我や体調を崩すことなく、日常生活でもオンとオフの切り替えやケアの習慣化など、自己管理を徹底してきました。この自己管理能力が私の一番の強みであり、仕事にも活かせると考えています。現在はトライアスロンを通じて、地域に向けたスポーツ振興や健康増進活動を行うクラブチームで活動しています。子供たちに対する指導や活動を通じて、人との信頼の築き方や発信する意義、賛同を得られた時の達成感などを学んできました。私は一社会人として、誰からも信頼され、誠実な人物を目指しています。皆様の企業にご採用いただきましたら、この信念を貫き、誰からも応援される選手として社員の皆様の一体感の醸成に貢献したいと考えています。そして、仕事と競技を両立させながら、日本選手権で表彰台、世界戦での活躍、オリンピック出場へ着実に進化を遂げていきたいです」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
衣笠乃愛選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
元木咲良選手(写真:アフロスポーツ)

■衣笠乃愛選手(バレーボール/ビーチバレーボール)

「私は小学2年生の頃から母親の影響でバレーボールを始め、中学校・高校と強豪校に入学しましたが、全国大会ではトップの成績を残すことができませんでした。その後、トレーニングの一環として、ビーチバレーボールに出会いました。高校3年生の時にマドンナカップで優勝を成し遂げ、国体の東京代表として出場して初代チャンピオンになりました。大学ではビーチバレーボールとバレーボールの両方をやることを条件に、明海大学に入学しました。3年時にはビーチバレーボールの大学選手権で準優勝し、9月にブラジルで行われた世界大学選手権に日本代表として出場しました。そこで、もっとビーチバレーボールをやりたい、強くなりたい、2028年のロサンゼルスオリンピックに出場したいと思うようになりました。ビーチバレーボールはまだ日本ではマイナーなスポーツですが、私は日本の皆さんにもっとビーチバレーボールを知っていただきたいと思い、SNSで投稿を始めたところ現在フォロワー数が3.7万人になりました。今年度からビーチバレーボール協会のPRモデルとして活動することになりましたので、これからも普及に貢献していきたいと思います。皆様の企業に採用していただけましたら、持ち前の明るさとスポーツと学業を両立することで培った行動力を仕事でも発揮し、全力で頑張ります」

■元木咲良選手(レスリング)

「私は3歳の頃、父親の影響でレスリングを始めました。大学に入った頃から成績を残せるようになり、昨年は全日本選抜選手権で優勝し、世界選手権では3位に入賞しました。12月に行われた全日本選手権でも優勝し、パリオリンピックの金メダルに一歩近づくことができたと思っています。とはいえここまで順風満帆ではなく、大学2年生の時に膝に大怪我を負い、約8か月間も実戦から離れた経験があります。初めは焦りと不安から落ち込んでいましたが、多くの方から励ましの言葉をいただき、精一杯できることに集中するようになりました。この経験から、物事を前向きに捉えることが大切だと気づきました。高校、大学では女子キャプテンを務め、姿勢や態度で周りに見本を示すことを心がけていました。キャプテンという立場は、責任感や自分を律する態度を学ぶことができ、自分を成長させてくれました。私は勝っても負けても決して驕らず、変わらずに接すること、応援してくださる方々への感謝の気持ちを忘れないことを心がけています。昨年の全日本選手権では試合を見た多くの方が感動し、涙を流してくださりました。その理由は、必死に挑む姿や闘志、一生懸命さに感情移入してしまうからだと言っていただけました。皆様の企業に採用していただけましたら、競技を通して培ってきた前向きに捉える力、責任感、人間性を活かして、精一杯業務と競技に取り組んでいきたいと思います。そして、オリンピックの舞台で日本、世界中の方々に感動や勇気、元気を与える試合をしたいと思います」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
野口彩陽選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
和田なつき選手(写真:アフロスポーツ)

■野口彩陽選手(バレーボール/ビーチバレーボール)

「私は父が元プロビーチバレーボール選手だった影響で、ビーチバレーボールは生活の一部として育ちました。そんな父があと一歩で叶えられなかったオリンピック出場という目標を叶えたいと思い、ビーチバレーボールを始めました。大学進学と同時に、ビーチバレーボールに本格的に取り組むため、日本代表選手を多く輩出している産業能率大学に入学しました。コロナ禍の影響で練習が制限される中、大学1年生ペアで出場した日本大学選手権で4位入賞。大学2年時は3位、大学3年時には学生チャンピオンになりました。2021年11月に行われた国内最高峰のトップツアーである沖縄大会では準優勝という結果を収め、東京2020大会代表にも勝つことができました。ビーチバレーボールはペアで行う競技であり、すべて二人で考え、戦わなくてはいけないので意見がすれ違うことが多々ありました。しかし、お互いにコミュニケーションをとり、気持ちを共有することで、数々の目標を達成し、競技4年目となった今、目標達成にコミットする力をつけました。皆様の企業に採用いただけたら、目標達成にコミットする力を発揮し、仕事もスポーツも一つひとつに目標を立てて結果を出せるようにしていきたいと考えています。そして、アスリートとして関わる全ての方へ感謝の気持ちを持ち、自信を持ってプレーし、父が叶えられなかったオリンピック出場という夢を必ず実現します。紹介動画、エントリーシート、今回のスピーチの中で一つでも興味を抱くものがございましたら、ぜひお声がけいただければと思います」

