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2019.07.31 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
プレゼンを行った8選手。左から村山健太郎選手、谷健友選手、坪内紫苑選手、バティヴァカロロ・ライチェル・海遥選手、太田こころ選手、溝口友己歩選手、傳田英郁選手、佐藤錬選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
星野一朗JOC理事(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は6月17日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに179社/団体280名(2019年6月17日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明は東京都との共催で行われ、42社62名が参加しました。

 最初に主催者を代表して星野一朗JOC理事が挨拶に立ち、アスナビを通じて採用されたアスリートの活躍について「真に強いアスリートは自分のために競技をするのではなく、誰かに応援され、愛されることで自身の限界を越える力を出せるのだと思います。彼らは企業に雇用され、応援してくれる社員の皆さまと一緒にチーム一丸となることで、これまで勝てなかった対戦相手に勝ったり、破ることのできなかった記録を更新するなど、力を発揮できるのだと信じています」と述べると、「東京2020大会まで403日と迫ってきました。そして2022年北京オリンピックへも残り966日とカウントダウンがはじまっています。今日は3年後の北京オリンピック、そして2024年のパリオリンピックを目指すアスリートが登壇します。ぜひ彼らの可能性の一端を我々とともに担ってもらえれば幸いです」と、アスリートへの支援を訴えました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
東京都オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部事業推進課の清水俊二郎課長(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
西崎哲男選手(左)、株式会社乃村工藝社事業統括本部東京2020オリンピック・パラリンピック推進室の原山麻子執行役員室長(写真:フォート・キシモト)

 続いて、東京都オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部事業推進課の清水俊二郎課長が登壇。東京都が働く世代、子育て世代にもスポーツを楽しんでもらえるようにと行っている施策や、スポーツ活動を推進している企業を紹介しました。また参加企業に向けて「約3ヵ月後の9月20日にはラグビーワールドカップが開幕します。そして、いよいよ来年には東京2020大会が開催されます。ぜひ大会を一緒に盛り上げられるように、アスリート支援に皆さまの力を貸してください」と、採用を呼びかけました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、動画を用い、アスナビの概要と、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを紹介。さらに資料をもとに夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技などを説明しました。また、アスナビチームが実施しているアスリート採用企業同士で選手の処遇や社会人としての育成方法などを共有するために実施している情報交換会の事例が語られました。

 続いて、株式会社乃村工藝社の事業統括本部東京2020オリンピック・パラリンピック推進室で執行役員室長を務める原山麻子氏と、同社所属アスリートで2016年リオデジャネイロパラリンピックのパラ・パワーリフティングに出場した西崎哲男選手が登壇。採用に至った経緯、会社内でのトレーニング施設の設置やアスリートと社員の競技体験を通じた交流や応援体制などの取り組みが語られました。原山氏は「西崎選手を採用してから競技体験会などを通じ社内で横のつながりが生まれ、部門間のコミュニケーションがスムーズになりました」と、アスリート採用の有用性を述べました。また西崎選手がアスリートへ「企業に採用が決まったら、その時の感謝を忘れずに競技を続け、試合に勝った時や記録を更新した際には応援してくれた社員のおかげだと思い、また負けたり、記録が伸びない時は自分の責任という謙虚な気持ちを忘れずに、社会人として、アスリートとして成長してください」と、メッセージを送りました。

 最後に、就職希望アスリート8名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
村山健太郎選手(左)、バティヴァカロロ・ライチェル・海遥選手(写真:フォート・キシモト)

■村山健太郎選手(フェンシング)
「私は両親の勧めでフェンシングを始め、今年で9年目になります。大学では興味のあったデザインを専攻し、競技だけでなく学業にも力を入れて文武両道を貫いた結果、東京大学のフェンシング部からジャージのロゴ作成を依頼されるなどの成果を残せました。また、競技で成績を残していくことで自信が持てるようになり、授業で行われるプレゼンテーションや、ディスカッションの場でも臆することなく自分を表現できるようになりました。私はどんな環境下でも全力で取り組むことによって、オリンピックでメダルを獲得し、社会においても実力を発揮することを誓います。今後は社会人として、競技者として、今まで支えてくれた両親、企業の方に恩返しをしたいと思っています。これらかも強い信念を持って、フェンシングだけでなく、全ての課題に全力で取り組んでいく覚悟でいます。採用のご検討よろしくお願いします」

■バティヴァカロロ・ライチェル・海遥選手(ラグビーフットボール)
「私は5歳の時に父の影響でラグビーを始めました。父から『やるからには1番を目指しなさい』と言われ、どんな練習でも1番を目指して努力し続けた結果、高校3年生の時には日本代表に選ばれることができました。しかし、初めて出場した国際大会はスピード、フィジカルともに海外の選手と大きな差を痛感するものでした。そこで大学進学後はウェイトトレーニング、スピードトレーニングなどを重点的に行ってきました。そのおかげで2018年に行われた世界5カ国を転戦しながら世界一を決めるワールドシリーズで、大会出場全選手の中からベスト7に選ばれることができました。これは日本人選手として初の快挙でした。私はラグビーを通して技術や強さだけではなく、仲間を思いやり、相手を尊重することの大切さや、何事にも諦めずに強い気持ちを持って高みを目指すことの大切さを学びました。私を採用いただけましたら、社員の皆さまと一緒にどんな仕事も最後まで諦めずにやり遂げ、強い信念を持ち続けることの大切さを体現したいと思っています」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
溝口友己歩選手(左)、坪内紫苑選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
傳田英郁選手(左)、太田こころ選手(写真:フォート・キシモト)

