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2022.04.11 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
プレゼンを行った5選手。左から倉菜々子選手、狩野央梨沙選手、小堀倭加選手、山下光選手、中村亮太選手
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
岩渕健輔JOC理事

 日本オリンピック委員会(JOC)は3月16日、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに211社/団体、341名(2022年3月16日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会は公益社団法人経済同友会との共催で行われ、13社19名が参加しました。

 最初に主催者を代表して岩渕健輔JOC理事が、経済同友会の支援のもとアスナビ説明会が開催されることへの感謝の言葉を述べました。続けて「アスリートたちが競技で結果を出すことは支援をいただける皆様にとっては大きなことだと思います。競技を離れてもここにいるアスリートたちはいろいろな形で企業の中、あるいは社会に対して力をしっかり発揮してくれると信じています。アスリートたちは当然、オリンピック・パラリンピックを目指して戦っています。ぜひとも皆様にはTEAM JAPANの一員となってスポーツとアスリートを支えていただきたい」とアスリートの採用を呼びかけました。


JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
大西賢委員長
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
株式会社久慈設計の久慈和也さん(左)と小西あかね選手(右)

 続いて、経済同友会東京オリンピック・パラリンピック2020委員会の大西賢委員長が「ぜひ会場の皆様にも盛り上げていただいて、彼らが自分をさらけ出せるような会にしていきたいと思います。また、アスナビはレガシーだと思っています。これをずっと応援し続ける経済同友会でありたいなと思いますので、ぜひ会員の皆様にはご支援をよろしくお願いいたします」と挨拶しました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、アスナビの概要ならびに、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを動画で紹介。さらに、資料をもとに雇用条件、夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート活用のポイント、採用後のカスタマーサポートなどを説明しました。

 続いて、採用企業の選手活用事例として、小西あかね選手(アイスホッケー)を採用した株式会社久慈設計の久慈和也取締役・経営企画室長が登壇しました。久慈さんは、小西選手が営業企画部に所属し、競技を行いながら週3日間、書類の作成や営業活動などの仕事をしていることを紹介。同社が採用に至った理由として、「経営理念である『一流の専門家集団作りによるお客様と社員、社員の家族の笑顔作り』とオリンピックを目指すアスリートも一流を目指す専門家で志は同じということから採用しようと決断しました」と語りました。

 また、アスリート社員を採用したことの効果として「広報誌発行などによる広報活動の増加」「メディア露出機会の増加」「競技活動レポートの回覧による社員のモチベーションアップ」「社員に誇りと一体感を持たせること」の4点を挙げました。このような効果について久慈さんは、「実際に小西選手の入社後は、新聞やメディアを通してアスリート社員の存在の大きさを感じ始め、同時に小西選手が発信するレポートなどを通じて社内で認知がどんどん進んでいきました。4年前の平昌オリンピックが一番盛り上がり、社内限定の応援イベントなどを通じて社員の一体感ができたのではないかなと思います。頑張っている自分と頑張っているアスリートを重ねてモチベーションに変えてくれたのではないかなと思います」と述べました。

 小西選手も登壇し、アスナビを利用した就職について振り返り「不安もたくさんありましたが社員のみなさんが応援や連絡をくれて自分の力になりました。家族のような存在になり、『この人たちの分も頑張らないと』という闘争心にもなりました。心が折れそうなときには応援してくれている人がたくさんいるという気持ちがあり心強かったです」と述べました。また、就職希望アスリートに向けて「今回は直接魅力を表現できるので、自分らしく頑張ってください」と、エールを送りました。

 その後、就職希望アスリート5名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介やスピーチで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
倉菜々子選手
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
狩野央梨沙選手

■倉菜々子選手(スポーツクライミング)
「高校3年生の時に初めてシニアの代表権を取り、W杯に出場することができましたが、ルートの強度や距離感、その国の環境に慣れることが大変で結果を残せませんでした。大学入学後、世界選手権出場が決まり、東京2020オリンピックの一次選考の大会でもあったので、結果を残したいという思いが強く、大学を辞める決断をしました。このような経験を経て、覚悟をもって臨んだ今年2月に行われたボルダリングジャパンカップで優勝することができました。今後は、パリオリンピック出場、メダル獲得を目指して頑張りたいと思います。私は10年間の競技経験を通して集中力や判断力を培うことができました。また、自分が得意ではないことであってもそれをやらなければ成功に繋がらないのであれば自分なりに工夫し、周りと協力しながら頑張ることができます。採用していただけましたら、このようなスポーツクライミングで身に着けた集中力や判断力を生かし、全力で仕事に取り組みます。周りの方々が応援したくなるような選手になれるよう、競技も全力で頑張ります」

