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2004/12/20
「スポーツ仲裁シンポジウム〜アスリートの権利擁護のために」開催

12月14日(火)16:00から、大手町の日経ホールにて、「スポーツ仲裁シンポジウム〜アスリートの権利擁護のために」が日本スポーツ仲裁機構(JSAA)、日本経済新聞社の主催、(財)日本オリンピック委員会、(財)日本体育協会、(財)日本障害者スポーツ協会、日本スポーツ法学会、日本オリンピアンズ協会の後援で開催された。

第1部では、日本スポーツ仲裁機構機構長・道垣内正人氏(弁護士、早稲田大学法科大学院客員教授)による講演「JSAAの仲裁と現在までの活動状況について」が行われた。昨年発足したJSAAの目的は「適正・公平・迅速に紛争を解決し、選手に本来すべきスポーツ活動をしてもらうことである」との話の後、これまでに処理を行った5件の仲裁案件について、どのような仕組みで行われたかという説明があり、さらに、5件の案件以外に、選手からの申し立てを取り次いだ段階で、一方の当事者である競技団体側が改めて決定を見直して解決した事例を上げ、JSAAの間接的な効果にもふれた。

続いてJSAA仲裁人幹事・小寺彰氏(東京大学大学院総合文化研究所教授)による講演「スポーツ仲裁のケーススタディ〜現代的意義と今後の課題」が行われた。ケーススタディとして、2004年6月の日本馬術連盟選手選考の案件を取り上げ、申し立てから判断に至る経緯や判断の基準などについて説明。その後、仲裁の効果、世界的に拡大しているスポーツ仲裁の背景、JSAAの役割の認知、スポーツ基本法の制定とスポーツ仲裁の法的位置づけ、スポーツ法学の振興といった今後の課題で締めくくった。

第2部はパネルディスカッション「アスリートの権利擁護のために」が行われた。
パネリストは、選手の立場からアテネ大会アーチェリー男子個人銀メダリストの山本博選手と、競泳女子200m平泳ぎ4位の田中雅美選手、指導者の立場からシンクロナイズドスイミング日本代表監督井村雅代氏と、体操北京大会強化委員会・新体操強化本部長山崎浩子氏、JSAAから前述の小寺彰氏の5名。コーディネーターをスポーツライターの青島健太氏が務め、活発な意見が交わされた。

はじめに、数回の大会で選手が絞り込まれるアーチェリー、1回の選考会での順位とタイムで決定される競泳、審判員のみで選考されるシンクロナイズドスイミングなど、選考方法や競技性の違いが上げられた。特に採点競技の選考の難しさについては、採点の内容は仲裁の対象にならないことから、選考方法や選考理由は公表されるほうがいいのではないかという小寺氏のコメントがあった。

さらに選手側からは、選考となる試合の早い段階での情報入手、事前説明の重要さなどの要望、またジュニアの育成面で国際大会への評価基準をどうするべきか、逆に選手の年齢制限については、年齢に関係なく体力と技術と精神力の強い人が勝つのが当然という井村監督のコメントの後、これまで年齢に関する仲裁の例はないが、あるとすればその基準自体に合理性がないという小寺氏の話があった。

最後に、JSAAへの今後の期待として「選手選考などに関する選手と競技団体との紛争に関しては、まず紛争の当事者同士が話し合うこと。申し立ては最後の手段。申し立てたとしてもいがみ合いではなく相互理解の方法と考えてほしい」(山崎浩子氏)、「選手がこれまで努力してきたことを、きちんと評価してもらうための機構と考えている」(田中雅美選手)、「選手が泣き寝入りしないでよくなった。機構はお守りのようなものという意味で、いい存在だと思う」(山本博選手)、「まず機構の活動と意義を広く理解してもらえるよう、社会全体が変わる必要がある」(井村雅代氏)などのコメントがパネリストから寄せられた。

○関連リンク
日本スポーツ仲裁機構     http://www.jsaa.jp/


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