■溝口友己歩選手(陸上競技)
「私は中学2年生の時に陸上部の先生に教えてもらったことをきっかけに競歩をはじめました。高校時代にはインターハイ5000m競歩において3年連続入賞、3年生の時には優勝することができました。大学進学後は競技力向上のための勉強をしながら、競技に打ち込んできましたが、順調に記録を更新してきた高校時代と違い、怪我や調子が上がらない苦しい時期がありました。しかし、上手くいかず悩んでいた時に、大学で学んだPDCAサイクルをトレーニングに用い、計画、実行、評価、改善を繰り返すことで、全ての行動に明確な目的を持ち、丁寧に取り組むことができるようになり、大学時代に4度の記録更新ができました。これらの経験から社会人になった後も、問題に直面した際には柔軟に対応し、乗り越えることができると思っています。また、私には決めたことをやり続ける継続力、目標に向かって考える行動力という強みがあります。これまで培った能力で企業に貢献できるように頑張ります」

■坪内紫苑選手(ビーチバレーボール)
「ビーチバレーボールではプレー中にコーチからアドバイスをもらうことができません。私は高校時代に自主性を大切にする佐伯美香コーチの下で、自ら考えて行動する力を身につけました。また、私の強みはどんなことがあってもくじけない心の強さと向上心です。社会人になると大きな壁にぶつかることもあると思います。しかし、どんなことにも決して屈せず、企業のために自らも成長しながら頑張れると信じています。そして競技では、目標である2024年パリオリンピックで表彰台に立ちたいと思います。必ず目標を叶え、企業のイメージアップや士気向上に貢献しますので、採用のご検討よろしくお願いします」

■傳田英郁選手(スキー・ノルディック複合)
「私は競技生活を通じて2つの大きなことを学びました。1つは『もう無理かな』と思い、体が動かなくなってしまった時でも『もう1回行ける』と自分を鼓舞し、諦めずに続ける継続力。もう1つは努力を怠らないということです。スキーという競技は練習をしたからといって結果がすぐに出る競技ではありません。本当に必要なことは何かを見極め、努力し続けることが大事です。私の目標はオリンピック、世界選手権でのメダル獲得です。目標達成のためには多くの方の支援が欠かせません。スキーは個人競技と言われていますが、皆さんの支援があるからこそ、成績を出せると信じています。競技を通じた挫折や成功体験、また達成意欲や何事にも粘り強く取り組む姿勢を大切にしながら、競技と業務の両立を図っていきます」

■太田こころ選手(アイスホッケー)
「私は中学3年生から高校3年生までU-18アイスホッケー代表に選ばれ、高校3年生の時にはキャプテンを務めました。この4年間を通して、チームの中で自分の意見を発言する勇気と責任感を学びました。小さい時から思ったことを伝える性格でしたが、自信を持ててはおらず、周りにどのように伝わっているか不安に思うことが多くありました。しかし、チーム状況が悪い時には、キャプテンとしてこのままではいけないと思い、具体的かつ分かりやすい言葉でチームを鼓舞してきました。昨年はフル代表の合宿に呼ばれましたが、その際もコミュニケーションを上手く取ることができました。私は働く上で当たり前のことを当たり前以上に行い、これから関わる方の心に寄り添えるような、そして、より良いチームを作れるような社会人になりたいと思っています。企業の皆さまや支えてくれる方々に感謝を忘れず、会社に貢献していきます」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
谷健友選手(左)、佐藤錬選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
説明会終了後には選手と企業関係者が名刺交換などで交流を深めました(写真:フォート・キシモト)

■谷健友選手(競泳)
「私は大学4年生の時にギランバレー症候群を患い、手足に力が入らなくなってしまいました。しかし、諦めずトレーニングを続けた結果、再び競技に復帰することができました。どん底の状態からはい上がれたのは仲間たちの支えがあったからです。この辛い経験を通じ、これまで競技を続けてこられたのは周りの人たちのサポートがあったからだということに気づきました。企業の皆さんから応援していただけることで限界を突破できると信じています。また、競技を続けることで病気で苦しんでいる人たちの励みになれればと思っています。これからも競技に、業務に諦めずベストを尽くしますのでよろしくお願いします」

■佐藤錬選手(トライアスロン)
「私はトライアスロンを通じて学んだ最後まで諦めないこと、努力を惜しまないという2つのことを大切にしています。そして、この競技を通して多くの方に感動や勇気を与えられる選手になりたいと考えてきました。現在はナショナルチームに所属し、東京2020大会への出場、2024年のパリオリンピックでのメダル獲得を目標に活動しています。ぜひオリンピックを一緒に目指していける企業の下で働き、夢に向かって努力し続ける姿勢を継続し、向上心を持って競技に取り組む姿勢を社員の皆さまに見せることで、会社を盛り上げたいと思っています」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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