■狩野央梨沙選手(フェンシング)
「私は、小学校1年生の時に父の影響でフェンシングを始め、オリンピックで金メダルをとることを目標に競技を続けています。難しい問題を抱えていたときに自分の強さに変えようとポジティブであること、どんな状況においても限られた時間の中で自分にしかできないこと考えて乗り越えてきました。その結果、2019年世界ジュニア選手権団体で日本人初の金メダル獲得を成し遂げ、現在はシニアカテゴリーでオリンピックに向けた選考レースへのチャンスを掴み取っています。また、私が競技を続ける上で最も大切にしていることの一つとして、『感謝の気持ち』があります。応援してくれている家族をはじめ、たくさんの支えがあり、競技を続けることができています。その方々に結果を出して報告した時に感じる喜びを企業の方々と分かち合いたいです。さらに、社会人としては競技で培ったことを活かして積極的に学ぶ姿勢を持ち、多くのことを吸収し成長していきたいです」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
小堀倭加選手
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
山下光選手

■小堀倭加選手(水泳/競泳)
「6歳から水泳を始め、高校1年生ではインターハイで400m、800mで二冠をとることができ、高校2年生からは、日本選手権ではずっと表彰台に登る成績を残しています。私の強みは忍耐力があり、物事を最後まで集中して遂行することができるところです。また、目標を達成するために、与えられたメニューを自分で工夫して取り組むことや、競技力向上のため自分に足りないところを見つけ、練習に励んできました。そして、昨年の日本選手権では、東京2020大会の派遣記録をクリアして入賞することができ、東京2020大会に出場し自己ベストを更新することができました。しかし、目標としていた決勝進出を果たすことができず、世界とのレベルの差を痛感しました。この悔しさが改めてオリンピックに出場し、世界に挑戦していきたいという覚悟となりました。今後は、社会人として感謝の気持ちを忘れず、選手としても人としても成長していき企業や社会に貢献していけるアスリート社員になりたいと思っておりますので、ご採用のほどどうぞよろしくお願いいたします」

■山下光選手(アイスホッケー)
「私は北京2022冬季オリンピックにアイスホッケー日本代表として初めて出場しました。また、初の決勝トーナメントに進出することができ、日本女子アイスホッケーに新しい歴史を作ることができました。アイスホッケーはチームスポーツのため、目標を達成するために幅広い年代の方と意見を言い合い、互いに役割を理解することが重要であると実感しました。そのため、企業に所属し、さらに幅広い年代の方と関わることは自分の考え方を広げることにつながるのではないかと思います。アイスホッケーを通して培ってきた私の強みを生かし、何事にも貪欲に取り組み、1人の社会人として企業、社会に貢献できるような人になりたいと思っています。4年後のミラノオリンピックでメダルを獲得するために海外にも挑戦したいと考えています。このタイミングで採用いただき、企業の皆様に応援していただき、ぜひ社員の代表として4年後のミラノオリンピックではメダルを獲得したいと強く望んでいます。どうぞよろしくお願いします」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
中村亮太選手
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会と説明会を共同開催
就職希望アスリート5名による座談会を実施

■中村亮太選手(パラ卓球)
「私は1歳8か月のときに神経芽細胞腫という病気になり、足に麻痺が残りました。中学校の卓球部の先生に『足が不自由でも卓球はできるよ』と声をかけていただいたのをきっかけに卓球を始めました。2019年に日本代表選手に選出され、初めて出場した日本開催の国際大会で世界ランキングを獲得し、現在の世界ランキングは36位です。シングルスではベスト8、団体戦では3位に入賞しました。現在の目標は2024年のパリパラリンピックに出場することです。また、選手としてではなく社会人として、健常者と障がい者が共存して過ごせる社会作りに貢献したいと考えております。まずは会社の一員として、私のプレーする姿を多くの方々に見ていただき、障がいを持っていてもできることはたくさんあると感じていただきたいと思います。また、引退後は障がい者と健常者が共存して過ごせる社会作りの推進、海外との交流を深め、今まで培ってきたコミュニケーションを生かし、会社や仕事に貢献していきたいと考えております。採用のご検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします」

 プレゼンテーション終了後には、就職希望アスリート5名による座談会を実施。進行を務めた大西委員長の質問に答える形で、5選手それぞれが自らの考えを述べました。

また、説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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