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2018.05.22 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
プレゼンを行った6選手。左から矢島選手、大久保選手、宍戸選手、辻村選手、佐久間選手、石川選手(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は5月10日、東京都千代田区の経団連会館でトップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに148社/団体220名(2018年5月10日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会は、日本経済団体連合会(経団連)の会員企業/団体を対象に行われ、63社95名が参加しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
平岡英介JOC副会長兼専務理事(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
経団連の井上隆常務理事(写真:フォート・キシモト)

 最初に主催者を代表して、平岡英介JOC副会長兼専務理事が挨拶に立ち、8年目を迎えたアスナビではこれまでに220名のアスリートが企業に就職し、うち19名が平昌オリンピックに日本代表選手として出場したことを報告。それらの実績を踏まえ、「今日は6名のアスリートが新しい環境を求め、皆さんの前でプレゼンテーションをさせていただきます。スポーツを極めた選手たちは非常に色々な経験をしています。厳しい練習をし、自分で課題を見つけ、それを分析して解決する。それを繰り返した上でその競技のトップに上がっていくわけです。これは会社の中、あるいは色々な分野でも同じことだと思います。そうした人間性をしっかり持ったアスリートたちですので、ぜひともよろしくお願いいたします」と、さらなるアスリート支援を請いました。

 続いて、経団連を代表して井上隆常務理事が挨拶。経団連では企業によるスポーツへの貢献、東京2020大会の成功へ向けて様々な取り組みを行っており、その中でもアスリートの雇用、セカンドキャリア形成の支援を重要課題としていることから、「アスリートと企業の間で非常に良い関係が生まれていることを実感しています。企業の皆さまにはぜひ、アスリートへの支援という視点のみならず、スポーツを通じて彼らが得た力を会社の発展の力に活用していただくという視点も踏まえまして、採用をご検討していただければと思います」と、参加企業に呼びかけました。

 次に中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、資料をもとにアスナビの概要を説明。夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート採用後の雇用形態や給与水準、勤務スケジュール、選手活用企業のポイントなどを紹介しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
全日本空輸株式会社の國分裕之常務執行役員(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
太田雄貴日本フェンシング協会会長(写真:フォート・キシモト)

「アスナビ」採用企業の事例紹介では、全日本空輸株式会社(ANA)の國分裕之常務執行役員が登壇。ANAではグループ企業含め、アスナビを通じて採用した16名と内部認定1名、計17名の「社員アスリート」が在籍しており、応援体制やスポーツ教室での社員間交流、またアスリート同士による応援・サポートなどを紹介しました。
 その中で、社員アスリートがもたらす効果として、ANAの行動指針である『努力と挑戦』を社員アスリートを通して体感し、自分も頑張ろうという機運が醸成されることや、アスリートを応援する輪が広がり、ANAグループ全体のさらなる一体化の促進、結束力の強化が図れていることを報告。その一方で、グループ全体での試合の応援体制・盛り上げ、いかに仕事を通じて成長機会を設けていくかなどを現状の課題として挙げた國分常務執行役員は「ダイバーシティの根源は個を尊重すること。アスリートを迎えることによって、ダイバーシティの具体的な取り組みが実現できています。ただ、個の尊重といっても言葉が一人歩きして、いったいどういうことか分からなかったこともありましたが、アスリートと向かい合い、応援することで、個の尊重というものが分かったかなと思います。ですので、これからもアスリート採用を続けていきたい」と、引き続きANAグループはアスリート採用、支援を進めていくことを述べました。

 続いて行われたオリンピアンからの応援メッセージでは、フェンシングで2004年アテネ大会、08年北京大会、12年ロンドン大会、16年リオデジャネイロ大会と、オリンピック4大会連続出場を果たし、08年北京ではフルーレ個人で銀メダル、12年ロンドンではフルーレ団体で銀メダルを獲得した太田雄貴日本フェンシング協会会長が登壇。北京オリンピック後に森永製菓に入社した自身の経験から、オリンピック・パラリンピックを目指すアスリートを採用するメリットを説明しました。そのメリットとは、「メダリストになれば会社にとって大きな広告塔となり、たとえメダリストになれなくても社員として社業を頑張ってもらえる。つまり、皆さんにとっては勝ち試合なんです」と強調。その上で「アスリートが持っている理念と企業理念が合致すれば、ぜひ前向きに採用を検討していただきたい。アスリートは子供たちに夢を与える存在です。スポーツの力を信じて採用に前向きになっていただければと思います」と述べると、「アスリートが社員の会社は元気です」と力を込めて、応援メッセージを締めくくりました。

 最後に、就職希望アスリート6名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介で自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
大久保琳太郎選手(左)、矢島優也選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
宍戸美華選手(左)、佐久間滉大選手(写真:フォート・キシモト)