■和田なつき選手(パラ卓球)

「私は中学2年生の時に健康維持のために卓球を始めました。中学3年生になり、全国大会予選で大敗し、その悔しさから卓球に本格的に取り組むことを決意し、練習を始めました。しかし、コロナ禍による影響で練習時間が制限され、試合もなくなりました。この状況を機に、正しいフォームの習得や用具の変更、戦術の変更、減量など、様々な取り組みを行いました。その成果として、2021年6月に行われたジャパン・チャンピオンシップで、シングルス4位、ダブルス優勝。そして、昨年は6月の同大会でシングルス2位、ダブルス優勝、9月に年代別オープン10代の部で優勝、11月には初めての国際大会で女子ダブルス3位、ミックスダブルス優勝を成し遂げ、12月にパラID全日本卓球選手権大会でシングルス3位という好成績を残しました。現在は国内ランキング6位で、5位以内には世界ランキング保持者が名を連ねています。今後も更なる成長を目指し、国際大会に出場し、世界ランキングに挑戦したいと考えています。しかし、そのためには卓球の練習に専念できる環境が必要であり、ご支援いただける企業様の力が必要です。私は、ロサンゼルスパラリンピックを目標に掲げ、競技と仕事を両立しながら、日々努力を重ねています。競技に取り組むだけでなく、人としても成長していくことを目指しています。持ち前の明るさと粘り強さを生かし、競技と仕事を両立しながら、私自身も成長していきたいと思います」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
齊藤元希選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
株式会社ADワークスグループ 高場正能広報室長(上)、座談会を行う就職希望アスリート7名と小谷実可子JOC常務理事、経済同友会東京オリパラ2020レガシー検討PT の大西賢委員長(下)(写真:アフロスポーツ)

■齊藤元希選手(パラ卓球)

「私は、中学2年生でパラ卓球に出会い、障がいを持つ方がとてもいきいきしている姿に魅了されて競技を始めました。東京2020パラリンピックには出場することはできず、大きな喪失感、空虚感を味わうことになりましたが、現在はパリパラリンピックの出場、メダル獲得を目指して取り組んでいます。東京2020パラリンピック予選時の反省を活かして競技と向き合った結果、2022年11月に開催された世界選手権では、個人戦5位入賞、混合ダブルスでは9位という結果を残し、全日本選手権では三連覇を果たしました。パラスポーツに取り組むことで、私は障がいから自由になれる感覚を得ることができました。そしてそれは、私自身の私生活においてもとても良い影響を及ぼしています。今後は、同じ境遇にある障がいのある方々に寄り添いながら、自身のプレーを通して勇気や感動を与え、新たな一歩を踏み出すためのきっかけとなればと考えております。企業の皆様に採用いただけましたら競技において培った経験を活かして、どのような仕事でも積極的に取り組み、世界に挑戦していく選手への応援を通して社内の一体感を醸成し、メディア等の宣伝を通じて企業活動のお力添えをすることができればと思います。今後の競技目標として、パリパラリンピックの出場とメダル獲得、パラスポーツのより一層の発展に尽力してきたいと考えております。競技生活と仕事の両立は簡単なものではないと理解しておりますが、皆様にご支援、ご協力をいただきながら、一つずつ達成することができれば大変嬉しく思います」

 続いて、髙橋和生選手(競歩)を採用した株式会社ADワークスグループの高場正能広報室長が登壇し、アスリート採用の体験談を紹介しました。その中で高場氏は、社内のサポート体制として「Team KAZUKI」というサポートチームを結成し、広報、練習補助、応援企画を始めたことや、髙橋選手の会社での仕事内容等を具体的に語りました。また、髙橋選手の上司としてのマネジメント方針や採用のポイントやアスリートを採用することも社内への影響力も実例も交えて紹介。最後に、「髙橋選手が自社に来て、頑張ってこられて良かったと思ってもらえるようにサポートしていきたい」と語りました。

 体験談の終了後には、登壇した就職希望アスリート7名による座談会を実施。小谷実可子JOC常務理事、経済同友会東京オリパラ2020レガシー検討PT の大西賢委員長の質問に答える形で、7選手が自らの考えを述べました。説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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