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IOC評価委員会大阪視察 共同記者会見/副委員長単独インタビュー
視察期間:2月26日〜3月1日


国際オリンピック委員会の評価委員会が、2008年大会の招致都市の視察を開始した。北京に次いで大阪市を訪れた視察団は、環境や障害者スポーツの専門家を含む17名。連日のスケジュールを変更しながら大阪市の準備状況を確認し、最終日には最大級のコメントを残して次の視察地トロントへと旅立った。※視察レポートは5月中に作成され、7月13日のIOC総会で開催都市が決定される。


共同記者会見

誘致が実現すれば、 大阪の大きな遺産に

フェアブリュッゲン
 この4日間、午前中はワークセッション(会議)、午後からは視察を行いました。まずその感想を述べましょう。
 まず第一に、我々は市民の熱意を感じることができました。そして磯村市長のコメントにもあった「ココロ」という言葉が印象に残りました。第二に、施設などのインフラの整備が進んでいることを感じました。3分の2の施設がすでに完成しており、それらの既存施設の素晴らしさに感動しました。人工島の開発も素晴らしく、また、今後もさまざまな建設計画があるということも分かりました。関西国際空港の第二期工事もオリンピック招致に関係なく進められるということを確認しましたし、環境問題についても長野オリンピックのガイドラインに沿って進められているということが分かりました。そして何より評価委員会が重視した点は、2008年のオリンピック大会が誘致された場合、それが大阪にとって大きな遺産になるということです。
 また、東アジア競技大会や卓球の世界選手権などを招致できるのは、大阪がスポーツパラダイスであることを証明していると思います。三笠宮殿下や森首相ともお会いすることができ、日本政府としても大阪のオリンピック誘致を支援していると感じることができました。

―訪問前後での印象の違いは?
フェアブリュッゲン
 私は10年前に1度訪れたことがありますが、急速な発展を遂げており、非常なほど大きな違いに感銘を受けています。

―北京と比較して、地元の歓迎ぶりや市民の熱意は?
フェアブリュッゲン
 どちらも素晴らしい。

―北京と大阪の違い、最終選考に残る可能性、北京と大阪の共催の可能性は?
フェアブリュッゲン
 どちらの都市でも素晴らしい時間を過ごすことができましたが、我々はすべての都市の視察を終えてからレポートを作成すため、都市の比較については今はコメントできません。また、共催はあり得ません。

―大阪の欠点は? また、大阪に対するアドバイスは?
フェアブリュッゲン
 こうした質問が出てくることは分かっていますが、私たちは評価をするためにここに来ました。長所、欠点は5都市全部を見終わってからの話です。5都市とも開催都市となる資格があると判断されたということを理解してほしいと思います。

―バリアフリーという点について、シドニーと比べてどうか。
マックロー
 障害者スポーツにおいて、日本は世界の中でもトップの環境にあることをまず申し上げたいと思います。アクセスについても問題はないでしょう。

―約10年前、大阪でメタンガスが発生していることが分かりました。そして2010年までは北港で建物を建設しないほうがいいと言われました。その点はどう考えるか。
ボールダーストーン
この問題は、我々も承知しています。これまでの状況も、2008年の予想についても多くの情報をいただいていますので、環境面すべてについてレポートする予定です。

―大阪の競技場施設について変更の要求などの意見を提出したか。
エルフィンストン
 当初は予定になかった競技場も視察することができ、招致委員会に本当に感謝しています。
現状はオリンピック開催の条件を満たしていると思います。変更の要望はしていません。ただ、開催都市に決定した後、もっと優れた施設が出てきたら変更を受け付けることもあります。

―北京では3会場について変更の要求が出されたが。
フェアブリュッゲン
 競技場として実際に開催できるかどうか疑わしいと申し上げたまでで、変更の要請は行っていません。これに対してどう対応するのかは北京が決めることです。

―各都市について点数をつけて評価するのか?
フェアブリュッゲン
 点数はつけません。今回はかなり集中的に会場をまわることもできましたし、評価委員会のメンバーには競技施設のエキスパートもいます。レポートはこれまで以上に詳細なものにするつもりです。
 我々のすべての質問に対して、大阪市は万全の準備で答えてくれました。書面での要求も行いましたがプロのレベルで仕事をし、対応してくれました。またプレスの皆様も、ご協力、大変ありがとうございました。


構成/浅沢英

評価委員会副委員長単独インタビュー

人工島について、非常に優れた利用法が用意されている

―視察を終えた感想は?
ジルベール・フェリ
 評価委員としてというよりは、永年スポーツに携わってきた者として、全体の施設状況について非常にいい印象を持ちました。これまでに非常に高い水準で準備されているいろいろな招致都市は見てきていますが、大阪市が長年にわたって、このスポーツ施設に対して非常に情熱を傾けて準備されたことを強く感じました。
 スポーツ施設は単にスポーツ選手だけが使うものではなく、大阪市民の文化の発展に寄与するために使われるものです。既存の施設だけを見ても、大阪市はそのことを理解して準備していることを感じました。その点で、非常に高い評価を下すことができると思います。

―視察前と後で、大阪市のイメージに違いはありましたか?
フェリ
 この11年間に日本には何度も来て各地のスポーツの施設を見ています。また、神戸や福岡でユニバーシアード大会を開催しているなど、日本が大きな国際イベントをずっとやっていることも報告書などを通して知っています。大阪市に来たのは2回目ですが、日本は国内の各都市が競い合いながらスポーツ施設を充実させているという印象を持っています。

―インフラの整備については?
フェリ 特に地下鉄を含めた鉄道、交通機関といった都市基盤について、大阪市はよく整備されており、非常に高い水準にあるという印象を持ちました。
―大阪湾上の人工島に選手村を建設するアイデアは?
フェリ
 人工島をつくるアイデアは、それ自体が非常にオリジナリティーがあり、素晴らしいと思います。治安の面でもとても素晴らしい。治安や、安全については長野オリンピックのときにも完ぺきな準備をされたという印象を持っています。さらに、磯村隆文市長が完成後の人工島の利用方法について、非常に優れた考え方を用意していると聞き、その点についても非常に良い感じを持ちました。もし大阪市でオリンピックを開催することになれば、素晴らしい大会になることは確信を持って言えます。

―パラリンピックへの対応については?
フェリ
 IOC(国際オリンピック委員会)はパラリンピックに対して非常に強い関心を持ち、サポートしたいという考えを持っています。大阪市はその点についても一致すると思います。日本の人々は身体に障害を持っている人たちに対するサポートに非常に意識が高いと理解しています。長野パラリンピックでも世界に向けて素晴らしい放送をした実績もあり、その面についても期待できます。

―大阪が今後、最優先してなすべきことは?
フェリ
 幸いにして大阪市がオリンピック開催の了承を取たときには、IOCの過去の歴史を振り返り、それまでの過程をきちんと理解して展開することが一番大事だと思います。


Interview/編集部  構成/高橋隆輔

記者会見発言者
ハイン・フェアブリュッゲン/評価委員会委員長、国際自転車連盟会長
ロバート・マックロー/評価委員会委員、国際パラリンピック委員会理事
サイモン・ボールダーストーン/国際オリンピック委員会スポーツ&環境委員会委員
ボブ・エルフィンストン/オーストラリア・オリンピック委員会国際部長
JOC広報誌「オリンピアン」2001年4月号掲載