■大久保琳太郎選手(水泳・競泳)
「私は競泳の平泳ぎを専門としています。小学4年生のときに全国大会初優勝を経験し、それからは各年代の主要大会において常にトップレベルの成績を収めてきました。他のトップ選手たちと違い、私がこれまで行ってきたトレーニング環境は決して恵まれたものではありませんでしたが、それらの壁を乗り越えることで、自立性と適応性を身につけることができました。現在、私は2020年東京オリンピックのメダル獲得を視野に入れて、日々トレーニングを積んでいます。日本の平泳ぎは世界レベルの争いを繰り広げています。私はそのレベルの高い争いに挑戦し、4年に1度、そして人生においては1度きりになるかもしれない母国開催のオリンピックの切符を何が何でも手に入れたいと思っています。さらに社会人としても、目の前に困難なことがあってもポジティブに考え、日々研鑽を重ねることで達成できるということを、会社の仲間とともに実践していきたいと考えています」

■矢島優也選手(水泳・競泳)
「私のバタフライは、現在の主流である少ない抵抗でフラットに泳ぐ泳法とは大きく異なり、上下動を取り入れた大きな動きが特徴です。現在の日本のバタフライは世界大会でメダル争いができる高いレベルの選手が私を含め4名おり、私の自己記録は昨年の世界水泳決勝の5位相当となります。4月に行われた日本選手権では、初めてリオデジャネイロオリンピック銀メダリストに勝利することができ、また、初めて表彰台に上ることができました。毎年、私のレベルは確実に上がってきています。私には東京オリンピックに出場し、金メダルを獲得するという大きな夢があります。就職させていただいた際には、私が活躍する姿で社員の方々を活気付けることができればと思います。また、目標に向かって努力する力で、仕事面でも高い目標を設定し、企業に貢献できるよう努力いたします」

■宍戸美華選手(カヌー)
「私は小学校2年生のときにカヌーと出会い、現在まで15年間継続してきました。大学2年生のときには日本の大学代表選手として世界大学選手権に出場し、初めて決勝の舞台に上がることができました。しかし、目標としていたメダル獲得は達成できず、まだまだ世界との壁を実感しました。そこで私は、大学2年生の2月から3月にカヌー強豪国であるオーストラリアに約50日間、単身武者修行に行きました。そして、改めて確信できたことがあります。それは、私はカヌーが好きだという気持ちです。また、絶対に大好きなカヌーでオリンピックに行くと、改めて強く思うことができました。オリンピック選手になるという夢は、現在、明確な目標へと変わっています。この目標の実現に向けて、ともに戦い、サポートしてくださる企業を探しています。採用企業の仕事場の士気向上や認知度アップに貢献できるよう、お仕事のときも笑顔と努力で精一杯頑張らせていただきます」

■佐久間滉大選手(陸上競技)
「陸上競技の走幅跳をしています。私は失敗を恐れず、果敢に挑戦できる強さがあります。高校生のときには高校日本一にもなり、ダイヤモンドアスリートに選ばれました。ダイヤモンドアスリートとは、東京オリンピックで活躍が期待できる選手10人ほどが選ばれるのですが、その中の1人になりました。ダイヤモンドアスリートのプログラムではグローバルに活躍する上での基礎を学び、競技にも仕事にも生かしていきたいと考えております。また、挑戦することで学びを増やし、仕事においても積極的に取り組むことによって企業に貢献したいです。東京オリンピックの参加標準記録まで、あと33センチです。世界ジュニア選手権では5位とメダルが取れず、とても悔しい思いをしました。なんとしてでも東京オリンピックに出場し、結果を残したいです。2020年の東京オリンピックまで競技を続けられる環境とご支援のほど、よろしくお願いいたします」

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
石川周平選手(左)、辻村真貴選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
説明会終了後には選手と企業関係者が名刺交換などで交流を深めた(写真:フォート・キシモト)

■石川周平選手(陸上競技)
「私の専門競技は110メートルハードルで、今年で8年目になります。私の強みは課題を発見できることと、課題を解決するために行動できることであると思います。課題発見や解決を繰り返してきた自身の経験や、チームメートと協力しチーム運営をしてきたことは、競技面だけでなく、社会人として仕事をしていく上で大きな強みになると確信しています。110メートルハードルは昨年の世界選手権において、フルエントリーとなる3名が出場している種目です。私は昨年、自己ベストを0.21秒更新しており、オリンピックの参加標準記録まであと0.19秒と迫っています。このハードルを越え、日本人として初めてのオリンピック決勝進出、さらにはメダルを獲得するためには競技と仕事が両立できる環境が必要です。競技をする姿を通して、企業の皆さまに活力を与えるとともに、企業を代表する働くアスリートになりたいと思っています」

■辻村真貴選手(ゴールボール)
「この競技を始めたきっかけは、高校に入学してすぐ、たまたま人数あわせのために始めました。その後、この競技の面白さや奥深さを知り、真剣に競技に取り組むことを決意しました。日本ゴールボール男子チームはまだパラリンピックに出場したことがありません。2020年の東京パラリンピックが初出場となります。東京に向け練習や研究を重ね、私自身の競技力、チーム力を高め、東京でメダルが取れるように努力していきます。私はゴールボールと出会ったことで、目標を持ち、成長することができました。今の私の目標は2020年東京パラリンピックで活躍し、ゴールボールという競技を多くの方に見てもらい、広めていきたいと思っています。応援していただける企業がございましたら、競技と業務をしっかりと両立させ、良い結果で企業に恩返しができる人間になれるよう努力していきます。常に笑顔で前向きに頑張っていきます。ご支援のほど、よろしくお願いいたします」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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